第4話 警察手帳
「準備はいいわね。さぁ行くわよ!」
この人は何を言ってるんだ......
どう見たって準備出来ていないだろ......
ポールは打ち付けた腰を擦りながら無理矢理立ち上がった。美緒が進むその先にあるもの......それは交差点の四つ角に出店するコンビニエンスストアーだった。店舗入口正面頭上には、一目見てそれと解る防犯カメラが駐車場、そして道路に向けられて設置されている。
なるほど!......この交差点を誘拐車両通れば、必ずあの防犯カメラに映っているはずだ! いや、待てよ......コンビニが部外者に映像を簡単に見せてくれる訳無いじゃないか。警察でもあるまいし、警察手帳なんかも持っちゃいない。ところで、フィットネスジムの顔写真付き会員証一体何に使うつもりなんだ?......
まっ、まさか! あの人はアホか?!
カッ、カッ、カッ......
カッ、カッ、カッ......
アスファルト敷きの駐車場に美緒のヒール音が響き渡る。太陽はその頃ちょうど真上に位置し、昼時の駐車場は全ての区画が車で埋め尽くされていた。ガラス越しに見える店内は、現場作業員やサラリーマンなどで結構な賑わいを見せている。お昼時のコンビニは正に書き入れ時と言えた。
そんな最中......
ギー......日常のごとく入口の自動ドアが開放を始めた。
「いらっしゃいませ!」
学生アルバイトだろうか? オタクオーラを隠しきれていない髪の毛ボサボサ男が呪文のように声を掛けてくる。
「警察よ! 防犯カメラの映像見せて!」
結構な声量だ。店内に20は居るであろう客達は、一斉にその声の持ち主に視線を送った。それが誰なか? 今更説明の必要も無かろう。
美緒はそう言い放つと、後ろに控えるボールに目配せをする。早く出しなさいよ!......そんな合図に違いない。
「ヘイヘイ分かってますって......」
ご指名を受けたポールは、直ぐ様ピンク色に縁取られた警察手帳? をレジに陣取るオタク男に呈示した。
「はい警察ダヨ。中に入らせて貰う」




