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再転の姫君  作者: 須磨彰
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チャプター26

真奈美ちゃんのクッキー




合宿では竜先輩と女神様の強い絆を見せてもらいましたが、やっぱり私は女神様のことが大好きなのです。

今日は美術室で、みんなに食べてもらおうとクッキーを焼いてきました。


「女神せんぱ〜い。」


いつものように入口で待ち伏せして飛び着いたら今日は抱きとめてくれました。


「真奈美ちゃんも合宿で変わったかと思ったけどそうでもないようね。」


「鈴先輩。変わりましたよ。これは尊敬の抱きつきなのです。だから女神先輩も避けないで受け止めてくれたんですよね?」


「まぁね。ところで、さっき女神先輩って呼んでくれたけど、鈴たちの話だとボクがいないところでは女神様って呼んでるらしいわね?」


「鈴先輩そこは言わない約束では?」


鈴先輩に報告されていたなんて、今後は女神様の目の届かない家でしかうかつに言えないですね。


「あと、この前合宿の挨拶に行った時にお母さんからも報告を受けているから、家で言っててもボクにばれるから気を付けてね。」


ママの裏切り者。

真奈美の情報を女神様に売るなんてひどいです。


「私のママをお母さんだなんて、義理の母と認めてくれたんですか?」


「はいはい、妄想に浸ってないで部活始めるわよ。」


「冗談ですよ。女神先輩、今日は真奈美がみんなにクッキーを焼いてきたのです。

みんなで食べてくれませんか?」


「いいねぇ。女神ちゃんの料理もおいしいけど、女の子の手作りは、歓迎だよ。」


「浩太先輩の分はありませんよ?」


「まてぇ。なんだか部活の中での僕のキャラがそういうのになってないか?」


「反応を返してくれるので楽しくって、冗談ですよ。たくさんあるので浩太先輩も食べてくださいね。」


先輩たちと話している間に由香ちゃんと花火ちゃんもやって来たので、私は袋を取り出しみんなが食べられるように中央に置く。


「真奈美ちゃん?これはココアかしら?」


「はい。ちょっと黒くなりすぎましたが、食べてみてください。」


私の声にみんなが一つづつ手に取って口に運ぶ。

どうかな、上手にできたかな?私も一つ取って食べてみます。


「えっと、ごめんなさい。ココア味だから少しくらい黒くても平気かと思ってたんですが、焦げていたんですね。」


「うん。ちょっとこれはココアの色だけじゃない黒さがあるわね。浩太?さっき女の子の手作りは歓迎って言ってたわよね?」


そういうと、鈴先輩は浩太先輩にクッキーを渡す。


「そんな、こんなにも焦げたクッキーなんですから捨てましょうよ。」


「大丈夫よ。浩太なら乗りきってくれるわ。さぁ、お口を大きく開けてね。」


結局浩太先輩が残りを食べてくれた。

みんな一個食べて焦げているのは確認しているので鈴先輩の暴走を止めようとしないようです。


「決めたわ。お菓子も一つの芸術の分野よ。

ボクが家庭科室を借りておくから、明日はみんなでお菓子作りをしましょう。」


「合宿もあったし、夏休み前の最後の活動ですよ?いいんですか?」


「大丈夫だよ、由香ちゃん。夏休みも、多少作品作りのために集まる予定だし、ちょうど最後に良いと思うわ。」


「女神ちゃんの作ったお菓子で、夏休み最後の部活を締めくくれるなら、良いと僕も思うよ。鈴も賛成だろ?」


「ええ、じゃあ今日はみんなで、明日何を作るか考えましょっか。」


先輩たち三人の意見がまとまったので、私たちも反対する理由もありません。

明日、何を作るか話をして今日は解散となりました。


「はぁ、失敗しちゃったな。」


「真奈美ちゃん落ち込まないで、おかげで明日秋先輩がお菓子作りを教えてくださるんですから。」


「そうだな。確かに、真奈美ちゃんがクッキーを持ってきてくれたおかげで、女神先輩のお菓子がたべれるんだ。気にすんなよ。」


帰りに由香ちゃんと花火ちゃんに慰められて私は家に向かいました。

明日は一生懸命作り方を覚えて、今度こそ失敗しないように頑張ります。


「今日はクッキーを作るよ。材料なんかはボクの方で用意してきたから、落ち着いてきちんと指示通りに作れば、大丈夫だからね。」


「はい。今日こそはおいしいクッキーを作ってみせます。」


「ところで、なんで麻美先輩も一緒なんすか?」


「それはね。秋ちゃんも全員を指導するのは大変だから、夏休み前で部活も忙しくないからってお手伝いにきたのよ。

お菓子なら私も結構教えられると思うからね。」


「麻美はボクら六人のお菓子担当だからね。

前にみんなで集まった時も美味しいクッキーを作ってくれたから、安心して質問したらいいよ。」


「私もお菓子はそれほど作ったことがないから、麻美が来てくれて助かるわ。」


こうして、女神様と麻美先輩を中心としてクッキー作りが始まりました。

途中までは一緒におしえていましたが、麻美先輩の手際の良さに女神様は指導をまかせると、違うものを作っているようです。


「由香ちゃんと鈴は前に作ったことがあるからそんなに問題はないわね。

真奈美ちゃんも十分上手よ。前のクッキーも焦がした以外は、失敗はなかったんじゃないかしら?」


麻美先輩は教えながら、みんなの様子をきちんと見てくれます。

色々と参考になることも教えてもらいながら、基本的には間違えてなかったみたいで私は結構すぐに指示をもらったら動けるようになりました。


「浩太!!なんでこんな型をもってきてるのよ。」


「いいじゃないか、形は多少大きくなってしまうが問題なく作れるだろ?」


「その大きいのが問題なんでしょ。これじゃあみんなのクッキーが焼けないじゃないの。」


浩太先輩はちょっと特殊な型抜きを持ってきたらしく、いつものように鈴先輩に怒られています。


「大丈夫よ。オーブンは三つあるんだから、何度かに分ければみんなの分も焼けるわ。」


「まず、浩太の大きなクッキーと良くできている由香ちゃんと真奈美ちゃんのクッキーを焼きましょ。

次に麻美のと、花火ちゃんのと、鈴のを焼いたらいいわ。」


女神様の提案で順番に焼くことになりました。

浩太先輩が大きいものを作らなくても結局二回にわけないといけなかったようです。


「ちょっと入りきりませんね。秋先輩どうします?」


「じゃあ、ボクのケーキを焼いている間に余った生地全部やっちゃおう。

かなりの量になったわね。」


「こんなに食べ切れないっす。さすがにこの量は女神先輩でも無理じゃないっすか?」


「竜と司が来るからそうでもないわよ。鈴と浩太で二人を呼んできてくれる?

今日のことは伝えてあるから、お腹を空かして待ってるはずよ。」


「いいわよ。浩太は司くんを呼んできて、私は体育館に行って竜くんを呼んでくるわ。」


先輩たち二人が家庭科室を出ていくと女神様はまたケーキの作成に取り掛かった。


「クッキーよりも焼く時間がかかるから、先に作った方が良かったんじゃないですか?」


「一気に作っちゃったら全部食べる前にクッキーが冷めちゃうでしょ?

冷めてもおいしいけど、できたてをみんなで食べたいから、わざと時間をずらしたのよ。

麻美のおかげでこっちも取りかかれるからホント助かったわ。」


「いいのよ。私は暇だったし、おかげでこうしてみんなで遊べるんだから。」


「一応部活の一環なんだけどな。

まぁ今日は合宿のお疲れ会と夏休み前の骨休みって感じだから、いっか。」


運動部と違い文化部は大会を控えているわけでもないので、ここら辺は気楽です。

まぁ、学園祭の前は美術部も忙しくなるみたいだから、今のうちにのんびりしているのかもしれませんね。


「来年、私もこの時期は部活で忙しいと思うから、今年だけね。

といっても、来年は真奈美ちゃんたち中心になるのよね。

秋ちゃんみたいにとは言わないけど、後輩ができたらいろんなことを伝えてあげてね。」


「それ、ボクのセリフだよ。なんだか本当に麻美も美術部の部員みたいだね。」


しばらく、談笑していたが、一回目のクッキーが焼けたので

麻美先輩は私たちに指示をだすと、花火ちゃんと由香ちゃんと協力してやけどをしないようにミトンを着けてクッキーを取り出しました。


「わぁ〜おいしそう。」


「みんな遅いわね。じゃあ、二回目を入れて焼いている間に先に食べ始めちゃいましょ。

みんな紅茶でいいかしら?」


女神様はケーキを作っていたはずなのに、お茶の準備までしてくれていました。

どこまでも抜かりがないようです。


「おいしい。やっぱり真奈美ちゃんはちょっと焦がしただけで、あとは問題なかったんですね。」


「由香ちゃんのも美味しいわよ。二人とも成功ね。」


「麻美先輩の指導のおかげですよ。本当にありがとうございます。」


次に焼くクッキーをオーブンに入れていた花火ちゃんと女神様も席に着くと、司先輩と浩太先輩が入ってきました。


「良いにおいだねぇ。麻美ぃ。僕の分はぁ?」


「いっぱい作ったから焦らなくても大丈夫よ。

秋ちゃんがお茶も用意してくれたから、手を洗ったら一緒に食べましょ。」


私には司先輩が焦っているようには見えなかったんだけど、彼女ともなるとあの間延びした声の中に変化がわかるのでしょうか?


「ああ、僕のクッキーが、何で割れてしまってるんだ?」


「大き過ぎて焼いてる途中で割れちゃったのよ。味は変わらないと思うわ。」


「麻美ちゃん、一応美術部として作っているから、見た目も大事なんだよ。

しかし、生地の膨張率まで気が回っていなかったな。普段の作品よりも難しいかもしれない。」


浩太先輩は意外と真面目だったみたいです。

普段はお茶らけてるし、今日作ったクッキーも形はアニメのキャラクターだけど、やることは手を抜かない人です。


「あらら、浩太のは割れちゃったみたいね。私のもオーブンに入れてくれたんだ。ありがと。」


「良いにおいやな。俺もさっそく。」


鈴先輩たちも入ってきたのですが、つまみ食いをした竜先輩は女神様に怒られていました。

手を洗って席に着くと、女神様も食べても良いと許可がでて一皿目はすぐに食べ終わってしまいました。


「流石にこの人数で食べるとあれだけあっても足りないわね。

竜も司ももうすぐ次が焼きあがるから物足りなそうにしないの。」


「もうそろそろね。鈴と私と花火ちゃんの分だから、みんなで食べれるとおもうわ。」


「うちのは自信無いっす。こういうん初めてなんで、失敗してるかもしれないっす。」


「大丈夫よ。私が教えた通りにやってたし、クッキーは失敗してもある程度大丈夫なお菓子だから心配いらないわ。」


「そうっすね。昨日も浩太先輩結局全部食べちゃったくらいっすからね。」


「花火ちゃん酷い。そこは私のために言わない約束でしょ。」


「秋ちゃんからみんなに伝わってるから、今さら隠す人はいないわよ。」


麻美先輩まで私をいじめます。

でも、麻美先輩のおかげで今日のクッキーは成功したので良いのです。


「さぁ、焼けたみたいよ。花火ちゃんのも上手に焼けたから食べてね。」


女神様と麻美先輩と鈴先輩がクッキーを出してくれました。

私たちと違って慣れているのか、手際よくオーブンからクッキーを出すと、最後の残った生地とケーキをオーブンにいれて先輩たちも席に着きます。


「花火ちゃんのクッキーもおいしいね。」


「麻美先輩が教えてくれたおかげっす。」


「麻美もぉ。全くできない子に教えることはできないからぁ。

花火ちゃんもこういうのに慣れていけばぁ、一人で作れるようになるよぉ。」


「せやな、十分おいしいし、次は自分一人でチャレンジしてみたらええんちゃう?」


「司たちの言う通りね。ようは慣れよ。私はお菓子が好きだったし、食べてくれる人がいたからね。

花火ちゃんも今度何か作って秋ちゃんのお家にもっていったらいいわ。」


「先輩っ。

女神先輩の手料理に慣れてるんで、それはもうちょっと練習してからにするっす。」


花火ちゃんの相手は武満さんなのですね。

麻美先輩は優しいけど、人をからかうのは司先輩と一緒で大好きみたいです。

さすがに二皿目ともなると、みんなお腹が膨れて来たので、次に焼けた分はみんなで家に持ち帰ることになりました。

でも、女神様のケーキはここで、みんなで食べるみたいです。


「さぁ、お腹一杯のところでわるいけど、ケーキは持ち帰れないから食べてね。」


「美味しい!!これなら全然重くないし食べられるわ。」


「これってイチゴか?これならみんなも全然いけそうやな。」


「生地にイチゴを混ぜたの、本当なら切って、間にイチゴと生クリームを挟むんだけど、これでも十分いけるでしょ?」


女神様はパウンドケーキを作りました。

生地に混ぜられたイチゴが爽やかで、お腹一杯だったはずなのにすぐにケーキはなくなってしまいました。


「どうかな?これに少しデコレーションをして、十分作品になるようなら、学園祭の時にブースに出そうかと思うんだけど。」


「これなら完売まちがいなしやな。

けど、うちの学校ってクラス少ないからそれぞれのクラスで劇するだけやろ?」


「美術部は少し時間をもらって作品展示をするのよ。その時に配ろうと思ってね。」


「なるほどねぇ。いいと思うよぉ。ただぁ、絶対に足りなくなると思うからぁ。

前の日から準備しておかないとダメだろうけどねぇ。」


「そこらへんは大丈夫よ。ボク一人で作るわけじゃないし、年中行事にするために学園祭前に真奈美ちゃんたちには作れるようになってもらわなきゃね。」


「このケーキの作り方も教えてもらえるんですか?」


「もちろんよ。今日見た感じだったら十分作り方さえ教えれば、来年も自分たちでできると思うから、問題ないわ。」


女神様の目はもう既に私たちが独立しても大丈夫なように下準備に向けられているようです。

確かに色々なことを教えてもらって成長していけるのは嬉しいのですが、女神様と離れるのはさみしいです。


「そんなにさみしそうな顔をしないの。

メグも私も浩太も卒業はまだ一年も先なんだから引退しても顔くらいは出すわよ。」


鈴先輩の言うことも分かっているのですが、まだ入学して半年もたっていないのに私たち三人は女神様たちが大好きになってしまったので離れる話は嫌なのです。




「さぁ、クッキーをラッピングしてしまいましょ。

それが終わったら、休み前最後の部活だし、夏休みのことを報告したら解散するわよ。」


先輩達にラッピングの仕方を教わって綺麗に包むと、それぞれにクッキーが渡されました。




女神様は花火ちゃんが作ったクッキーを持って帰り、武満さんに食べさせるようです。

花火ちゃんも、今日は麻美先輩に教えてもらって上手にできたので、少しためらいましたが、承諾していました。


「学園祭の展示は時間の関係から、ボク以外はひとつ作品を出すだけになるみたいなの。

それぞれ夏休み中にある程度までは作っておくようにするわ。

ボクは麻美や司や竜と一緒に平日は美術室に来るようにするから、どんな作品を作るか、どんな風につくったらいいのか質問があったら来ていいわよ。」


「見せるのは一つと言っても、いくつか作った中から最高のものを出す方がいいから、

私や浩太もメグと一緒に美術室に通うつもりだから、みんなもできるだけ来て作品に取り掛かった方がいいわよ。

それに、去年と同じならメグのおいしいお弁当のおまけがつくこともあるしね。」


「ああ、ついつい美術室に毎日通うようになってその影響で僕も技術があがったね。」


「中学校から始めたのに先輩たちが上手なのは、そんなわけがあったんですね。」


「そこまで上手でもないし、それに昔から私たちは好きで絵なんかを書いていたのもあるわよ。

でも、夏休みがんばれば今より技術が上がるのは本当ね。」


こうして、夏休み前の最後の部活は解散となった。

由香ちゃんや花火ちゃんの反応を確認してみたら、やっぱり平日毎日いくみたいだ。

私も毎日女神様に会いたいし、通うことにしましょう。





実はこの話と鈴の浩太への気持ちは番外編の予定でした。詳しくはブログにて

さて、今回のテーマは“真奈美ちゃん視点をどのように分けるかです”元々番外として出そうと思っていたこともあり、視点を変える時の字の文を意識して執筆しました。これらも詳しくはブログにて発表します。


それではみなさんご愛読ありがとうございました。



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