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第二十四話 寝ているおじさん
バイク乗りの成田さんが北海道まで旅行に行った時のことだ。
朝方、北海道の平野の、果てしないほど広々とした一本道を何の気兼ねなく飛ばしていると、地平線の先に人の姿が見えた。
道路の真ん中に寝そべっているのだ。
四十歳くらいの、つなぎをきたおじさんだった。
そういうことは、稀にあることだという。大抵は酔っ払いか、言葉は悪いが、少し頭の変な人であることが多いのだそうだ。
そういう人を介抱してもロクなことにはならないと過去の経験から身に染みていた成田さんは、周囲が見晴らしのいいところで、明るい時間でもあったから、無視することに決めたという。
しかし、それから五分ほど道なりに走っていると、また同じ姿で、同じ格好のおじさんが道路に寝ていたという。
周りには草原しかなく、標識くらいしか距離を確かめる術がないようなところなので、一瞬成田さんは、同じ場所をループしているように錯覚したという。
少し怖くなって、成田さんはおじさんを再びスルーして、今までよりも早い速度で北の大地の一本道を走り抜けたという。
それ以降は、おじさんは現れることはなかったそうだ。
「後になって考えると、面白いネタになりそうだから声くらいかけてもよかったかもね」
成田さんは快活に笑っていた。




