第15話 夢遊病者
「だっ、だめだ美緒さん!」
美緒の殺意を確信した圭一は、即座に背後から美緒を羽交い締めに!
すると......
バチバチバチ!!!
「のうわぁー!」
突如目が眩むような閃光が視界を包み込むと、次の瞬間には、圭一が崩れるように倒れ落ち、先程出現したばかりの人工池に顔が見事着水した。
くせぇ......圭一は痺れと予期せぬ着水に、顔がよじれてシワくちゃになる。
エマと言えば、『静なる合気道』
圭一と言えば、『豪傑パンチ』
ポールと言えば、『閃光投げナイフ』
そして今や、美緒と言えば『改造スタンガン』
他の3人同様トレードマークと化している。しかしそれらの技(武器)は、外敵から身を守る為のみに使用されるものであり、敵対関係でも無い人間、ましてや味方たる者にそれを使用するなどと言う事は、前代未聞の暴挙と言っても過言では無い。
「私の邪魔をする者は誰と言えども許さない......」
美緒の顔に浮かべた表情は、もはや常人のそれとは明らかに違っていた。
極神島の祟りなのか?
それとも樹海の呪いなのか?
いずれにせよ、現実とは明らかにかけ離れた猟奇的な表情であった事は間違いない。
「......」
健介はもはや何の言葉も発せず、手足はだらんとぶら下がっている。
「止めろ美緒さん!」
圭一は痺れる身体に鞭を打ち、美緒の足を太い腕で掴み、力任せに投げ飛ばした。
バタンッ!
美緒の身体は見事に投げ飛ばされ、スタンガンが床に転げ落ちる。
「「ハァ、ハァ」」
肩で息をする二人。しかし息をしていない人間が一人居た。
「お、おい! 大丈夫か?!」
圭一はそう叫びながら、絨毯の上をアザラシの如く這いつくばりながら健介の元に身を寄せた。
そして恐る恐る健介の口元に耳を当てる。嫌な予感が......案の定、見る見るうちに圭一の気色ばんだ顔から血の気が引いていった。
「まずい。呼吸停止だ!」
圭一は即座に健介の心臓の上に手を当て、心臓マッサージを開始!
1、2、3、4、5......
「...... 」
そんな2人の様子を、ただポカンと口を開けて眺めているだけの美緒。脱殻にでもなったのか?
まるで他人事......そんなようにも見える。
「ダメだ、心臓が動かん。美緒さんそんな所でポカンとしてねえでAED探して来てくれ!」
そう叫びながら圭一は人工呼吸を開始!
美緒さんを殺人犯にする訳にはいかん!
フー、フー、フー......
「......」
美緒は何を思ったのだろう? 無言のまま音を立てずに立ち上がると、絨毯の上に転がったスタンガンを再び手に持った。
そして人工呼吸を続ける圭一の背後にゆっくりと歩み寄って行く。
まさか......
まさか......
そんなバカな......




