表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽怪百物語  作者: 背戸山葵
54/100

第五十四話 採光窓から覗くもの

 怪異と言うのは怪異を呼ぶという。関係があるかわからないが、本作を書いている時に一つ奇妙な経験をした。

 夜中まで起きてパソコンに向かっていたところ、トイレに行きたくなった。

 トイレは部屋を出てすぐだ。

 便座に腰かけて用を足していると、ふいにじゅうたんを踏む足音と膝がパキッとなる音が聞こえたので鍵を閉めた。

 私は最初、父かなと思った。父は年のせいもあってトイレの回数が多い。毎夜一度はトイレに起きてくる。父も歩くとき、膝が鳴るのだ。

 だが、父なはずはない。

 その日は家族が皆用事で出ていて、家には私一人だけだと思い出した。

 足音は少しずつ近づいて来ていた。

 コン、コン。

 トイレのドアがノックされる。

 誰かがドアの外にいる。

 私はじっと息を殺していた。

 ふぅー、ふぅー、荒い息遣いが聞こえる。

 ふと上を見ると、トイレの明かりを確認するための採光窓に白いものが写っていた。

 眼だ。

 すりガラスで、はっきりとはわからないが、外のそいつはトイレの中を覗きこんでいた。

 窓の位置から考えると、身長が2メートル近い。

 なんなんだ。どうすればいいんだろう。

 私はトイレの中でじっとしているしかなかった。

 やがて、ドアの前のそいつは、バン、バン、とドアを叩き始めた。

「入ってるから、後にしてくれ!」

 私は思い切ってそう口にしてみた。

 すると、ふいに音が止み、足音が遠ざかっていった。

 数分待ってから、私はドアを開けた。

 どこにも気配はなかったが、私は朝が来るまで、家中の電気をつけっぱなしにして作業の続きに取り掛かった。

 それが現れたのは、その一度きりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ