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幽怪百物語  作者: 背戸山葵
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第六十六話 ひとりおおい

 あまり外に出ないことを心掛けなければならないご時世でも、人と顔を突き合わせてお喋りをしたい、楽しくお酒を飲みたい、と所望する人は存外多いようだ。

 そこで最近では家で各々酒やつまみを用意し、PCやスマホの通話アプリを使ってオンライン飲み会、というものを開くそうである。

 赤城さんという二十代の学生が、ある通話アプリを使って大学のサークル仲間たちとのオンライン飲み会に参加した時のことだった。

 参加者は二十五人で、アプリに画面には五×五のマス分の友人たちの顔が並んでいる。その環境も様々で、イヤホンとPCのマイクだけで参加している者や、ゲーム配信者が使うような本格的なマイクとヘッドホンを使っている者、部屋がやたらと汚い者、背景に家族が映る者など個性豊かだった。

 外出を自粛している中、久しぶりに顔を突き合わせた者もおり、酒自体を久しぶりに飲むという者もいて、会話は弾み、それを聞いているだけでも楽しく、夜の十八時に始まった飲み会はお開きになるころには夜の二十四時を過ぎていた。

 かなり遅くまで飲んでしまったが、楽しかったな。しばらく自粛が続くようなら、また参加してもいいかもしれない。

 汗を流すために軽くシャワーを浴びて、飲み残した缶チューハイを片付けるまでしばらくスマートフォンを弄っていた、そんな時だった。

 サークルの中でも特に仲のいいWさんから、ラインでメッセージが届いた。

「なあ、赤城。飲み会の席だから言い出せなかったんだけどさ、なんか今日、変じゃなかったか?」

 変、と言う意味が分からない。赤城さんとしてはただただ楽しかっただけだ。

「いや、何が変なんだ? お前も楽しそうにしてたじゃん」

「そうなんだけどさ……途中で気づいちゃったことがあって」

「気づいちゃったこと?」

「あのさ赤城。今日の参加者って何人だっけ?」

「二十五人だろ」

「あの時さ、通話に何人いた?」

 赤城さんはアプリの画面を思い出した。

「五の五の……やっぱ二十五人じゃないの? 全員いたぞ」

「それさ……自分のこと入れてないだろ」

「あ……」

 そう言われて気が付いた。そのアプリでは複数での通話時に画面に表示されるのは、通話相手だけで、自分が画面に映り込むことはない。

 つまり、あの場には二十六人いたということになる。

「誰かこっそり参加してたんじゃないか?」

 顔見知り同士の飲み会だ、いちいち自己紹介などしない。それに、並んでいる顔は全員が見たことのある顔だ。見知らぬ人がいれば、気が付くだろう。

 そこで、赤城さんとWさんは手分けしてサークルのメンバーに飲み会に参加していたかどうか訊ねてみたそうだ。

 その結果、参加を確認できたのは赤城さんとWさんを含めた二十五人だけだった。

 参加者のうち何人かは同じような疑問を抱いていた人がいたようだが、誰かがこっそり入ってきただけだろうと思っていたが、誰が、というところまではわからないという。


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