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再転の姫君  作者: 須磨彰
38/79

チャプター37

Happy merry X'mas





聖なる鐘の音を聞き、ボクたちの歌を歌おう


幸せを感じる時、ボクたちの時間が来る


寒い夜に震えないで、みんなで踊ろうよ


暖かい暖炉を囲んで、みんなで歌おうよ


ハッピーメリークリスマス




今日は、合宿の時から約束をしていたトリプルデートをすることになっている。無事に竜とも付き合うことになり、ボクも今日は張り切っておしゃれをした。まぁ、そんなことを言っても、女の子っぽい服を着て、口紅とアイシャドーだけ入れて、薄くファンデをしただけだけどね。




お母さんに竜とのことを言ったらお化粧道具を一式買いに行くことになったが、まだこれだけしか手をつけていない。高校に入っても、校則を破る気もないので、そんなに使うことはないかもしれないが、使い方くらいは理解しておかないと。



「おはよう。」



ボクは集合場所に三十分も前に着いてしまったので、一番に着いてしまうだろうと思っていたが、既に、麻美・司・浩太が来ており、ボクのことを待ち構えていた。



「秋ちゃん。今日はおしゃれしてきたんだ。本当にきれいね。」



「そんなことないよ。麻美の方がきれいだよ。」



「ふふ、ありがと。でも、女の子らしくなった秋ちゃんは本当に素敵よ。」



ボクも今日は竜とちゃんとしたデートをするのは初めてなので、がんばってきたのだ。少しは女の子らしく見えるかな?



「秋ちゃんは、お化粧までしてるのね。あら?あれは鈴かしら?」



麻美が遠くの方を見ると、鈴の姿があり、鈴もボクらを見つけると、かけだした。



「おはよ。早く来すぎたかと思ってたけど、結構みんないるのね。」



「ああ、僕らも一緒の気持ちなんだよ。早くみんなと遊びたい。そう思ってね。」



「そうね。メグ今日は一段ときれいね。さては、竜くんにほれなおしてもらいたくて張り切ったでしょ。」



「別にそんなんじゃないよ。それに、鈴だって今日は可愛いよ。」



「ありがと、メグにそう言ってもらえると嬉しいわ。」



「そうだね。今日は二人とも一段と素敵だよ。」



「彼女じゃないからって私には誉め言葉はないわけ?」



「さっき最初に会った時にいったじゃないか。」



浩太もずいぶん成長しているみたいだ。春までだったら、視界にボクしか入れておらず、麻美はともかくとして、鈴のことを誉めるなんてあんまりしていなかったような気がするが、きちんと彼女のことを見てあげれるようになった。



「あれ?俺って遅刻やった?」



竜はみんなが揃っているところにやってきたため、時間を確かめると、遅刻していないことを確認し、おもむろにボクの方を見たかと思うと、これでもかと言わんばかりにそっぽを向いてしまった。



「ちょっと、それが彼女になった女の子に対する態度なの?何か言うことがあるでしょ?」



「秋が綺麗すぎるのがいけない。あんまりにも美人だから、直視できない。」



「はぅ。」



ボクが迂闊だった。せっかくおしゃれしてきたのにそっぽを向かれて怒ってしまったが、竜の性格を考えれば、素直な反応であり、そして、答えもストレートに返してくるせいで、顔の温度が上がっているのが分かる。



「はいはい。こんなところでラブラブしてないで、チケットを取りに行ってボーリング場に行きましょ。あんまり遅くなると、お昼抜きになるわよ。」



麻美の声でボクらは動き出す。実際クリスマスということもあって、予約したチケットも結構ぎりぎりで取れたため、席が少しバラケてしまい。4人席と2人席になってしまった。2人席はカップル席とかいうやつで、その席を賭けてボーリングで対決することになった。



「カップルで集まってるし、席のこともあるから、チーム戦でいいわよね?一レーンしか借りれなかったから、二ゲームして、一人一ゲームずつして、私たちは合計、秋ちゃんと竜くんのペアは平均でいいわよね?」



「ちょっとまってよ。平均って、明らかに不利じゃん。」



「そんなことないよぉ。僕らはぁ、どっちか片一方は運動苦手な人が一人いるからねぇ。」



「そうだな。時間があるなら別の方法もあるだろうし、均等になるようにハンディをつけることも可能だろうけど、お昼ごはん抜きになっちゃうし、平均と合計でいいだろ。」



浩太の発言に一応ながらみんな納得し、先に、浩太・竜・麻美が投げた。



「ナイスストライク!!」



ハイタッチを決めて、竜たちのゲームは終了。竜は150本倒した。前よりもうまくなってるかもしれない。



「絶好調だったね。これなら、勝てるかもしれないね。」



平均すると、半分になってしまうので、竜の倒した本数は75本換算だが、麻美が64本・浩太が82本倒しているので、まずまずの結果と言っていい。



「秋ぃ。今日は人が多いし、僕らのこと見てる人なんていないだろうからぁ、本気だしなよぉ。スコア表みて気づく人がいたってチーム戦だからぁ。竜がすごいってみんな勘違いしてくれるさぁ。」



「そうだね。それに、勝負事だから手を抜く気なんてないよ。250はいかないと、司には勝てないからね。」



司も、150近くいくはずだ。最高がそれくらいだし、部活で筋肉も発達しているので、きっと合計200は超えてくる。



「え?メグってそんなにすごいの?私たち勝てないんじゃない?」



「そんなことないよぉ。秋には大きな弱点があるからねぇ。」



「今日は、怪談話なんてしても無駄よ。こんな明るくて人が多い場所じゃ臨場感なんてでないんだから。」



そういって、ボクはレーンに立ち、ボールを・・・




「秋ぃ。竜が後ろからスカートの中覗いてるよぉ。」



「キャッ!!」



ボクのボールは無残にも、ガーターを転がって行った。



「馬鹿、覗いとらへんわ。」



「う、迂闊だったわ。まさかそんな手で来るなんて。」



「作戦勝ちだねぇ。じゃあ、僕らは普通に投げさせてもらうねぇ。」



鈴と司はそれぞれ、スペアという好スタートを切り、二投目も同じような手に引っ掛かり、運よく5本だけ倒すスタートになってしまった。



「分かった。竜が目隠ししてればいいんだよ。ほら、ここから動いちゃだめだよ。」



「そこまでするんか?」



「勝てば何でもいいのよ。」



「じゃあないな。久し振りに秋がやる気んなっとるし、協力したるわな。」



竜がしっかりとマフラーで目隠しをしたのを確認すると、ボクは今度こそと構えて、助走をつけた。



「竜く〜ん。なめくじですよ〜。」



ドカッ コロコロ ポテポテ



「麻美!!ナメクジって?」



ボクが竜の方を振り返ると、麻美が竜に濡れティッシュを押しつけようとしていた。



「麻美、濡れティッシュなんて押しつけてなにしてるのかな?」



「いやぁ。目隠しをすると、何でもナメクジと間違えるって聞いたから試してみたくなったのよ。」



「なるほど、分かったわ。守ってばかりなんてボクの症に合わないし、やっぱり元から断つことが大事よね。」



そう言ってボクは、司の方を睨みつけた。



「待ってぇ、暴力はいけないよぉ。」



「あら、残念ねぇ。破壊の一発やニ発ならなんとかなるかもしれないけど、これは対処できるかしら?真美子さんに、【司が邪魔したせいで、ボク何もできなくって、浴衣は来年まであきらめてください。】なんて言ったらどうなるかしら?」



司は顔面蒼白になり、真美子さんによる報復を想像しているらしい。一番酷かったのは、シャワーの途中でガスを止められて、張ってあったお湯も水にされており、凍えてお風呂を出てきたことがあったらしい。



その時は春だったので、タオルで拭いて恨み事を言って済ましたらしいが、今から寒い時期が続く。それに、夕飯のおかずを減らされたり地味に痛い報復もあることだろう。



「分かったぁ。麻美ぃ、フェアに行こう。既に点差もあることだしぃ。ここからは真剣勝負にしよぉ。」



「最初からそうしてよね。まぁ、鈴たちのチームにとっては本当にいいチャンスになったわね。」



鈴は二本目をストライクを取った。この時点でトップに、司は無難にもう一度スペアを取ったが、最初に倒したのが8本だったこともあり、少し鈴に離されてしまった。



「よし、ここからは本気でいくわよ。」



先ほど、リリースに失敗したため、6本ほど倒れているが、幸い真ん中の4本が残っているため邪魔さえなければスペアは取れる。



そのあとボクはミスもなく、265本というかなりの記録を出し、竜と平均を出すと、207本ほどという中々の記録となった。



司は途中ストライク後にガーターを連発するなどのもったいないミスがあり、143本で麻美と合わせると、205本となり、ぎりぎり勝てた。そして、最初好調だった鈴は、失速してしまい、108本と、浩太よりも良い成績ではあるが、合計しても190本と最下位になってしまった。



「仕方がないねぇ。負けたんだからぁ。あきらめるかぁ。」



「そうだな。今回はメグちゃんと竜に譲るとしよう。」



「まぁ、初々しいカップルだし、良いかもしれないわね。」



「秋ちゃんたちもそこまで遠くはないはずだからあんまり変なことしたら見えちゃうわよ。」



???

あの、みんなは何を言ってるのかな?



「鈴と浩太が負けたんだよね?」



「そうだねぇ。そしてぇ、僕たちのペアもぉ、負けたからぁ。カップル席はぁ秋と竜で使ってねぇ。」



司は、そう言うと、ボクにカップル席の指定席が書かれったチケットを二枚渡し、他を四人で分配した。



「ねぇ麻美さん?ボクはなにかたいへんな勘違いをしていたのだろうか?」



「勘違い?最初からカップル席を賭けた勝負だったわよね?それで、秋ちゃんたちは勝ったから、カップル席に座れる。どこに勘違いがあったの?」



「いやいや、こういう場合って普通は、特殊な状況って言うのは負けた者が罰ゲームでなるんじゃないのかい?」



「やぁねぇ。デートなんだから得点に決まってるじゃないの。勝った秋ちゃんにサービスよ。」



「ひょっとして、負けてもこの席に決まってた?」



「あら、秋ちゃん鋭いわね。」



麻美は周りに聞こえないように、耳元にそっと囁いた。



「暗いからって、あんまり変なことすると、声でわかっちゃうわよ。」



「はぅ。そんな、何もしないもん。」



「うふふ。かわいい。」



麻美に抱きしめられてしまった。というか、なぜか鈴に頭もなでられた。



「うぅ。なんか最近二人ともいじめておいてそうやって抱っことかなでなでとかするんだぁ。」



「だって、本当に可愛くってその表情をみるためにいじめたくなるのよ。」



「そんなことより、お昼にしましょ。映画館の側にすっごく美味しいオムライスのお店があるのよ。秋ちゃんのオムライスも卵フワフワだったけど、ここのはトロトロなのよ。」



「麻美って、外食するといっつもオムライスじゃない?」



「そうよ。オムライス大好きだもの。」



「まあいいじゃないの。さ、行きましょ。竜くんも司くんもお腹が空いたって顔してるわよ。」



女の子同士の会話に待たされてしまった竜と司と浩太だったが、麻美のおススメオムライス屋につくと、竜と司は大盛りを頼み、その美味しさに舌鼓を打つ。



「ほんまこれ上手いな。シチューがかかってるオムライスなんて初めてやわ。」



「こっちのあっさりしたドレッシング風のも美味しいよ。」



「マジで?ほな丁度半分くらいやし、 交換しよや。」



「いいよ。ボクシチューも好きだしね。」



「あら?アーンして食べさせてあげなくていいの?」



「麻美!!そんな恥ずかしいことできるわけないじゃん。」



「ええ?秋と竜は絶対にバカップルになると思ってたんだけどなぁ。」



「バカップルって、仲良しカップルは目指すけど、ところかまわずってのは・・・」



「大丈夫だよぉ。秋が慣れてきてぇ。竜の天然が出たらバカップルの完成は近いさぁ。」



何故か否定できない気がして押し黙る。沈黙は最大の肯定ということか?



「俺らそんな頭悪い風にみられとんのか?」



「竜は知らなくていいの。」



「そうよねぇ。今は嫌でも将来いやじゃなくなった時に前にバカップルはしないなんて約束してたら問題だから、しばらくは隠しておくのよね。」



麻美、天才的に竜に聞こえないようにボクに恥ずかしいことを耳打ちするのはやめてくれないか?ボクの心臓がもたないし、顔がそのうちファンデじゃごまかしきれ無くなってしまう。



「ふふ、既にファンデの上からでも赤いのが分かるわ。」



「はぅ・・・」



結局麻美の餌食になるボクだった。しかし、その感情が負の感情でないのは、何も起こっていないことから分かる。それに、竜に告白してから、竜からの守護が強くなったのか、前よりもさらに不幸が減った気がする。



「映画なんて久しぶりだなぁ。どうしても暗いところって避けてたから、レンタルショップで借りてみることの方が多かったからねぇ。」



「せやな。それに、秋のお母さんマメな人やから、テレビで放送されたん録画しといてくれるから、洋画とか秋んち行ったら大概見れたしな。」



「一番はジブリじゃないかな?お母さんジブリ好きだからねぇ。」



そんな会話をしながら、ボクの横ではおっきなポップコーンを抱えた竜がいる。まだ映画前の予告なのに半分以上食べ終わっている。さっき特大のオムライスを食べてたはずなのに、本当に成長期の男の子は良く食べる。



「そういえば、チケットって司と麻美に任せてたんやろ?今から何みるん?」



「入口のところで看板たってたじゃん。007だよ。ボクも初めてみるけど、アクション系らしいよ。」



「へぇ。そうなんや。アクションやったら秋もこわがらへんとみられるわな。」



「うん。麻美たちのことだからホラーかもって恐れていたから、安心したよ。」



「あいつらの席って近くっていうてたけど、どこなんやろな?こっからじゃわからへんで?」



「たぶん、向こうはわかってるんじゃないかな?竜は体大きいし、司たちの方が後ろの列だったはずだからね。」



「そっか、俺らよりも後ろじゃ確認できひんな。」



「変に後ろ向かないでよ。恥ずかしいからね。」



「あいよ。」



しかし、ボクには司たちがどこに座っているのか分かる。というか、本当に近い。通路をはさんで斜め後ろから麻美と鈴の視線がからみつくように先ほどから感じられる。



「お、暗くなったな。そろそろはじまるんかな?」



「そうだね。あんまりおしゃべりしてると怒られちゃうね。」



二人は声を落とすと、映画が始まるのをじっと見る。主演の男優がいきなりハードなアクションを展開し、迫力のある映像が映し出される。



「秋、これって・・・」



「そういうことね。だから、カップルが周りに多いんだね。」



アクションシーンが終わると、主演の男優の元に一人のヒロインが現れ、絡み合うシーンが映し出された。司と麻美の策略に乗るのは癪だが、実際竜とは小学校いらいキスもしておらず、余計に意識してしまい、今では手もつなげていない。



「手、握ってもいい?」



「ああ。」



竜は、大きな手でボクの膝の上にある手を握ってくれた。その手をボクはもう一方の手で優しく包み込むと、なんだか、それだけでほっとするような、ドキドキするようなそんな感覚になった。



「あれ以来キスしてないね。」



周りに気を使い、小さな声で竜の耳元でささやく。この時点で周りからはボクが竜にしなだれかかっているように見えるだろう。でも、暗いし、せっかくのチャンスなので、勇気をだしてみた。



「そうだな。やっぱり、付き合いだしたらキスくらいしないと変だよな。」



「もう、緊張しないでよ。ボクまで緊張しちゃうじゃない。」



「お、おう。」



竜は結局映画が終わるまでガチガチに緊張したままで、ボクは自分からキスしたこともないし、勇気も出なかったので、結局竜の手を握るだけに終わってしまった。



「メグ、健全よねぇ。まぁ私たちもあんまり変わらないから言えないけど、司と麻美だって映画の最中にキスしたわよ。もちろん私もね。」



映画の後、鈴にそう言われてちょっぴりショックを受けた。見られてるのは知っていたが、そこまではっきり分かっていたなんて。



「無理だよぉ。第一見られてるのが分かっててできないよ。」



「私達がキスしてる間とかメグならチャンスはいくらでもあったでしょ?」



「自分からはまだ・・・・」



「もう、本当に可愛いんだから。」



結局鈴に抱きしめられ、鈴から麻美に伝わり、そのあと帰るまでショッピングなどをして遊んだのだが、ずっと二人にからかわれ続けた。



「そろそろ帰るか?」



「そうだね。もう暗くなってイルミネーションも一応とはいえ見れたし、あんまり遅く帰ると、明日のパーティがお父さんが怒って中止になっちゃうね。」



そうなのだ。イブに街に遊びにきたボクらは、明日も一緒に遊ぶ約束をしている。というか、ボクの家で今度は和美や真奈美ちゃんたちを呼んでパーティを開くのだ。六人で遊ぶことを竜がポロっと漏らしてしまい。猛抗議を受けて、明日はみんなで集まる約束をしてしまった。



「じゃあ、僕らは電車で帰るから。また、明日な。」



「竜くん。恋人同士とはいえ、あんまり変なことして秋ちゃんに嫌われないようにね。」



「明日はぁ、料理楽しみにしておくねぇ。」



「和美に取られないようにしっかり守るのよ。」




それぞれ思い思いのことを言って別れる。ボクと竜は毎度おなじみの自転車だ。行きは武兄ちゃんに送ってきてもらったが、帰りは分からないので、竜が少し遠いけど自転車できてくれて、家まで送ってくれるらしい。



お父さんにはこのことは内緒だけど、お母さんと武兄ちゃんが協力してくれてるので問題ない。お父さんは普通に遊びに行って竜に送ってもらったと思うだろう。
















「なぁ。こうして、秋を自転車の後ろに乗せれるんって、中学までやろな。」



「そうだね。高校にも吉川先生みたいな人がいたらいいかもしれないけど、難しいだろうね。」



「ヨッシーは見た目はあれだけど、結構ええ先生やな。」



「見た目とか言わないの。男は中身だよ。」



「じゃあ、俺のことも中身を好きになったん?」



「ううん。全部。一番は中身かもしれないけど、生き方とか、不器用なところとかおっきい手とか、全部ひっくるめて好きだよ。」



ボクって顔見なかったら結構素直に言えるじゃん。竜の背中にしがみつきながら、思っていることを伝えたらなんだかすっきりした。



普段照れて言えなかったことが、クリスマスという特殊な雰囲気と、竜に守られて自転車の荷台で揺れているという中学に入ってから行われている日常の雰囲気が融合して、饒舌になってるかもしれない。



「ありがとな。俺も、秋の全部が好きなんやろな。そりゃ見た目は世界三大美女が霞むほどの美人やからそれもあるけど、やっぱり、秋のその心に魅かれた気がするわな。



どんなに嫌なことがあってもわらっとるその笑顔に、どれだけ俺が助けられたかわからへん。



俺さ。本当は柔道もバスケも途中で投げ出しかけたことあるんて、でもな。そんな時に限って、一緒になって稽古してくれたり、応援にきてくれたりしったんて。まるで、俺が辛くなったん気づいて支えてくれてる気がしたんさな。」



「そんな時もあったよ。特に一緒に練習したりする時は、竜がなんか楽しくなさそうにしてる時が多いかな。でもね、ボクが何かする必要なんてなかったよ。



一緒に練習しだすと、竜はすぐにのめり込みだして、ボクのことなんてほったらかしで反復練習することの方が多いんだから。」



「あはは、熱くなると周りみれへんくなるんは俺の癖やな。でも、秋が側におってくれるから、そんだけ、一生懸命なれるんやで。ずっと、側におってくれたら、一生俺は頑張れる気がする。」



「もう、それってプロポーズ?」




冗談めかして尋ねると、竜は自転車にブレーキをかけ、人通りの少ない、街灯の明かりしかない場所で自転車を止めた。寂れた街頭には、海良の☆という落書きが書かれている。



「今は、こんな安いのしか用意したれへんけど、きちんと名前と誕生日を入れてもらったんや。もらってくれへんかな?」



そう言って、竜は荷台から下りたボクに小さな箱を差し出してきた。




aki 9.23 ryu 10.21




と彫ってあるシンプルな指輪が入っていた。



「ボクの指のサイズいつ調べたの?」



「この前、学園祭でいろんなアクセサリー作ってたやろ?あん時調べたのを浩太にこっそり教えてもらった。」



「そんなところで抜け目ないんだから。」



「嫌か?」



「ううん。」



ボクが箱を手に取ると、竜は箱から、指輪を取り出して、ボクの右の薬指にはめた。



「左はきちんとしたのにとっとくからな。」



「うん。竜、ありがとう。」



「おう。絶対に幸せにしたるからな。」



「うん。もう一つお願いしていい?」



「なんや?」



「キスして?今の幸せな気持ちを竜に抱きしめられて、キスされて感じてたいの。」



竜は、ゆっくりと、抱きしめると、前の時とは違い、身長に差ができてしまったので、かがみこむようにしてボクの唇に自分のものを重ねた。


ボクも竜の体にしがみつくようにして竜の体温を感じていた。
















「そろそろ、帰ろっか。」



「せやな。さむなってきたしはよ家に帰ろか。」



ボクは、さっきまでと同じように竜の背中にしがみついていた。お腹まで回した手には、小さなシルバーリングが時々光を反射して光っていた。











すみません。はしゃぎ過ぎてしまいました。


今回のテーマは、〜二人の想い出〜です。


どんな風にクリスマスをすごせば、二人にとって大切な想いでができるのかを考えて、映画館・ボーリング場・寂れた街灯などを出してきて、指輪がキラリと光って、中学生時代の象徴である自転車の荷台のシーンを最後にもってきました。


ああぁぁ、AKIもあんな素敵な恋がしたいです。


それでは、みなさんまた次話でお会いしましょう。

ここまで読んでいただきました本当にありがとうございました。



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