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傷だらけのGOD 樹海の怪 地獄のサバイバル!  作者: 吉田真一
第5章 BAR SHARK
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第2話 4人

藤堂圭一は、元々短髪だった。一年前の極神島における事件で、当時依頼者だった桜田美緒救出の際、顔右半分に大火傷を負った。以後その跡を隠す為、髪の毛を長く伸ばし、その風貌は一転している。


『EMA探偵事務所』......元々は代表の柊恵摩ひいらぎえま藤堂圭一とうどうけいいち、ポール・ボイドの3人で活動を行っていたが、同極神島の事件以降、新たに桜田美緒さくらだみおが加わり、今は4人体制となっていた。


代表 柊恵摩......25歳


合気道の達人であった父、柊国雄ひいらぎくにおより、幼少の頃から合気道を叩き込まれ、今や戦いという事に関して彼女の右に出る者は居ない。


そんなエマの父も、4年前不慮の事故で他界。当時父が代表として活動していた『柊探偵事務所』を娘のエマが後を継ぐ形で『EMA探偵事務所』が誕生し、今に至る。


類い稀なる美貌の持ち主で、誰からも好感を得る。また悪に対しては『鬼』となり、『善』に対しては御仏の心で接するエマに対し、他の3人は絶大な信頼を寄せていた。


藤堂圭一......29歳


元々はプロのボクサーであった彼だが、とある事件で自殺を決意するまでに追い込まれる。そんな窮地をエマに救われ、彼の腕っぷしを買ったエマは、EMA探偵事務所に彼を招き入れる。


類い稀なる武道派は、如何なる敵も力でなぎ倒し、ブルドーザーのごとく前に突き進んでいく。また代表エマを『神』と崇め、『エマさんの進む先が例え地獄であっても、自分はただついていくのみ』と豪語した事は記憶に新しい。


彼の武勇伝として、極神島の事件で燃え盛る建物から、顔を炎で焼かれながらも美緒を救出した男気は今や伝説と化している。その時出来た顔の火傷跡は正に彼の勲章とも言えた。


ポール・ボイド......23歳


アメリカ人の父と日本人の母の間に産まれたイケメンハーフ。アメリカ生まれのアメリカ育ちで、2年前初めて来日する。アメリカでは幼少時代からサーカス団の一員として、全米各地を渡り歩き、ナイフ投げの達人として名を上げていた。


そんな彼も圭一同様、不運な事件に巻き込まれ、ずたぼろになりながら、母の母国である日本へと逃げてくる。ナイフ投げに加え、元々彼が持ち合わせていた諜報能力、精密機器への豊富な知識を買ったエマは彼を招き入れ、今に至る。


エマを慕う気持ちは誰にも負けないと豪語しており、密かに圭一にライバル意識を燃やす。エマ探偵事務所内では、ムードメーカー的な存在だ。


1年前の極神島の事件では、秋葉会のメインコンピュータ室で敵に右耳を噛み切られながらも、最後まで集中力を切らす事なく、脱出に大きく貢献した事は記憶に新しい。


桜田美緒......25歳


1年前、何者かに恋人を殺され、自殺未遂を繰り返していた彼女は、エマ達に殺害犯の抹殺を依頼する。依頼者として、圭一、ポールらと行動を共にしていくうちに、彼女の探偵としての才能が開花していく。


彼女の記憶力、洞察能力、窮地における判断能力、計算能力などは、凡人の域を遥かに超えており、事件解決後、圭一、ポールの推薦を受けるという形で、エマ探偵事務所の一員となった。


気性は非常に激しく、扱いずらい部分もあるが、最近ではその傾向もおさまりつつある。表向きは否定しているが、密かに圭一を慕っている。


そしてその他にもう一人......


未成年である彼が、深夜このようなBARのカウンターに座っている事自体、本来であれば考えられない。なぜ未来なる青年が今ここにいるような流れになったのか、実際のところ誰も解らなかった。


ただの成り行き......そんな言葉だけで片付けられるような楽観的な事態ではなかった。美緒は突如顔を横に向け、口を開いた。


「おいっ、未来。始めっから話せ」


「はっ、はい......」


未来はロールカーテンのごとく毛布を体に巻き付けていた。自分を追い回していた狩人達から、一時的とは言えその包囲網から抜け出し、幾分か落ち着きを取り戻していた。


バーテンダーに作って貰ったホットミルクをカウンターに置き、ゆっくりと話し始める。


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