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傷だらけのGOD 樹海の怪 地獄のサバイバル!  作者: 吉田真一
第11章 追跡
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第6話 富士宮

再び誘拐車両が現れ始めた。


「ポールさんストップ!」


「ホイッ!」


ポールが静止ボタンを押すと、モニターには誘拐車両が正面を向いたまま静止した状態で映し出されている。


「このハードディスク最新型デスネ......映像拡大デキマスヨ」


そう言いながらポールは誘拐車両をドラッグし、一気に画面を広げた。画像を拡大すれば、当然のごとく画面は荒くなる。


「確かに運転手は帽子を被ってるみたいね。ナンバープレートもしっかり映ってるけど......番号までは読み取れないわね......」


美緒の顔が曇る。


「美緒サン諦めるのはまだ早いデスヨ」


ポールは目を輝かせながら、ポケットからスマートホンを取り出すと、映し出されている画像をカメラに収めた。


カシャッ。


「スマホに画像を取り込みマシタ。この画像を今から解析シマス」


そう解説しながら、ポールは何やらスマホのキーを操作し始めた。


「解析って......そのスマホで何が出来るっていうの?」


美緒は身を乗り出してスマホ画面に注目する。


「ほら、もうすぐデスヨ」


画面には『WAIT』の文字が浮かび上がっている。恐らくポールの言うところの『解析』が行われているのであろう。


やがてその文字は消えた。


「ホラね」


ポールの顔は得意満面。かなりのどや顔だ。


「!!!」


美緒はその画像を見た瞬間、大きく目を見開いた。


美緒の瞳に映し出されている画像......それは丸裸とも言える程鮮明に映った誘拐犯の顔と車のナンバープレートだった。美緒の体は俄にブルブルと震え始める。顔からは血の気が引き、大きく見開かれた両目からは、まるで炎が吹き出しているような熱波が発せられていた。


ももちゃん......もうちょっと待っててね。


今からお母さん......


ももちゃんを誘拐した犯人殺しに行くから......


また後でね。大好きなももちゃん......


「さぁ、美緒サン。長居は無用デス。行きましょう」


「......」


二人はコンビニエンスストアーを後にすると、素早くポールの車に乗り込んだ。彼らが向かった先......それがどこであるかなど今更説明するまでも無かろう。


 

 ※  ※  ※



一方......


「もう一杯くれ」


「お客さん......もうこれで8杯目ですよ......大丈夫ですか?」


蝶ネクタイがよく似合うダンディーなバーテンダーは不振な表情を浮かべながら問い掛けた。


富士宮駅から徒歩3分。モダンな洋風バーのカウンターには、ちょっと店の雰囲気には似合わない一人のみすぼらしい青年が美酒に酔いしれていた。


「まだまだ大丈夫だって。酔ってるように見えねえだろ。今日はとことんいくぞ!」


古びたジーンズに毛玉だらけの黒いトレーナーを纏った如何にも貧乏そうな青年がバーテンの問い掛けに少しイラついた表情で答えた。カウンターの隣の席には、ネイビーのドカジャンと薄汚れたキャップが乱雑に置かれている。この青年の持ち物なのであろう。


「いや...... そういう意味じゃなくて.....」


バーテンはいよいよ困り顔だ。


「何だ?.....俺が金払えないとでも言いたいのか? ちょっと待ってろよ」


金髪頭の青年はそう言いながら、ズボンの右後ろのポケットから、これまた大層年期の入った財布を取り出した。見れば財布の中は紙幣でぎっしり。二つ織りの財布が降り曲がれずに丸くなっている。


「これ全部一万円札だ。何なら見てみるか?」


そう言いながら、青年は財布をカウンターの上にポンと投げ出した。かなり重量感がある。


「いっ、いや結構です。大変失礼致しました」


そう謝りながら、バーテンは8杯目のウィスキーをロックで差し出す。


分かればいいんだよ......全く!


今日の俺はちょっといつもと違うんだぜ......


大きな仕事をやり終えた後の酒は格別だ......


旨い酒にいい女......


これが揃えは完璧なんだけどな......


見掛けに似合わずちょっとリッチな青年は脳裏にそんな妄想を浮かべながら複雑な表情を浮かべていた。


何か臨時収入でも入ったのだろうか?......



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