表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

チェス・エイリアンと僕(2)

 僕はその雑誌を手に取った。

 日本の雑誌にチェスの記事が載ることなど、世界王者とスーパーコンピュータの対戦以来ではないだろうか。しかも「エイリアン」とは、一体どういうことだろう。

 それは小さな記事ではあったが、僕にとっては、頭をガーンと殴られたような衝撃を受けるものだった。


 日本がチェス後進国と言われて久しい。しかしその常識を打ち壊す、一人の天才チェス・プレイヤーが現れた。鳴神美鈴なるがみみすずという日本人であり、年齢は18歳。あどけなさを残す顔立ちといい、まだ少女といってもいいほどだが、その強さは、世界王者のラルフ・ガーラント氏も舌を巻くほど。


 そのような文章とともに、鳴神美鈴の写真が小さく載っていた。チェス盤に向かって真剣な表情をしていたが、ショートヘアに包まれた顔は、笑えば結構かわいいかもしれない。しかも18歳といえば僕より6つも年下だ。

 さらに記事を読んでいくと……


 鳴神は日本国籍だが、何歳からチェスを始めたのか、誰に教わったのか、などはまだ知られていない。その棋風は、外見に似合わず攻撃的であり、敵陣を異星人の侵略のように蹂躙するところから、「エイリアン」の異名をとる。現在のレーティングはおよそ2700。


 2700だって!?

 チェスにおけるレーティング、つまり勝率は、大きければ大きいほどそのプレイヤーは強いといえるだろう。1500から1800くらいなら、アマチュアの間ではほぼ無敵かもしれない。2000以上となると、一体どのくらい強いのか、見当もつかない。チェスを指すことで生活をしているプロでも、2400くらいが平均らしいが、この鳴神という女の子はそれすら超えていることになる。

 ちなみに僕のレーティングは……あえて言わないでおこう。

 なるほど、これはまさしくエイリアンと呼ぶにふさわしいかもしれない。

 こんな人が存在していたとは。

 僕のようなヘボにとっては雲の上のような話だったが、強烈に惹きつけられた。

 僕はその雑誌を買い、帰宅した。アパートを出てから40分ほどが経過していた。どうやら、思いのほか夢中になって、記事を読みふけっていたらしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ