チャプター46
ファンクラブとの対決
テスト前にやらなければならないことができてしまった。
竜からの連絡のあと、和美と優花は自転車通学なので一緒に自転車置き場に向かうと、竜と敦君が待っていた。
「おまたせ。もうほとんどの生徒が帰ったみたいだね。」
「せやな、そうじゃなきゃ三人で歩いてここに来るなんてしいひんかったんやろ?」
「あたり、また数名残ってる人もいるみたいだけど、こっちの方が多いみたいだから、問題ないでしょ。それに、ファンクラブって基本はボクの味方になり易い人たちだから、数さえ少なければ怖いことはないよ。」
実際、ファンクラブのメンバーから逃れたのも、竜との関係を見せて、反感を買うのを恐れたことが要因であり、中学時代の様な雰囲気であれば問題ないと考えていた。
「今回のファンクラブの中心は秋のクラスの奴らしいぞ?森って言ったっけ?この前の遠足の時におったあいつやわ。」
「森君かぁ。やっぱり注意しておいた方がいいみたいだね。ファンクラブ自体はどうにかして、距離を置いてもらうように頼んでみるかな。」
「せやな。秋のおねだりに勝てる奴みたい見たことあらへんからな。ファンクラブに入るような奴らなら、それで一発やろ。」
「ちょま。おねだりってなんだよ。ボクは純粋にお願い事をしているだけだもん。」
「あんたのおねだりか。確かにうちらの時といい、美術部の時といい。相手のツボみたいなのを的確に突くし、それで行きましょ。」
「優花、人事だと思ってのんきなこと言わないでよ。ファンクラブの人にお願いするのって結構恥ずかしいんだから。」
「恥ずかしいって、秋はどんな風にお願いするの?」
ここでそんなことを言わせる気なの?和美は中学の時を知ってるから、絶対にわざと聞いてきたな。あんな恥ずかしい思いをするのはできれば避けたかったんだけど。。。
「秋が言わないなら、私からみんなに教えてあげようか?中学の時のファンクラブはねぇ。」
「わ〜〜〜。分かったから和美は黙ってて、和美が言ったら、おヒレどころか胸ヒレまでついて話しそうだから自分でいうよ。」
ファンクラブの子たちの前では、要望に応えて結構恥ずかしいことをした記憶があるので、あまり他人の口から聞きたくはない。
「定期的に交流の場を開く条件をつけて、大人しくしてもらうのよ。」
「その内容が重要なんじゃないの。コスプレしたり、歌ったり、秋の独壇場といったいろんなことするのよ。」
「コスプレって、冬に夏服を着たり、浴衣とか、自分で作った服着たりしただけじゃないか。歌は、お願いされたから少しうたっただけだし・・・」
「あれじゃ、アイドルよ本物よりもひょっとしたらすごいんじゃないかしら?ファンクラブ限定の時は無理だったけど、一般公開の時に私たちも見に行ったことあったけど、すっごい人気だったわよ。」
「ボクは普通でいたいんだ。交流会であって、アイドルとかの公演会とはまた違うんだもん。」
「はいはい。入学して数か月でファンクラブができるような人のセリフじゃないわよ。」
「ボクに平和はないのか。」
結局最終的に、今週の土日のどちらかを使って、ファンクラブの人たちと交流を深めるために、何かすることになり、明日学校側に掛け合うことで結論をみた。浩太がいればそこら辺の段取りはすべてやってくれたので、今回は明実や和美が代わりとなって動いてくれることになった。
「ごめんね。ボクも余裕があったら何か手伝うから。何でも言ってね。」
「じゃあ、当日歌う曲を決めておいてくれる?できれば、音響の準備とかもあるから早めにお願いね。」
「和美の後ろに浩太の影が見える気がする。」
「気のせいよ。私だってこんなの初めてだから、浩太くんに連絡を取ってどうしたらいいか聞かなくっちゃね。明実にも動いてもらうんだから、今夜電話するわね。」
不安が残るが、和美も学級委員長を経験しただけあって、こういった行事ごと、人を集めることは得意なので、問題ないだろう。明実も細かいところに気を配れる人間なので、浩太のバックアップがあれば心配するところは・・・
ボクが当日何をしたらいいのか決めてない気がする。それだけかな?無茶な注文をしてこなければいいけど。
不安が的中するのは、週末前の金曜日のことだった、優花の問題集も全員に配り終え、やる気満々な優花が既に半分も問題を解き終えたころだった。
「秋には、中学と同じようにオーバー・ザ・レインボーを歌ってもらうことにしたわ。あと衣装なんだけど、中学校に問い合わせたらあのころの衣装があるらしいから借りて来たわ。」
「ちょま、別にあれから身長が伸びたわけじゃないから、問題ないけど、少女の衣装なんて高校で着たら問題なんじゃないの?それに、曲はボクが選んで良いって言ってたじゃないか。」
「だって、クーちゃんが選んだ曲ってどれも無難過ぎておもしろくないんだもの。あと、軽音の人にお願いしたら、そっちにもファンクラブの人がいたみたいで、快く承諾してくれたから、オーバー・ザ・レインボーの練習を今しているところよ。」
「えええ?じゃあ変更もきかないじゃないか。バックの音なんてCDで済ませればいいのに。」
「どうせだったら、ド派手にやりなさい。って学校側からの依頼だから仕方ないのよ。学校の掲示板を通して、既にライブの情報は各教室に回ってるから、今さらキャンセルできないからね。」
おいおい、学校との交渉くらい自分でやれば良かったよ。本当に任せておいたら当初の目的がブレてしまうじゃないか。
「ボクは、目立ちたくないし、できるだけ普通の高校生活を送りたいの。そこら辺はわかってる?」
「分かってるわよ。ちゃんとプログラムの中に、秋の普通なところを見せるところも用意したから心配しなくていいわ。プログラムについては浩太と相談したから問題ないはずよ。
あとは中身だけなんだけど、最近の秋は本当になんでもできるから、ちょっとそれを見せたくなっただけじゃないの。」
「まさか、二曲目のこの沖田恵の”ちぇりー”はギターを弾いて歌うとか言わないわよね?」
「あら?良く分かったわね。はい。これが楽譜で、ギターも武満さんにお願いして家に届けておいたから、帰ったら練習してみてね。」
「ちょま。ボク、ギターなんて中学校の時以来さわってないんだけど?」
ボクはファンクラブの要望でギターなどの楽器を使うこともあったので、触ったこともないというわけでもないが、それでも当時と違い、練習の時間もないし、第一ギターを弾くなら最低一か月くらい前から練習したかった。
「大丈夫よ。”ちぇりー”なら前にも弾いたことあるから体が覚えてるわよ。それに、軽音の子に頼んでアレンジしてもらったから、それほど難しくはないはずよ。」
楽譜を確認すると、確かにバレーコードなどが極端に少なくなっており、弾けなくもなさそうであるが、それでも不安はある。
「実際に完璧に弾けなんて言わないわよ。持ってるだけでもいいわよ。衣装と思っておきなさいよ。」
「あのねぇ。そういうこと言うなら楽譜もギターも渡さないでほしかったよ。明日はギターとセリフの練習だなぁ。」
交流会のことはバスケ部の人たちに伝えてあるので、部活には出なくて良いのだが、それでもこんな理由で週末がつぶれるのは釈然としないものがあった。というか、よく学校側も許可だしたよ。
「クーちゃん。ごめんね。大変だと思うけど、和美ちゃんに聞いたらこれが一番って言うから私も反論できなくって、でもクーちゃんならきっと大丈夫だから日曜日がんばりましょ。」
「明実の責任じゃないよ。そうだね、せっかくみんながお膳立てしてくれたんだし、精一杯やるつもりではいるよ。」
明実は天然で心配してるんだろうな。これまでボクの周りってこういうおしとやかなタイプって麻美くらいだったし、麻美も司とグルになって色々画策してたからこんなタイプの子が一人いるだけでも、純粋に嬉しいよ。
「昨日の電話で明実もノリノリだったじゃない?」
ごめんなさい。ボクの周りはやっぱりこんな人たちであふれているみたいです。
「だって、あの時はこんなにクーちゃんが困るとは考えてなかったんだもん。」
その気持ちだけでお腹一杯になりますよ。明実は和美たちに影響されないでね。
交流会当日
講堂でも借りるつもりだったのだが、人数が入りきらないとかで、屋外ステージとなってしまった。というか、晴れなかったら体育館を借りるつもりだったというから問題だ。普通の週末は部活などで使っているのだから、そんなこと・・・
普段ここで練習しているサッカー部の人たちごめんなさい。そうだよね。今日も部活あったんだよね。交流会の後に普通に練習があるらしく、ユニフォーム姿の人が混じっていた。というか、他の部活の人たちも大勢練習を中断してつめかけているようだ。
「こんにちわ。今日はみなさんの時間を使ってボクのために集まってくれてありがとうございます。」
ボクの声で会場がざわめく。当然だろう、事情を知らない人からしたら、一年生でまだ学校に入りたてのボクのことなんて知らない人が大半だ。
「ボクは一年生の蟹津秋と言います。今からみなさんにお願いがあってここに立っています。」
会場のざわつきが収まるのをまって本題に入る。
「こんな仰々しいことをしておいてするのはおかしいのですが、ボクは普通に高校生活を送りたいだけなんです。ですから、ファンクラブとかはあまり嬉しくありません。」
この言葉に、またしても会場がざわめく、「誰だファンクラブなんて作った奴。」とか「ファンクラブが嫌ならこんなことするな。」など色々な声が聞こえる。
「ごへいを与えるような言葉ですみません。ファンクラブが嫌なのではなく、注目されたり、普通の子と同じ用に生活できなくなるのが嫌なだけです。ファンクラブの人たちも節度をもって接してくれたらボクは条件はありますが認めます。」
おそらく、ファンクラブに入っていた子たちからだろう。あんどの溜息が洩れ、それとは別に、ファンクラブができるだけの人間はどんな子だろうと言った注目が集まる。
「それでは条件の発表の後、交流会を始めたいと思います。」
ボクが挙げた条件は、
1、自分には彼氏がいるので、恋愛関係は不可能なこと
2、ファンクラブ専用に連絡を取れる方法を作るので、そちらを利用してもらうこと
3、周囲が迷惑をするので、定期的な交流会や専用の連絡先意外では執拗な接触をしないこと
4、脱退は自由だが、入会には蟹津秋本人の許可を取ること
などが主な条件である。その他にも細かい所は中学の時に作ったものを引用して作ってあるので、正式なファンクラブに入った人はそれを確認してもらうことにした。
「それでは、今日はまだ、ファンクラブとか関係なく皆さんで楽しんでいってください。」
そう言って、最初のプログラムである。一曲目のオーバー・ザ・レインボーが始まる。その歌を聞いてくれた人は、穏やかな気持ちになったらしく、会場の雰囲気は一気に和らいだ。
「秋、お疲れ様。それじゃあ進行をバトンタッチして心友代表の長田和美がします。今からは、質問タイムです。」
和美が舞台上に出てきて、マイクを使っていくつか質問をしてくる。中学時代の笑える話から、臨死体験の話といった同情を引く話などを順番に振って行く。
会場の雰囲気が温まって来たので、そちらにも何か質問がないか聞き出す。
「秋さんは以前最強美少女や芸術の女神と呼ばれていたらしいのですが、その由来は?」
流石ファンクラブ、立ちあがって間もないというのに、様々な情報が飛び交っていたらしい。
「最強美少女っていうのは、新聞で取り上げられていただけで、ほとんどの人が呼んだことはありませんよ。あ、でも、柔道経験者なので、夜道で襲いかかっても無駄ですよ。」
会場からそこそこの笑いが来た。最強美少女なんて二つ名は過去のものであり、できれば今後も呼ばれたくないのが本音だ。
「最強美少女って二つ名は、できれば使って欲しくないです。ボクみたいなか弱い女の子をそんな風に呼べますか?」
そう言って頭をかしげると、会場から質問者に向かってブーイングが飛ぶ。これで今後そんな不名誉な名前でよばれることはないだろう。
「次に、芸術の女神なんですが、ボク中学校で美術部に所属していたので、そのため女神って呼ばれていました。メグちゃんなんてあだ名がついちゃうくらい中学校では定着していたんですが、これもできれば恥ずかしいので呼ばないでほしいです。」
恥じらった表情でそう言うことで、こちらのあだ名も消えてくれたらと画策したのだが、どうやらみんなも納得してくれたらしい。メグちゃんの部分を強調しておいたので、女神様なんて呼ばないでメグちゃんと呼ぶことになるだろう。
「でも、秋には新しい二つ名ができたのはみんな知らないみたいね。」
「ちょま。和美、それは言っちゃダメでしょ。」
和美はボクに何か恨みでもあったかな?う〜ん。考えたら結構あるかも、それよりも、この二つ名だけは阻止しなくては。
「そうだね。最近クーちゃんって呼ぶようになったわね。私もクーちゃんって呼ぶわよ。この子照れ屋さんだから。」
「明実まで、やめてよそんな恥ずかしい二つ名いらないよ。」
明実まで乱入してきたということは、この流れはプログラムの中に含まれていたのだろう。さっき質問した子もひょっとしたら桜かもしれない。
「実はね。クーちゃんって照れ屋で、お礼を言ってプレゼント渡したら、捨てたフリして大事に持ってたのよ。ほら、これがその時のストラップ。」
「ああ〜ん。だめぇ。そんなの見せたらツンデレクイーンって二つ名がみんなにバレちゃう。」
あ・・・今ボクなんて言った?
会場を見渡すと、驚愕した顔が見られた。マイクにばっちり拾われたボクの声はみんなに届いてしまったらしい。
「えっと、みんな聞き間違えよ。ボクはツンデレなんかじゃないんだからね。」
「「もえええ!!」」
会場から変な言葉と熱気が伝わってきた。はぁ、ボクの平穏な高校生活は今終わったかもしれない。そう思って明実と和美の方を見ると、ニヤニヤしながら親指を立てていた。
「嫌だぁ。そんな不名誉な二つ名なんていらないんだから。今すぐ忘れてよぉ〜。」
「クーちゃんごめんね。でも、クーちゃんのためだから我慢してね。」
「ボクのためって言ったら何でも許されると思ってるの?ボクは恥ずかし過ぎて明日から学校にこれないじゃないか。」
「大丈夫よ。私達が守ってあげるから、ね。そんな可愛い顔で睨んでも怖くないわよ。」
そう言って、和美は近づいてくると抱きしめる。
「ボクは本気で怒ってるんだぞ!!」
「良し良し、明日からみんなに秋のこと理解してもらいましょうね。ツンデレってことはそのうちデレに移行するんだから大丈夫よ。」
「デレになんてならない!!」
そうは言ったものの、和美になだめられて、落ち着いてしまうボクがいた。これが麻美や鈴だったらもっと早くなだめられてしまったことを考えるとツンデレというのもあながち間違いじゃないかもしれな・・・
そんなことないもん。ボクはツンデレなんかじゃない・・・ハズ。
会場の話題はツンデレクイーンという二つ名で統一されており、もう逃げることはできないらしい。実際中学のファンクラブに対抗するためにもツンデレクイーンというものを広めようといった雰囲気があった。
「ファンクラブ限定で秋のことを女王様と呼ぶことを許可する。ってことで今回はいいかしら?」
「良くない!!女神の次は女王様ってなによ。クーちゃんとかつーちゃんとか呼ばれるのが可愛く見えてきたよ。」
「わかったわ。じゃあ、つんちゃんかクーちゃんで統一しましょ。」
「さりげなくツンデレ要素を増やすな!!」
結局ボクは落ち着くことはできずに時間が来たので次の曲である”ちぇりー”を歌うことになった。質問の間ずっと後ろで控えてくれていた軽音の子たちに合図を送ると、歌い出す。始めがボクのソロからスタートってあたりが問題かもしれないが、とにかく頑張ろう。
がんばって練習した甲斐もあり、ギターも上手くいった。まぁ、めちゃくちゃ簡単にアレンジしてもらって右手なんてほとんど使ってないんだけどね。会場は楽しんでくれてるらしく、ボクも歌いきった感があり、交流会も成功といっていいだろう。
そのあと、もう一度質問コーナーと次回の交流会を希望するか、また希望するならばどのような内容が良いかなどを会場のみんなに聞いて行く。マイクを持って走り回る和美と明実は次々と処理していく。
「あの、もちろん次回の交流会を希望するんですが、その時は沖田恵じゃなくて、幸田咲を歌ってくれませんか?ギターを持ったつんちゃんも良かったんですが、やっぱりツンデレといったら幸田咲かなって思って。」
先ほどからの雰囲気からいっても次回開催は間違いないからそれはいいんだけど、ツンデレに関するお願いや質問が多い気がする。
「ちょま、ボクはツンデレじゃないし、しかもなんで幸田咲さんだとツンデレなの?」
ボクに理解していないところで、ツンデレというものがあるらしい。
「ツンデレが良く似合うから?ツンデレの女王は確かいたよね?あれの真似とかでもいいよ。」
「ちょま、ボクはそんなの知らないから。周りが勝手に言ってるだけなのに。」
結局次回はツンデレキャラを演じることになりそうだ。そこはかとなく不安を抱えながらも次の質問に移っていく。
「あの、つんちゃんは苦手なものとかありますか?」
「ゴキブリは苦手です。食べ物の好き嫌いはあまりないから、食べ物で苦手なものはありませんよ。」
「ゴキブリ苦手だったのね。でも、もっと大事なものを隠してないかしら?」
絶対に来ると思ってたよ。というか、浩太の考えたプログラムならきっと入ってると思ったよ。そのとき、BGMが流れ、お約束の展開となった。
「ひゅ〜ドロロロ」
「ごめんなさい。本当にもう隠したりしないので、どうかそれだけはやめてください。」
とにかく和美に謝った。何も悪いことはしていないかもしれないが、こればかりはと、真剣に謝った。
「秋は何も悪いことをしてないわ。大丈夫今からちょっとした音声を流すだけだから。」
そう言って和美が合図すると、鈴の声が聞こえてきた。
『「一問目は、七月二十六日はとある芝居が初上演されたことにより、特別な名前が付いています。その名前とは?」
「幽霊の日よ。」
「正解!」
「ひゅ〜ドロロロ。」
「さぁ、次の問題を早くだしなさい。というかさっさとしなさいよ。」
「うふふ、ドロシーちゃんったら。そんな半泣きですごんだって可愛いだけよ。次の問題ね。ドラキュラ伯爵のモデルとされている、15世紀ルーマニアのワラキアの人の本名は?」
「ブラド三世だ。」
「正解〜!!第三問目にいくわよ。」
「次は僕の番だ。」
「学校には、様々な怪談話がありますが、海良中学に存在する七不思議を六つ答えなさい。」
「簡単だよ。開かずの間・独りでに鳴り出すピアノ・毛伸びの井戸・動く絵画・夜中に揺らめく人魂・亡者への階段ちなみに七つ目は、蟹津武満って人に聞けばわかるらしい。」
「パーフェクトよ。七つ目に関しては私も知らなかったわ。」
「なんでライオンくんはそんなことをしっているんだい?」
「さぁ、最後の問題よ。海良中学きっての美少女と噂され、美術部に所属していることから、芸術の女神と呼ばれる少女の弱点は?」
「幽霊だよぉ。お化け屋敷に一人で入れないからねぇ。」
「いやぁぁぁ!!」』
「いやぁぁぁぁぁ!!」
ボクは音源の最後と被るか被らないかといったところで悲鳴を上げてしまった。
「というわけで、秋の弱点はお化けよ。みんなも、秋が怖がるから、怪談とかを教室の近くでしないでね。ちなみに、秋と仲良くなりたかったら、お化けの話をしない方がいいわよ。このあと、お化けの話をした人達は、大変な目に逢いましたから。」
「お願いします。お化けだけは、お化けだけはやめてください。」
涙を流しながら、会場の人たちにお願いすると、一部の方々を除いて、守ってあげようと思ってくれたみたいだった。
まぁ、一部の人はきっとボクのトランス状態を知って終わりだから、別にいいんだけどね。校長先生、学校の備品が壊れてもボクの責任じゃないので責めないでください。
ボクがそんな的外れなお祈りをしていると、第一回の交流会は閉幕を迎え、時間にすると二時間くらいだったのだが、大筋はみんなに伝えたいことも伝えたし、あとは交流会後に小さなブースを作って、ファンクラブ入会の受付をするだけになるだろう。
すみません。完全暴走回だなと思いながらも、楽しく書かせていただきました。
秋と言ったら、といった部分をすべて盛り込もうとして、多すぎて流れがつかめないからこんな位がちょうどいいといった雰囲気でまとまったと思います。
二つ名に関しては、決まっていました。というネタは以前にもお話しますたよね。
今回のテーマは〜ファンクラブ〜です。秋のファンクラブを完全な敵形ファンクラブにしようか悩んだのですが、きちんと仲良くなってもらいます。というか、学校良く許可だしたのとか思いながらも、こんな場を作らないと仲良くできなさそうなので許可だしちゃいました。
それでは、46話読んでくださってありがとうございました。もしお時間が許しましたなら、評価・感想などにも足を運んでください。