チャプター63
迷子のエマジェンシー
竜が提案してきたことは、普段二人きりでデートなどの機会がなかったこともあり、ボクと二人で出掛けることだった。
さらに、念には念をと、町中などに出てしまうと、どこでボクらの知り合いに出会うか分からず、さらにどんな不幸に巻き込まれるか分からないので、山登りに行くことになった。
「おはよう。約束通り、唐揚げの入ったお弁当作って来たわよ。」
「サンキュー。じゃあ、さっさと登って湧水の出るところでお弁当と行くか。」
「了解。ってその前に言うことは?」
「え?ん〜。そんな恰好で山登り大変じゃないか?」
「いい。さっさと出発しよう。」
竜の馬鹿。二人っきりのデートって言われたから目一杯おしゃれしてきたのに、言うことはもっとあるだろ。確かに見慣れてるかもしれないけど、やっぱり誉めてもらいたいじゃん。
『やっぱ服装可愛いねくらいいわないかんかったかな?せやけど、秋の可愛さは異常すぎて注視できひんのやけど・・・』
「ほら、そんなにゆっくり歩いてると、お昼までに頂上につかないぞ。」
「そんな高くないやろ。ゆっくり歩いても二時間程度で着くやないか。」
「確かにそうだけど・・・」
普段学校に行くのと違い、わざわざデートのために二人っきりになっているというのが、恥ずかしい。特に今回は竜の方から望んで二人っきりになりたいといわれ、いつも以上に意識してしまう。
「せやけど、秋とこうして二人っきりでデートって久し振りやな。」
「そうだね。一学期の時以来じゃないかな?最近は優花や和美がいつもボクの側にいたからね。」
「せやな。優花ちゃんは勉強の方はもう心配あらへんの?この前の中間はどうやったん?」
「週明けに全部の教科が返ってこないとわからないけど、できていたみたいだよ。一学期と違って授業に追いついているから、対策プリントも完璧にこなせていたみたいだしね。」
「しかし、T高って勉強に力いれとんのどうかわからへんよな。陸上競技会があったかと思ったら、中間やろ?次の期末やかて、文化祭から二週間くらいしか間があらへんって言うしな。」
「二週間あれば、普段から真面目に勉強してる子には問題ないでしょ。でも、中間はおかしいよね。むしろ陸上競技会を無視してるって気もしなくもないけどね。」
「なるほどな。T高が部活に力入れてへんのは思ってたけど、陸上競技会まで力入れてへんかってんや。」
実際に三年生の子などは、競技そっちのけで、応援席で参考書を開いているような子までいた。準備期間も何もなく、これではただクラス対抗にしただけの記録取りだ。
「来年はミーちゃんが生徒会になっておもしろくしてくれるんを楽しみにしとこうぜ。」
「そうだね。陸上競技会を春にしてくれるようにお願いしておかなきゃ。」
そんな風にしゃべりながらも、ボクらの足は普通に進んでいく。体力のある竜は当然のことだが、ボクも臨死体験のおかげで身体能力が上がっており、これくらいの登り坂は平気で登って行く。
「今回は勝たせてもろたけど、来年は一緒に戦えるとええな。」
「そうだね。ボクもやっぱり竜と同じクラスがいいよ。」
「心友たちも同じクラスになりたいんとちゃう?」
「文理選択で別になるかもしれないよ。竜は理系に進みたいんでしょ?」
「せやな。秋は合わせてくれるん?まぁ理系のクラスは毎年一つやから、理系を取ったら一緒のクラスになるんは間違いないやろな。」
T高には、進学クラスと一般のクラスがある。ボクらはその中でも進学クラスに分類される。優花が何故進学クラスなのかは謎だが、今の成績なら問題ないだろう。
そして進学クラスが3クラスある中で、二年生の文理選択をした時に、国立文系コースと私立文系コースと理系コースの3クラスに分かれることが多いので、自然に理系を選択すれば同じになる。
「まぁ、私立文系コースを選択する子はいないから、直前までは文系って言っておこうかな。ボクが理系を選択することがばれて理系クラスが二つになっても嫌でしょ?」
「あんなぁ。それって秋と同じクラスになりたいって奴が大量におるって言うとるようなもんやで?」
「言ってるようなじゃなくてそう言ってるんだよ。優花や明実や和美の性格考えてみてよ。無理にでも理系を選択するでしょ?」
「う〜ん。確かにそうかも、ん?ミーちゃんは?」
「ミーちゃんは元々理系じゃないかな?薬学部とか受けたいみたいだしね。」
「そっか、せやったらミーちゃんも同じクラスやな。」
『これで、秋を守る人が増えて秋も嬉しいやろな。』
「そんなにミーちゃんと同じクラスが嬉しい?」
「そりゃ当然やろ。」
「知らない。」
ボクは竜に背を向けると、スタスタを歩き出し少し小走りに走った。竜がギリギリ追いつけないような速度で、さっさと頂上を目指す。
「おい、秋。待てって。」
「良いからほっといて。」
「ちゃうって、話をきけや。」
「何のこと?別にもう話すことなんてないよ。」
「いや、俺はあるんやって。」
竜もしつこいな。でも、依怙地になってせっかくのデートが台無しになっても竜に悪いので、立ち止まり振り返る。
「なによ。聴いてあげるから、きちんと話しなさい。」
「はぁはぁ。」
相当早いスピードを出していたらしい。あの竜ですら息を切らすほど、夢中になって進んでいたようだ。
「まず、落ち着いて聞けよ。」
「良いわよ。最後まで聞いてあげるわ。」
「迷子になった。」
「え?」
竜の言葉にあたりを見渡すと、そこには道がなかった。こんな短距離を進んだだけで竜が息を切らすわけだ、ボクは軽々と進んできたが、竜は道なき道を掻き分け、木の間をすり抜けてやっと追いついたのだ。
「ごめん。ボクのせいだよね。本当にここがどこかわからない?」
「無理やな。秋を見失わへんようにそればっかりで道を覚える余裕みたいあらへんかったわ。」
「そんなぁ。今来た道をとりあえず引き返してみる?」
「秋もしっとるやろ?ここは迷子になったら中々抜け出せへんの。」
今日は地元から近い山に来ているので、何度も登ったことはあったのだが、登山用の道を外れると、そこは整地されていない場所で、木なども雑木が多く、迷うことで有名な場所だった。
「どうしよう?」
「このまま頂上に登って登山道に戻るか、下山するかの二択やろな。」
「どっちがいいと思う?」
「どうせ体力ある二人なんやから、登らへん?雑木だらけで、秋の服装やと辛いか?」
「服は大丈夫だよ。こう見えても、結構動きやすいし、自分で作った服だから、邪魔になるレースとかは取り外しが効くんだ。」
そう言って、ボクはレースなどを外してカバンの中にいれておく。
「へぇ。秋の手作りやってんや。ほんまに可愛かったから、有名なデザイナーの服かとおもたわ。」
それを言うのが遅いよ。だった時に言ってくれたら、ミーちゃんのことで過剰な反応だってしなかったかもしれないのに。ダメだね。竜の責任にしたらいけない。
「ごめんな。俺のせいでこんなことなって。」
「竜は悪くないよ。ボクが暴走して迷子になったんだもん。」
「秋が走り出したんは俺のせいやろ?あん時、俺はミーちゃんが一緒やったら秋が安全やから嬉しいって言ったつもりやってんけど、言葉が足りひんかったな。ごめんな。」
「ううん。」
ボクは真赤になってうつむき。少しだけ首を横に振る。ボクの盛大な勘違いによってこんな結果になってしまったこと、竜に一番に考えてもらえていたことすべてに恥ずかしくなった。
「またそうやって自分を責めるなって。俺は秋のナイトなんやろ?お姫様を守るのが俺のしごとなんやから、秋はなんも悪くないんやで。」
「ありがと。」
竜の言葉にほっとすると、なんだか、このままもう少し竜に甘えていたい気分になった。
「登る前にちょっと休憩していこ。」
「せやな。秋も流石に疲れたか?」
「ちょっとね。」
ボクはカバンからレースの塊をどけると、奥にしまってあったビニールシートを取り出すと、二人で小さなビニールシートに腰かけた。
「ねぇ知ってた?今日のデートを家族に話したら、武兄ちゃんから真美子さんに真美子さんから、司に連絡がいって、あの四人も来たがってたんだよ。」
「なんでやねん。あいつらは俺らの邪魔をどれだけする気やねん。」
「邪魔って酷いな。司たちがいなかったらボクは竜の告白を無かったことにしてたかもしれないぞ?」
「せやったな。他の奴らはともかく、司には感謝しないかんな。」
「う〜んそれも微妙かな。小学校の時にキスしたの覚えてる?」
「あのナメクジ事件の時やろ?あれから司たちに散々笑われて、忘れたくても忘れれへんっつの。」
「記念すべきファーストキスなんだから、ちゃんと覚えておいてよ。」
「正確には二回目やけどな。」
「もう、それは良いの。それより、その時さ。実は付き合うのもありだったんだけど、司がいたから、心友でいよって言ったからね。あの時からかな。竜に惚れたのは。」
「せやったんか。俺なんて初めて会ったときから、秋に惚れてたんに。」
「初めてって、小学一年生だよ?どれだけマセガキだったんだよ。」
「ちゃうちゃう。今思えばあの時から、秋意外の女の子に興味無かった気がするってだけで、あの時はそんなん気づいてへんって。」
「へぇ。小学一年生ってことは初恋だよね?」
「せやな。秋も初恋なんやろ?」
「違うよ。」
「え?」
「初恋はペコだもん。」
「嘘つけ、さっきキスした時って話してたやん。ペコが家に来たんはあのあとやろが。」
「えへへ。」
ボクと竜は狭いビニールシートの上で寄り添いあう。隣り合ったボクと竜は、自然と手を繋ぎ思い出話をする。少し休憩のつもりが、いつの間にか随分と時間が過ぎていた。
すると、竜のお腹がぎゅ〜となって、このままお弁当もここで食べてしまうことにした。
「本当は湧水と一緒のつもりだったけど、お茶で我慢してね。」
「ええよ。ってか、湧水よりも秋のお弁当の方が俺にとっては大事やしな。」
「おだてたってから揚げくらいしか出てこないぞ。」
「俺から揚げすきやもん。」
竜はそう言うと、いただきますの挨拶もそこそこにから揚げを一つ口に入れる。
「んま。」
「今日は誰も取る人いないんだから、ゆっくり食べなよ。」
「そうしたいのは山々なんやけど、上手すぎて箸が止まりそうにあらへんわ。」
竜は狙って言ってるんだろうか?そうじゃないんだろうな。本当においしそうにお弁当を食べる竜の様子にボクは笑顔になりながらおにぎりをパクリ。
「本当においしいね。たまにはこうして外で食べるのもいいね。」
「せやな。バスケ部の活動は体育館の中やから、こうして屋外に出るんはいいもんやわ。」
そんなことを言っているが、竜は夏休み中何度も近くの海に行っており、結構肌が黒い。逆にボクも一緒に行っていたはずなのだが、真っ白だ。海良の海は田舎なので人が少なく、心友達だけでのんびりと午後を過ごす良い場所だった。
「そろそろ行くか?」
「そうだね。ちょっとゆっくりし過ぎちゃったかな?」
「ええんちゃう?そこまで高い山でもあらへんし、今日中には帰ってこれるやろ。」
「うん。」
ボクって不謹慎かも、このままもっと二人でいたいなんて思ってる。こうして二人でのんびりできるのって中々無かったし、竜から言われたこととはいえ、ボクも望んでいたことかもしれない。
ゆっくりと進みだす。普段は照れて繋げない手も、誰もいない山の中なら平気だ。
「とりあえず、電波もあらへんし、困ったな。遅くなりそうやあらへん?家の人ら心配するやろ?」
「そうだね。山頂に着いたら、電話借りないといけないね。」
ボクらが上っている山は日本一というほど高くもないのだが、残念なことに元々田舎の環境もあってケータイの電波の届かない場所のようだ。
特に危険もないのでゆっくりすることは構わないのだが、家族への連絡だけは入れたい。
「ねね。さっきから同じところを回って無い?」
「俺もそんな気がしとったんて。しゃあない、小さい山とあなどらへんと、きちんと印をつけながらあるこか。」
「うん。」
竜は、ポケットから小さなナイフを取り出すと、目立ちそうな木に印をつけて行く。
こんな印あったらすぐに山を降りちゃえるじゃん。もう少しこのままでいいのにな。竜に言うのが早すぎたかな。
ボクと竜は印を付け終わると、進みだす。竜の背中は大きく、二人で迷っているにも関わらず、全く不安な気持ちにならなかった。
「竜、そんなに急がなくてもいいからね。電話さえかけたら、明日も休みなんだし、山頂の山小屋とかに泊まって行ったって両親も怒らないと思うんだ。」
「いやいや、男の子と二人きりなんて、親父さんは許さんのとちゃうか?」
「お父さんはちょっと文句を言うかもしれないけど、竜だったら大丈夫だと思うよ。」
そうなのである。以前は流石に無かったのだが、いつ頃からか、お父さんも竜ならばと認めてくれるようになった。
その代り、節度ある付き合いをと念を押されているが、外泊しても竜と一緒、麻美や鈴と一緒ならそれほどうるさく言わなくなった。
「大丈夫。竜が一緒なら、絶対に危険から守ってくれるでしょ?」
「しゃあないな。そんな風に言われたら、男として守らないかんやろ。」
一番の狼がボクに従順なら、怖いものなんてないもんね。
竜とある程度進みだした時に異変を感じた。印をつけたはずの木に何故か印が付いておらず、またグルグルと同じ場所を回っていることがわかったのだ。
あかんな。どう見てもこの木に印をつけたはずやねん。
「間違いないね。だって、少し進んだところに印があったのに、この木になかったもん。」
「ひょっとして誰かが俺らのあとつけとるんか?」
「無理だよ。監視されていたとしても、ナイフでつけた傷を消すなんて魔法みたいなこと、できるとは思えないしね。」
「せやな。秋も人の気配を感じひんのやろ?」
「全くね。というか、さっきから生き物の気配すらしないんだよね。まるで、二人っきりにするために、山事態が協力しているかのように何にも周りにないよ。」
「ふ〜ん。とにかく歩きづめで、ちと疲れたし、山小屋なんか見つけたいな。電話がつながってて、できれば川の近くとかがベストなんやけどな。」
「確かにずっと歩きっぱなしだもんね。でも、さっきからグルグル同じところを回ってたらそんな場所行けるわけないよ。」
「よし、俺が前を歩くと、なんや山が外に出してくれへんっていうなら、秋が前をあるこ、秋がお願いしたら、それこそ山だって通してくれるかもしれへんやろ?」
「ちょっと、古い山だからって、まるでそれじゃあ人格があるみたいじゃないの。」
「さぁなぁ。人格があるかどうかは、わからへんけど、例えどんなものでも、秋のお願いオーラに勝てる奴みたいおらへんからな。」
「なんだよそれ。とにかく、ボクが前を歩いて、山小屋に連れて行ってくださいって念じたらいいの?」
「そそ、ってか、俺が疲れてへんかったら、おんぶしたってもよかってんけどな。」
「お、おんぶなんて・・・」
「人も見とらへんのやし、恥ずかしくはないやろ?ちょっとだけおんぶしたろか?」
「え・・・」
ボクは何故竜がそんなことを言い出したのか分からない。
「いいよ。自分で歩く。」
「あかんな。今日一日は俺の言うこと聞く約束やろ?秋に拒否権はあらへん。」
「そんな。ずるいよ。って、大丈夫なの?疲れてるって言ってたじゃん。」
「せやな。じゃあ、山小屋じゃなくても休憩できそうな場所が見つかるまでな。川とかが見えたら、それに沿って歩けば頂上行けるんやしさ。」
「解ったよ。疲れたら言ってね。」
「了解。」
ボクは竜の言うがままに竜の背中へと乗る。誰も見ていないとは解っていても、ちょっとだけ恥ずかしく、早く山小屋が見つかることを祈る。
「お、あれって川とちゃう?」
「本当だ。川岸で少し休憩していこうか?」
「いや、川が見えたらなんや元気が出てきた。このまま登ってこか。」
「ええ?ちょっと、さっき休憩できる場所に出たら、休むって言ったじゃん。」
「せやな、山小屋みたいなって言うたな。秋は一日中歩いて疲れたやろ?ええから背中でやすんどり、たまにしかこんな機会あらへんのやからさ。」
「もう、強引なんだから。」
そうはいっても、ボクの顔を竜に見せることはできない。休憩をきっかけに、恥ずかしい状況から解放される気持ち半分ともう少しこうして竜に甘えていたい気持ち半分がある。
しばらく進むと、本格的に竜が疲れだしたことが背中にいて解る。
「竜、もう流石に無理じゃない?ボクは大丈夫だから、おろして?」
「いや、このままでええんやよ。秋が俺の背中に乗っててくれたら、俺らは山小屋に着くんやから。」
「なに言ってるんだよ。確かに偶然川は見つかったけど、山小屋まで同じ様に見つかるとは限らないじゃないか。」
「いや、俺の体力が限界近くになってきたんやから、そろそろ見えてくるはずや。」
竜の言葉は意味が分からない。さっきから、無理ばっかりしているような気がする。そして、そんな竜に甘えてしまった自分を許せなくなってきた。
「あんな。確かに疲れたけどな。秋と一緒に山登れて嬉しいんやで、山小屋見つけたら、目一杯奉仕せえよ。」
「う、うん。」
馬鹿竜。鈍感の癖に変なところだけ鋭いんだから・・・
竜の望みどおり、甘えていると、すぐに山小屋が見えてきた。ボクは竜の背中から飛び降り、山小屋へと向かう。
「すみません。誰かいませんか?」
使われた様子の無い山小屋だった。ボクはそっとドアノブを回すと、意外にも扉はすんなりと開き、ボクは中の様子をうかがう。
「埃っぽい。ずいぶんと使われてないのかな?でも一か月前には誰かがいたみたいだね。」
ボクは壁にかけられたカレンダーの日付を確認する。人が最近出入りした様子はないのだが、一か月前には誰かが中に入っていた。少し矛盾するような気もするが、そこはあまり気にせずに竜を呼ぶ。
「竜!!誰もいないみたい。しばらくここで休憩しよう。」
「おう。もうすぐ夕方っていうのに、現在地もわからへんから、今日はこの小屋で泊まらせてもらうか。」
「そうだね。ちょっと川で水を汲んでくるよ。」
「その前に、どんなものが小屋の中にあるか確認してくれへん?もし電話とかあったらラッキーやろ?」
「うん。竜はそこで座ってて。」
「あいよ。」
竜って本当にわかり易いんだから、ほら、ボクが後ろを向いた途端動きだした。水を汲みにいくのはボクだと大変だろうなんて思ったんだろうね。ボクがそこまでひ弱じゃないこと知ってるくせに、昔から変わらないんだから。
ボクは少しクスリと笑うと、竜が水を汲んでくるまでにできる準備をしだす。とりあえず、電気なども通っており、幸い電話も使えた。今はまだ家族へは電話せずに、先に食糧などの確認をする。
保存食などもあったので、水さえあれば、特に困ることはほとんどないのだが、一つだけ問題があった。
小さな小屋と言うこともあって、すべてのものが一人分しかないのだ。器にしても、箸にしてもそこら辺のもので応用は効くので問題ないのだが、ベットが一つしかなく、布団も薄い毛布だけという状態だ。
「おかえり、竜。お水ありがとう、今から電話するから、竜も自宅にかけるでしょ?」
「おう。」
竜は一言しか言わなかったけど、見透かされていたことと、お礼を言われたことに照れているのが良く分かる。
こうしてボクらは、山小屋に一晩泊まることになった。
この話、最後を書きあげたのは、本日投稿日なのですが、5千文字くらいまで出来上がっており、ラストのみ書きあげるのに苦労いたしました。
テーマ〜竜の気づき〜です。
竜が何に気づいたのかは読者の皆様ならおわかりかと存じます。
さて、それとは別に、読者様からの感想を読んでのAKIの嬉しかったことと、驚いたことを述べさせてください。
まず、読者の皆様から、評価感想をいただく時は、本当にいつも嬉しい気持ちでいっぱいです。感謝しても感謝しきれません。感想などを書いていなくても、毎日のように見に来てくださっている読者様もいらっしゃるみたいで、アクセス数が安定しているのもそのためかと思われます。本当にありがとうございます。
次に驚いたことです。読者の皆様にとって、すごくAKIの仕掛けたものに敏感な方が多数おられるご様子です。と、言いますのも、AKIが次にこんな話を書きたいと思った内容のリクエスト等が届くことが多くあるのです。そんな時、読者様と一緒になって作っていけているのだと実感すると共に、AKI自身も読者目線という初心の時の心が残っていたような気持ちになります。
このように、読者様からのメッセージ・評価で天にも昇るような気持ちになれる単純な作者ではありますが、どうかこれからも再転の姫君をよろしくお願いいたします。
ここまでお目を通してくださいまして本当にありがとうございました。