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幽怪百物語  作者: 背戸山葵
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第五十三話 幽霊に懐かれる

 町田さんの実家は神奈川の西横浜にある築四十年くらいの一軒家で、子供の幽霊が出るという。

 十三歳のころに引っ越した頃から、家に自分しかいないときにパタパタと小さな子が駆けるような足音を聞くことはしょっちゅうだし、目の端を小さな影がかすめることも毎日のようにある。

 部屋でゲームをしている時には、横に座ってじっと画面を見ているような気配がすることもあったという。

 性別はわからないが子供、と言うことだけは確実だそうだ。

 イタズラ好きなようで、リビングのテーブルでご飯を食べていると机の下で小さい足が脛の辺りを軽く蹴ったり、足と足をペタッと合わせてきたりする。

 夜布団で寝ている時、手足を出しているとくすぐったり、握ったりしてくる。

 シャワーを浴びていると突然電気を消される。

 そう言ったような、他愛のないイタズラをしてくるのだそうだ。

 しかし、町田さんの家族は時々足音を聞くくらいで、そういったイタズラをされたことはないそうである。

「幽霊にも特定の人に懐く、みたいなのってあるんでしょうかねえ」

 霊とはいえ誰かに見られていると考えると、多少なりとも困る、というか遠慮せざる終えないという場面はあったが、何年も身の回りで起きていると少しも怖くなくなるようで、一人暮らしを始めた今となっては、その子供の霊は町田さんが実家に帰る楽しみの一つなのだそうだ。

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