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幽怪百物語  作者: 背戸山葵
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第三十五話 首吊りの木

 吉兼さんの地元には「首吊りの木」と呼ばれる不気味な木があるそうだ。

 人気の少ない道に垂れたその木に車のライトが当たると、ちょうど伸びた影が誰かが首をくくっているように見えるのである。

 周囲に人の家もなく、また、サクラであることも、その噂に拍車をかけていたのだろう、首吊りの木は地元ではかなり名が通っていて、幽霊を見たという話さえあるほどだった。

 だが、数年前、その首吊りの木で本当に首をくくった人が現れたのだという。

 場所が場所だっただけに、吉兼さんは相当ショックだったのだが、少し不思議なことがあった。

 というのも、首吊りの木に関する噂が変化し始めたのである。

 「首をくくっているように見える」だけだったものが、いつしか「縊死した男の影がまだ吊られている」「首をくくった人がぶら下がってこちらを見下ろしている」というようなものへと。

 罰当たりな話ではあるが、実際に事件が起こったために元あった噂話が変わっていく過程が興味深いと吉兼さんは語っていた。

 そして、もしかしたら噂があったために、その人は首吊りの場所にそこを選んだのかもしれない、とも。

 吉兼さんによると、首吊りの木はなんとなく、首をくくりたくなるような形状や雰囲気を兼ね備えており、彼自身も人生に行き詰りかけた時にそこで首をくくろうと考えたことがあった、とのことだった。

 だが、吉兼さんの場合は「首吊りの木」という名前のおかげで、そこで首を吊るのがなんとなく気恥ずかしくなって、思い留まったのだそうだ。


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