表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再転の姫君  作者: 須磨彰
17/79

チャプター16

番外編〜司の計画〜




「麻美ぃ。こっちだよぉ。」


「おまたせ。どうしたの急によびだしたりして?」


「僕たち付き合ってるんだよねぇ?」


「なに言ってるのよ。この前やっと返事くれたのは司じゃないの。」


「そうなんだけどぉ。正直このままじゃデートも何もできないよねぇ。」


そうなのだ。

僕たちは去年のバレンタインの時から付き合いだしたのだが、もう5月になるから三か月近くたっているのに春休みにデートにいったり、時々こうして二人で会うくらいであまり時間を取れていない。


「まぁ、秋ちゃんのことがあるからねぇ。」


「そこでさぁ。僕たちが二人になる方法じゃなくてぇ。秋と竜から僕が離れる計画をたてたんだよぉ。」


「あら?仲良し三人がそんな簡単に離れられるの?」


「うーん。秋も竜も心友だからこれまでと一緒のようにつきあっていくよぉ。」


竜にはもう既に付き合いだしたことは伝えてあるのだが、秋にはまだ言っていないし特にだれもまだ僕らの関係をしっている人間はいない。

だが、付き合っていることを秋が知ってしまったら優しい秋のことだ。

麻美との時間を作るためにいろいろと気を配ってくれて逆に麻美も申し訳なく感じるだろうし、秋や竜だって今までと違う対応に困ってしまうだろう。

そんなことにはなりたくない。


「え?じゃあ無理なんじゃないの?」


「でもねぇ。僕がいなくても大丈夫な時は結構あるんだよぉ。たとえば登下校とかは竜の荷台にのっていれば問題なんてほとんど起きないからねぇ。」


「なるほどね。でもいきなり司が一緒に登下校しなくなったら二人とも嫌な気分になるんじゃないかしら?」


「そうだねぇ。だからさぁ。竜と秋にも二人っきりで登下校したいと思えばいいんだよぉ。」


「ああ、なるほどね。でもあの二人ってキスまでしたのに付き合ってないんでしょ?」


「そうだねぇ。どこからどう見ても両想いなんだけどぉ。どっちも恋愛に関しては鈍いっていうかぁ。

奥手っていうかぁ。だからさぁ。今度の遠足でちょっとお互いの気持ちに気づいてもらおうかなぁって思うんだぁ。」


「竜くんは大丈夫だとは思うけど、秋ちゃんは難しいんじゃないかしら?」


「大丈夫だよぉ。ちょっと耳貸してぇ。」


そういうと僕は麻美に計画を話した。

要は鈍い秋に竜が好きなことを分からせてあげればいいのだから結構簡単だろう。

直接いったら照れ屋な秋は違うといって反発してしまうだけなので自分で気づかなければいけないが、ここまでやって気付かないほど秋は馬鹿ではない。

むしろ頭の回転はめちゃくちゃいい。


「計画的には問題ないと思うわ。私も司もお互いに班でうまく誘導すればいいだけなんだし、難しくないと思うわ。でも、司の班には鈴ちゃんがいるでしょ?」


「ああ、鈴ちゃんにも協力してもらうつもりだよぉ。鈴ちゃんは秋のこと妹みたいに思ってるからぁ。

相談したらたぶん大丈夫だと思うよぉ。むしろノリノリであおってくれると思うなぁ。」


鈴のあの性格なら確実に話に乗るだろう。

そして当日は秋の様子にうまくフォローを入れながらも気持をあおってくれることだろう。


「あんまり鈴ちゃんと話したことないからわからないけど、司がそういうなら大丈夫ね。でも、秋ちゃんと竜くんをくっつけるなら鈴ちゃん浮いちゃうんじゃないかしら?」


「そこらへんは鈴ちゃんと相談するよぉ。鈴ちゃんだけどこかに消えてもいいしぃ。一番簡単なのは浩太を誘って六人でトリプルデートみたいにするのがいいかなぁ。」


「浩太くんってあの?中学に入って変わったのはしってるけど、そうなんだぁ。」


麻美は浩太のことを幼稚園からみているのでその頃のイメージが抜けないようだ。

中学に入っても運動はあまり得意ではないが、勉強の方は秋の次くらいに良かったはずである。

まぁ満点以外をとったところを見たことがない秋は別格なので除くと考えれば。

学年で一番成績がいいのかもしれない。


「うーん。こっちはぁ、あんまり確証はないけどぉ。仲がいいのは確実だからぁ。鈴ちゃんならうまくやってくれるとおもうよぉ。」


「彼女の前で他の女の子のことを誉めるなんてダメよ。」


「今さらじゃないぃ?秋と仲がいいの知ってて告白してくるぐらいだからねぇ。」


「それもそうね。でも秋ちゃんは心友なんでしょ?秋ちゃん以外と浮気したら許さないんだからね。」


「秋とだってぇ。他の子だって浮気しないよぉ。」


「もう、そういう時くらいビシッとかっこよくいってよね。」


「僕はこれが普通だからぁ。こんな僕がすきなんでしょぉ?」


「もう、ずるいんだから。」


口はすねているようにしているが、眼が怒っていない。

秋の影響であまり時間がとれなかったが、それでもちゃんとお互いを理解し合っているのが分かる。

こんな彼女がいて浮気なんてできるわけがない。






調子に乗って番外編なんて書いてしまいました。

今回のテーマは“司の位置をみんなにわかってもらう”でした。


恋愛とは違う心友関係を大事に思う司が遠足の前にどんな風におもってあの計画をたてたのかが伝わってくれたらなと思います。


司は基本面倒見がいいので、竜や秋の相談役といった雰囲気ですね。

まぁ時々はっちゃけますけど。



それでは番外編をご覧いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ