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再転の姫君  作者: 須磨彰
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チャプター6

ユニークアクセスが五千を突破いたしました。

本当にありがとうございます。

乙女の秘め事と男たちの友情




今日は小学校の入学式だ。

幼稚園と同じで私服で過ごせる小学校なのでこの晴着も一生に一回しか着ないだろうが、両親も思い出にのこるからと可愛いふりふりの服を用意してくれた。

ボクはあまりこんな服は着たくないが式の日くらいはとお母さんの説得もあって今日は大人しく着せられている。


「今日からみんなは小学生になります。」


校長などの長いだけで実のない話は適当に流して聞いていたボクに式を終える挨拶が聞こえてくる。


「それでは、新入生のみんなは教室にはいってください。」


二列にならんで教室に向かっていくみんな。


「はじめまして、僕は竜って言います。よろしくお願いします。」


あれ?

隣を歩いている子が良くみたらボクの知らない子だった。

前世の記憶の影響だな。

とすぐにわかった。

司かそれ以上に懐かしい感覚がしてあんまりにも自然に横にいたため気づくことができなかった。


「よろしくね。ボクは秋だよ。」


そういって笑顔を送ると先ほど竜となのった少年は顔を真っ赤にして俯くと、

小さな声で「うん」とだけ答えた。

いきなりなれなれしくしすぎたかな?

ちょっと失敗したらしいがまぁこれからどうせ仲良くなるんだろうからあんまり気にしないでいた。

そんなやりとりをしていると教室についた。

田舎のことなので同じ地区には親戚が集まっていることが多く、司とボクもその例にもれず同じ苗字の蟹津なので席は前後になった。

そこでふと隣をみるとさっきの竜が右隣りに座っていた。

初めて話しかけたのがボクだったらしく誰とも話せずにいるようだったので


「竜!この後ろでぼけぇとしてるのが司だ。仲良くしような。」


いきなり話しかけたのがいけなかったのか、それとも今日はふりふりのワンピースなんてきていつものポニーテールなのでその容姿と話し方のギャップに驚いたのかもしれない。

唖然としている竜にとりあえずクラスのムードメーカーで自分にとっても一番の友達である司を紹介した。


「今日はこんなかわいい服着てるのにぃ。秋ちゃんは変わらないねぇ。」


「入学式だからってお母さんに着せられたんだ。しゃあないさ。」


「あ、さっき名前いってたけど、司ね。司でもつっちゃんでも自由に呼んでね。」


「うん、司くんだね。わかったよ。」


僕と話してたときよりも二人目だからか緊張していない様子で竜と司は話している。

二人はすぐに仲良くなれそうだ。

ふとそこで三人で遊んでいる風景がよぎった。

何をしてるわけでもないが、三人とも笑顔で小突きあって馬鹿な話に花を咲かせ、なんとなくこれから当然のように起こりそうな風景に微笑む。


「なにニヤニヤしてるのぉ。また違う世界にいってるよぉ。」


ガラガラ


司がはやし立てたところで教室のドアが開いた。


先生の登場と同時に教室の後ろで世間話をしていた親たちも静かになる。


「入学おめでとう。これからは小学生になって一つお姉さん、お兄さんになります・・・・・・・」


担任になった先生の話が終わると全体写真をとって今日はもう解散らしく、みんな親のもとに向かっていく。

蟹津家もお母さんがカメラを構えており、もう一度このふりふりの格好をフィルムにのこそうとしていた。

校門の前で全体写真をとると自然にボクと司は竜の方へと足を向けた。

竜は今までみたことがないおばさんと一緒にいたのでたぶんあれが竜のお母さんなのだろう。


「竜!これからもう帰るの?」


「いや、お母さんがみんなのお母さんやお父さんに挨拶してるからしばらく帰れそうにないよ。」


「それはみんな一緒だよ。大人の話は長いから一緒に遊ぼうよ。」


「うん、僕もせっかく竜くんとなかよくなれたしぃ。」


「じゃあ裏山にしゅっぱつ!!」


「ええ?秋ちゃんは小学校詳しいの?」


「僕らは小学校の近くにすんでるからぁ。それに武ちゃんがいつもつれていってくれるしぃ。」


「ああ、武ちゃんってボクのお兄ちゃんね。今もう中学校にいっちゃったけど去年までここで勉強していたからさ。」


「そうなんだ、“俺”は弟しかいないからうらやましいな。」


「あれ?竜って俺だったっけ?さっき僕っていってなかった?」


「そ、ちょっと緊張してて」


照れたようにはにかんだ竜に逆に今はもうそんなに緊張しなくなったんだろうなと、仲良くなれたことに嬉しく思った秋は笑顔で返した。


「あれぇ?今度は二人で見つめあって、今日の秋ちゃんは服装もだけどなんか変だよ。」


「変ってなんだよ。うら若き乙女に変とかいうな。」


「うん、秋ちゃんはこうでなくっちゃぁ、相変わらずの男女っぷりだねぇ。」


「まぁしゃあないじゃん。さっき思い出したけど昔はボクも俺っていってたらしいし。」


「秋ちゃんって最初はこんな可愛いからもっと違うとおもってたけど、すっごい話しやすいんだな。引っ越してきて友達できるか不安だったけど、安心した。」


「そっか、どこから引っ越してきたのぉ?」


「東京の方からね。みんな微妙になまってるから移りそうだよ。」


「いいんじゃない?ボクらの言葉になれたらもっとなかよくなるかもよ。」


「でもぉ、東京の言葉も興味あるかもぉ。」


そんなことを話しながら学校の裏に行こうとしたら、そこに般若のごとく怒ったお母さんが現れた。


「秋!!今日は綺麗な服きてるんだからやんちゃしちゃだめって言ったでしょ。」


「ええ?三人で少し話してただけだよ。ね?司?」


「うん。新しく友達になった竜くんに小学校を紹介していただけだよぉ。」


ここら辺は幼稚園で二年間もつるんできただけあって二人の呼吸は完璧だ。今回も難を逃れたと思っていると。


「そうです。裏山とかいうのを教えてもらおうとおもって。」


あちゃぁ。

今日は竜がいたのだった。

これはあきらめて素直に謝った方がいいな。


「秋ちゃん?」


取り返し不可能なようです。顔は笑顔なのに目がわらっていませんでした。


「竜くんって言うのね。お母さんがさっきあっちで探していたからいってらっしゃい。」


「「「はぁい。」」」


どさくさにまぎれてボクと司も逃亡を図ろうとしたが、無駄だった。


「秋ちゃんと司くんはちょっとお話しましょうねぇ。」


お母さんのちょっとって何分ですか?いや何時間なんでしょうか?

これから先の長い長い説教を覚悟して首をすくめるボクと司だった。


しかし、今回は5分ほどすると救世主が現れた。


「あの、秋ちゃんのお母さんですか?」


竜が自分のお母さんを連れて戻ってきたのだ。


「秋ちゃんには入学早々仲良くしてもらって、本当にありがとうございます。」


ボクと司はお互いに説教から解放されてふぅと溜息をつくと竜の方を見る。

ボクたちの気持がわかったのか軽く手をあげてごめんなさいの合図。

ボクらはにっこり笑ってグッと親指を突きたてた。

あそこで話を合わせられなかったのはダメだったが、窮地を救ったので許してやることにする。


「結局井戸端会議がまた始まっちゃったねぇ。」


「まぁしゃあないじゃん。どうせ逃亡しても見つかるしおとなしくしとくか。」


「二人とも、結構こんなことあるの?」


「ああ、秋ちゃんが無茶して怒られるのはいつものことだからぁ。」


「なんだよ。全部ボクが悪いみたいじゃないか。」


「でも本当にぃ、秋ちゃんって運わるいよねぇ。」


「そんなことねぇよ。ちょっと木から落ちたり川で流されたりするだけじゃん。」


「それで無傷なのが不思議だよぉ。」


二人の会話に少し引いている竜がおずおずと尋ねる。


「そんなに危険なことが起こっているの?海良町ってそんなに怖い場所なんだ。」


「違うよぉ。秋ちゃんの周りが危険なだけだよぉ。本人は運動神経も頭もいいから何にもきけんじゃないんだけどねぇ。周りが巻き込まれると結構危険だよぉ。」


「すげぇ、なんかそれかっこいい。俺も見てみたいなぁ。」


ああ、これでわかった。

こいつは絶対に前世で親友だったんだ。

幼稚園に入ってからボクは何度も危険な目にあってきた。

理由は様々だが基本的にボクの周りにいると危険が付きまとい、奇跡的な運動神経で自分自身は無事にすんでいるが、巻き込まれた子たちは怪我をしたりする。

特別な場所に行かなければ普段は大丈夫なのだが、ちょっと冒険なんてしたらそういう不幸があるので、今では司以外のみんなは一歩引いた関係ができている。


「まぁ、ボクと仲良くしたかったら、体を鍛えておくことだね。」


「ああ、それなら大丈夫、俺柔道習う予定だから。」


「柔道?ボクもできるかな?やってみたい。」


注)和也の時は柔道を始めるのはあんまりにも臨死体験が重なるのでと護身術を学ぶために中学の途中から少しやっています。


「一緒にやろうよ。秋ちゃんと司くんが一緒なら俺も嬉しいよ。」


「僕はだめぇ。武兄ちゃんと野球やるって約束しちゃったからぁ。」


「いいよな司は男の子だから、少年団入れるから。ボクも野球したかったよ。」


「それを言ったらおじさんがめっちゃくちゃおこってたねぇ。」


「そうなんだよな。女友達ができたら女の子らしくなるだろうと思ってたから一緒に遊ぶのは司ばっかりだし、以前にも増して男っぽくなったって嘆いてたぜ。」


「そんなに言うならぁ、少しは女の子らしくしたらいいのにぃ。」


「は?そんなのボクらしくねぇじゃん?」


「確かにぃ。」


そんな風にして三人で話していると井戸端会議もやっと終ったらしく、司のお母さんもいつの間にか現われてそれぞれの家へと帰ることになった。

ボクは竜との出会いによって気づいたことがいくつかあった。

それは記憶の奥底にあって、色で表わすなら紫色だろう。

なんとなく自分がなんでこんなに人と違うのかが分かってきたような気がした。

そして、ここで柔道をすることが、とても大事なことのような気がして、今度ばかりはお父さんが反対しても絶対に譲らないでおこうと心に決めた。






ご愛読ありがとうございます。



ここでAKIの執筆方法の変化を少し報告させていただきます。


今まで投稿と執筆作品のコピぺは投稿と同時に行ってきたのであとがきは投稿寸前に書き込んでいたのですが、新しいファイルを作り、先にあとがきも作成してしまう方法に変更したいと思います。


そこで今後の変化としては、今まで思いつきで書いていたあとがきに、本文のコメントをしっかりと残せるということです。


今までも本文について色々書いてきましたがこれによってテーマをしっかりと作成できるようになりました。

もしここに書いてあるテーマがきちんと伝わっていると感じたら感想などで十分伝わったよ。

とか、ここはこんな風にした方がいいなど教えていただきたいと思います。

今後の作品にそれらが反映されることも多いかと思います。



さて、長々と書きましたが、今回みなさんに一番伝えたかったことは、ずばり、”竜との出会いと秋との関係”であります。

安易すぎますね。竜との出会いは今後秋に大きな影響をあたえていく予定なのでここで竜と秋の出会いをしっかりと表現しておきたかったのです。



それではここまで読んでいただき本当にありがとうございました。


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