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制圧

「雫ちゃんを泣かせてんじゃねいのです!」

「いや、それさっき言ったよな」


少女は威圧するように一歩前に出て、さっきと全く同じことを口にする。

それに対して闘也はツッコミを入れる。


「うるさいのです!

雫ちゃんを泣かせる悪人は、この緑川 有紗が成敗してやるのです!」


そう言った次の瞬間に、僕の横腹を目掛けて蹴りが飛んできた。僕はすぐに横に飛び衝撃を逃がし、元居た場所を見る。そこには、さっきまで十数メートル先に居たはずの、緑川と名乗った少女が立っていた。


(能力者なのは確かだとして何の能力だ?加速か?)


「手ごたえなし!悪人のくせにやがるのです!」

「いきなり蹴りを入れるなんてご挨拶だね。僕が泣かせたわけじゃないんだけど?」

「そんなの信じられないのです!それに、たとえそれが真実だとしても、ここに来るのは私と雫ちゃん以外は悪人だけなのです!悪人には何をしても許されるのです!」

「暴論だね~」


そんな会話をしながら考えを巡らせる。


(加速なら、加速したまま蹴ればいいから違う。転移はどうだ?いや、転移なら蹴るモーションに入ってからじゃないと、あんな感じに蹴れない。じゃあもしかしたら・・・)


「ええい!問答無用!!」


緑川はそう叫び、次の瞬間に顔面に拳が飛んでくる。僕はそれを横に避けながら手首を掴み、足を払いながら反時計回りに回す。そうすると彼女の体は、くるっと空中で回り地面に背中から投げ出される。僕は手を放し、彼女の顔を上から覗き込む。


「君の能力は時間停止だね」

「な、なんで分かったのですか!?」


彼女はそう言ってから、能力を使いその場を離れ、僕を睨みつける。僕はそれに微笑みで答える。


「なんで分かったのですか!」

「同じこと言うの流行ってんのか?」


さっきから話に入って来なかった、闘也と山内がこちらに近づきながら再びツッコミを入れる。そんな彼らの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。


「なんでって言われても、可能性を消去法で消していったら、それがのっこただけさ。

さて、種が割れたわけだが、これ以上続けるかい?」

「分かったから何だってんですか!避けることしかできないくせに!」

「へー、本当にそう思うのかい?」


僕は微笑みから不敵な笑みに表情を変える。それに緑川は少し怯むが、すぐに調子を取り戻す。


「はったりなのです!時間系は少ないのは知ってるのです」


彼女はそう言って不敵な笑みを浮かべる。


「時間系じゃなくても、君を倒す方法はいくらでもある」


そう言いながら、僕は構えを取ってから、能力を発動させ―――


「ちょっと待ってください!」


―――ようとしたが、雫が飛び出してきたのですぐにやめる。

あちらもやめたようで、雫の方を驚いたように見ている。


「なんで止めるのですか!こいつ等は雫ちゃんを泣かした、悪人なのですよ!」

「私は泣いてませんし、この人達は悪人でもありません!」

「で、でも・・・」

「でもも、へったくれもありません!!」


そう言い切った雫は、今度はこちらを向く。


「兄さんも、兄さんです!

口で説明すればいいのに、なんで暴力で解決しようとしてるんですか!?」

「先に手を出し来たのは、あっちなんだけどな~」


怒る雫にゆったりとした反論をする。


「言い訳無用です!!二人ともそこに直りなさい!!!」


そして僕達は小一時間、雫にみっちり叱られるのであった。

早く帰りたい・・・

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