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幽怪百物語  作者: 背戸山葵
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第七十五話 サーバー室

 四方さんが以前働いていた会社で体験した出来事である。

 いつも通り仕事をしていると、突然、上司から呼び出しがかかった。

 声のトーンが低く、かなりムスッとしている。何か自分のせいでトラブルでも起こったのかと内心ビクビクしながら応対すると、

「昨日の昼、サーバー室に入って何をしていたんだ」

 と、詰問をするような調子で訊ねてくる。

 サーバー室とは社内で使用するサーバーがまとめておいてある部屋で、そこには社内でやりとりされたすべてのデータが保存されている。

 四方さんに心あたりはなかった。

 用事が無ければ立ち入ることはないし、昼休みは外に出てご飯を食べていた。

 それを説明すると、上司はフン、と鼻を鳴らして、四方さんがサーバー室に入ったのを見たと言い、入室記録のコピーを見せてきた。

 サーバー室は重要な部屋だ。

 そのため、入退出時にはIDカードを使用しなければならない。

 さらに、IDを使用した際には記録が残る。

 だから、そこに記録が残っている以上はサーバー室に入った、ということになる。

「ここにちゃんとお前が入室した履歴が残ってるじゃないか」

 確かにそこには、四方さんのID番号が表示されていた。

 だが、四方さんにはやはりサーバー室に足を運んだ記憶はない。

 勤務中、IDカードは首から下げているため、退社時間以降であればともかく、昼休みに誰かがそれを使うことは不可能だ。

 と、番号と時間の書かれた紙を見ていた四方さんはあることに気が付いた。

「確かにこれ俺の番号なんですけど……退出記録ついてないですよ」

 部屋から出る際にもIDの提示が必要だ。

 その際にも、間違いなく記録は残るはずなのである。

 しかし、四方さんの番号のカードの持ち主が退出した、という記録はリストのどこにもなかった。

 機械が誤作動したのだろう、そういうことで決着はつき、四方さんには何のお咎めもなしだった。

 ところが、上司は四方さんと同じ格好をしたサーバー室に入るのを見た、という点だけは最後まで譲らなかったそうだ。

 四方さんはその日、もう一人いたのかもしれない。


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