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幽怪百物語  作者: 背戸山葵
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第六十七話 間違った真言

 四国の田舎で拝み屋のようなことをしていたおばあさんの話だ。

 ようなこと、というのもこのおばあさんは由緒ある霊媒師とか修行をした僧侶や神職というわけではない、それどころか多少のお礼をもらうことはあっても、拝み屋を生業としている、というわけではない。

 言ってみれば、趣味で拝み屋をやっている者、という塩梅である。

 最初は身の回りの人が病気や怪我をしたときにせめて気休めになればと祈祷の真似ごとをしていただけだたのだが、それが病気に効くとか悪いものを祓ってくれるという噂が立ち、病に苦しむや運に恵まれない人から依頼を受けて始めたのだそうだ。

 拝み屋、と言っても特別なことをするのではなく、古典的なもので悩みの種が払えますように、病が治りますようにと念じながらお不動さん、つまり不動明王の真言マントラを唱えるのである。

 しかし、そのおばあさんの唱える真言は通常のものとは少し異なっていたそうだ。というのも、独特の訛りやアクセントがあったのである。

 おばあさんはある時、本職のお坊さんからこんなことを言われた。

「あなたのやっていることは大変すばらしいことだと思います。しかし、少し真言に誤りがある」

 ということで、親切心から正しい発音やアクセントを教えてもらい、おばあさんはそれを修正したそうだ。

 ところが、不思議なことに真言を改めてからというもの、おばあさんの祈祷はぱったりと効果が無くなってしまったという。

 苦しむ人や悩む人を助けようとより効果を高めるために、正しい発音、というのを取り入れたというのに、皮肉な話である。


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