廃工場
山奥の廃工場の前に、三人の人影があった。
「此処が、その場所か!」
ウキウキしている闘也と、
「うん!!!」
いつもどうり、元気はつらつな山内,
そして、
「はぁ・・・」
げんなりして、ため息をつく僕
(来たくなっかた。早く帰って休みたい)
連絡を受けた時点で深夜の1時を回っていたし、目的の場所には車で2時間もかかる。つまり今は深夜3時過ぎ。今、僕は五徹目なのも相まってとても眠い。
しかも、情報源は山内だ。全く当てにならない。
「零くん、大丈夫?
疲れてるようだけど」
「ああ、そうさ疲れているんだ。だからさっさとかたずけて帰るよ」
心配してくる山内に苛立ちをぶつけながら、廃工場の中に入っていく。
闘也も「そうだな!」と言いながらついてくる。
※※※※※※※※※
廃工場の中には50人程の虚ろな目をした人がおり、全員が此方を向いていた。後ろには何かの機械が積み上げられており、その上にはマントを羽織った中学生くらいの身長の少女の後ろ姿があった。
「来ると思っていましたよ、能力者狩りの皆さ、え!?」
「はぁ!?」
少女はしゃべりながら振り返えったが、こちらを見た途端驚いた声を上げた。
闘也もその少女の顔を見て、驚いた声を上げる。なぜなら、そこにいたのは僕の妹だったからだ。
「雫、何やってるんだい?」
「い、いや、その、最近ちょっとした夜遊びにはまっていまいて・・・」
「夜遊びだとしても危なすぎると思うけどね~」
「それは・・・
に、兄さん達こそ、こんな場所に何しに来たんですか?」
雫の逆ギレ気味の質問に、僕は冷静に返す。
「君がさっき言ったとうり、能力者狩りをしに来たんだよ」
「兄さんが能力者狩り!?」
「おいおい、何驚いてるんだ?
さっき、来ると思っていましたよって言ってたじゃねいか」
闘也のツッコミに、僕と山内は頷く。それを見た雫は、ためらいながら口を開く。
「あれは、ここに来た人全員に言っていることで、その、なんというか・・・」
「つまり、あてずっぽうなんだね!」
「はい、そうです・・・」
頭は悪くはない雫が、正直にいって馬鹿な山内に、とどめを刺されているのを見ていると、少し面白かった。
(まあ、くだらないことは置いといて)
雫が居たことが衝撃的で忘れかけていたが、雫と僕達の間には50人程の集団がいる。しかも、虚ろな目をしているというオプション付きである。これを雫がやったのならば、
「雫、いくつか聞いていいかい」
「え、あ、はい、なんですか?」
「君は能力者なのかい?」
「な、なぜそれを!」
僕の質問に雫は分かりやすく驚く。
「この状況を見てそう思わないほうが、おかしいと思うよ?」
「あ、確かにそうですね」
納得した様子の雫に、次の質問をする。
「君の能力は精神干渉系だね?」
「な、なぜそれを!」
さっきと全く同じことを言いながら驚く様子に、僕は呆れる。
「理由はさっきと同じだよ。頭いいんだから、学習しなよ」
「はう、ごめんなさい・・・」
項垂れる雫から闘也の方に視線を移す。
「これであと一人だね」
「そうだな」
「これでやっと帰「雫ちゃんを泣かせてんじゃねいのです!」れる」
後ろから大声が聞こえ振り返ると、そこには雫より少し身長が高めの少女がいた。
もう少し帰れそうにない。