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「birth D verse」 人物紹介

作者: 中村鵜原

【適応体について】


 数百万年前。人類は樹上生活から地上で生きることを選択し、群れを成して生きるために強者の象徴である闘争本能を淘汰した。

 闘争本能とは、人類が本来持っている、遺伝子に刻まれた情報のことである。

 現代を生きる人類が磁覚などの感覚を忘れてしまったように、闘争本能もまた、進化の過程で淘汰されたことにより、忘れ去られてしまった。

 適応体とは、人類が淘汰した遺伝子の情報である。

 これらは解明されていない生命体として現代を生きており、およそ人々の概念では説明できない個体として子孫を残してきた。

 彼らは、四十六の遺伝子情報から成る情報を操作し、ヒトの遺伝子を得ることで新たな生命体を生み出す。

 彼らは遺伝子の情報を持っておらず、ヒトの持つ二十三の遺伝子情報を得て子孫を残す。

 ヒトとして育ったヒトは、闘争本能の遺伝子を持っておらず、適応体を還すことで解放する。

 ヒトとして育った適応体は、闘争本能の遺伝子を持って現代を生きる。ただし、その記憶には、闘争本能の遺伝子は存在しない———。

 

※作品の根幹は、

 本編( https://ncode.syosetu.com/n6269eu/)

 四章にて触れております。

 人物紹介のため、随時更新いたします。都度、活動報告にてお知らせいたします。

 人物紹介の内容は、前編である七章までの内容に触れています。

 ネタバレの要素がありますので、ご理解をいただけた上でのお目通しをよろしくお願いいたします。

  



【登場人物】



挿絵(By みてみん)


・アラタ 

 本作の主人公。真面目で心優しい好青年。

 出身は日本。身長180cm。体重74kg。A型。23歳。

 第一章から登場しており、作中では超人類を客観視する、一般の立ち位置として旅路が語られている。


【人物】

 正義感が強く、他者を思いやる心が強い。そのため、世の理不尽に葛藤することが多く、精神的には弱い傾向にある。

 実直ゆえに選択肢の幅が狭く、七章では、他者に心境を打ち明けるのは、いつだって申し訳ない気持ちになると語ってた。

 他者のために尽くす労力は惜しまないが、こと自分のこととなると、てんで怠けてしまう。五章では、その面倒臭がりが仇となって、縫合した傷口の消毒を怠り発熱を起こした。このことについては、同行者であるユイから強く叱責されている。

 両親が揃っておらず、甘えられなかった過去から年長者に対する敬意が強い傾向にある。四章で対峙したイーサンには、第一印象から毛嫌いしていたものの、心の裡では認めていた描写がある。また、深層心理では年上の女性に憧れを抱いており、見る者によって姿を変えるアゾートのことを、年上の女性として視覚形成していた。

 恵まれた体格である自分のことを太っていると思い込んでおり、七章では己と身長が変わらないのにモデル体型であるシラに対して、悲観的な感情を抱いていた。

 

【生い立ち】

 兄弟はなく、父と母の三人家族。

 父は幼いころに事故死しており、母はすぐに再婚。以降は、父方の祖父の下で育てられている。

 人当たりが良く、面倒見も良いので、地元では友人が多い。

 祖父の死を目の当たりにするまでは、平凡な男子として過ごしていた。


【戦闘における長短所】

 祖父の流派である体術を使用。そこに我流を含めて、豪快ながらも確実な一手を相手に与える。バランスの取れた標準タイプ。

 実直な性格のため、姑息な手段や飛び道具に頼る敵との相性が悪い。

 一章では、レイズの放った短刀によって苦戦を強いられていた。

 瞬発的な攻撃速度に長けており、ほぼゼロ距離であるにも拘わらず一撃必殺の打撃を与えることができる。


【関連する登場人物】

①ユイ

 日本を発って、最初の年に訪れたスラム街にて出会う。

 七章では、孤児であったユイに中途半端な善意を施してしまったことを後悔していたが、どのような状況にあっても健気に支えてくれる彼女の存在に、少しずつ感謝をするようになる。

 また、ユイからの好意には気付いておらず、妹のような存在だと思っている。


➁ショウ

 アメリカの友人が開いている道場へ、空手の講師として向かった祖父が連れ帰ってきて以降、寝食を共にしてきた同居人。武術の腕を誰よりも認めており、アラタにとっては好敵手の存在。

 七章では会話らしい会話をしたことがないと語っているが、兄弟がいないアラタにとっては、一つ下の弟のような存在であることが窺える。

 好敵手であるショウが、アラタと闘いたいという願望を抱いていると、アゾートから教えられたことによって旅の目的が定まっている。


③アゾート

 竹林の奥で出会った適応体の母体。

 視覚形成した理想の女性像であるが、瞳が光るヒトに関する深い知識と、抱えていた悩みを解決してくれたこともあって、存在そのものに恋に落ちてしまった。本作では、彼女を還すことで解放者となっている。

 適応体の末路を見たいと言ったアゾートに、闘いをやり遂げることを誓っている。


④ライアス

 アゾートを還す際に立ちはだかった、初めての脅威。アラタが悪魔の眼を解放するきっかけとなった人物。

 強烈な印象を叩き込まれたせいで、五章ではトラウマになっていることを明かしている。


【本編外】

 古き良き文化が好きで、アメ車に詳しい。作中では、一目見ただけで車種と年代を当ている。

 また、真ホッケが好物であり、食事中は無言で食べ進めるほど。

 アゾートを還す以前は、D型の先天性色覚異常であった。




挿絵(By みてみん)


・ユイ

 本作のヒロイン。スラム街育ちの強気な少女。

 出身は不明。身長162cm。体重50kg。O型。17歳。

 第一章から登場しており、アラタの同行者として旅を共にしている。


【人物】

 警戒心が強く、心を許した相手以外への当たりが強い。

 五章では、イーサンの秘書であるキャサリンの厚意に対し、つっけんどんな態度で接していた。だが、一度心を開くと人懐こい一面を見せる。

 やや嫉妬深く、好意を寄せているアラタに寄ってくる者を毛嫌いする傾向にある。七章では、色気を全開にして寄ってきたブレアに対し、自分という先約があることを伝えていた。

 基本的にヒトを嫌っているが、本来は愛情深く、一度受けた恩を忘れない健気な性格。


【生い立ち】

 適応体として産み落とされたため、両親は存在しない。

 赤子の姿でスラム街の住人に発見されて以降、十四までの歳を廃棄場で過ごした。敵だらけの周囲の環境で育ったため、富裕層を含めた他者を心から毛嫌いしている。

 

【戦闘における長短所】

 やせ型のため、力がない。戦闘経験も浅いため、強敵に対しては苦戦を強いられることがある。

 腕力がない分、そのパラメーターを脚技に集中しており、素早さだけでいえば作中でトップを誇っている。

 基本的に大技が多いため、発動後の隙が大きいのが欠点。


【関連する登場人物】

①アラタ

 スラム街に訪れたアラタにスリを働いたことがきっかけで出会う。

 生まれて初めてヒトとして扱ってくれたことから、アラタに対して恋心を抱くようになる。以降、アラタを献身的に支えながら旅を共にしている。


【本編外】 

 アラタにチョコレートを与えられたことがきっかけで、無類のスイーツ好きとなる。とくにケーキが好物で、フォンダンショコラを二個以上食べるのが夢。

 


挿絵(By みてみん)


・イーサン

 幼少の頃より闘争本能を解放している、本作の二人目の主人公。西海岸の都市の経済に深い関りを持つ、やり手の実業家。

 出身はアメリカ。身長168cm。体重55kg。AB型。34歳。

 もとは若くして企業したコンサルタントの社長であったが、ギャング間の抗争に巻き込まれたことがきっかけで、闘いの頂点に立とうと実力を発揮した。現在では巨万の富を築いている。二章より登場。


【人物】

 神経質な性格で、裏表がはっきりとしている。ビジネスにおいては人当たりの良さを見せるが、それ以外の場では交流を避け、無言で過ごしていることが多い。

 自己管理が不得意で、仕事以外の行動はその時の気分で決めている。

 そのため、生活の全てを秘書であるキャサリンに依存しており、二章では食べて良いもの、悪いもののリストまで作成されていることが書かれていた。好物は、家庭料理とジャンクフード。

 自他ともに認める戦闘狂であり、闘いのこととなると感情を抑えきれなくなる。その無邪気な様は、対峙した人物全員から嫌われるほど。


【生い立ち】

 適応体として産み落とされたため、両親は存在しない。

 孤児として育ったが、健全な夫婦に引き取られ、優秀な成績で大学を卒業した。

 十代の頃、増していく闘争本能に精神が疲弊し、五章では処方薬に依存していたことを明かしている。


【戦闘における長短所】

 鍛錬に費やした時間と、幼少の頃に解放した闘争本能が比例しており、技数と実力は作中でトップクラスを誇る。

 トリッキーな動きとカウンター技、スタミナが合わさって非常にやりづらいタイプだが、パワー系との相性が悪く、一度の打撃だけで一気に体力が削がれてしまう。


【関連する登場人物】

①キャサリン

 イーサンの秘書であり、ボディガード。性格、思考、行動パターンを完全に掌握されているので、彼女には頭が上がらない。

 神経質であるイーサンが唯一心を開いている相手であり、彼女にだけは弱った一面を見せている。二章では、彼女の運転する車の中だけが息抜きできる場所と語っており、五章では自戒のお供に彼女の淹れる紅茶を要求している。


➁テッド

 ギャング間の抗争時代に恨みを買って以来、復讐の対象として見られている。

 十年前、復讐にやってきた彼を叩きのめして、刑務所に送り込んだ。

 再会までの十年間を自己の鍛錬に費やし、さらに闘争本能を解放した彼を、「お前だけが俺を斃せるヒト」として特別な位置に置いている。


【本編外】

 基本的に一人の時間を好んでいるが、交友が全く無いというわけではなく、同級生、他社、自社の社員たちからの好感度は高い。気軽に飲みに誘われたりと、それなりに恵まれている。

 作中では書かれていないが、家族を大切にしており、自身の生い立ちもあって、孤児院への寄付も毎月行っている。



挿絵(By みてみん)


・キャサリン

 イーサンの秘書であり、ボディガード。才色兼備でアスリート顔負けの肉体を持つ、本作の二人目のヒロイン。

 出身はアメリカ。身長184cm。体重69kg。A型。34歳。

 イーサンとは、十年前の都市抗争をきっかけに出会った。五章では、自立できるまでの期間をイーサンに支援して貰っていたことを明かしている。二章より登場。


【人物】

 高い教養と気品を持っており、仕事の能力は、イーサンに「秘書の世界で右に出るものはいない」と言わせるほど。やや潔癖であり、時間配分と家具の配置にうるさい。

 普段から機械的な表情と受け答えを徹底しているが、心を許しているイーサンにだけは、一人称を変えるなどの素顔を見せている。五章ではイーサンに、「これ以上俺を依存させるな」と言われ、恥ずかしがっている様子を見せた。

 叔父の影響で恋愛観が歪曲しており、五章では、イーサンがこちらに依存するように仕向けている内心が書かれている。


【生い立ち】

 父、母の三人家族。作中では、唯一出身地が明かされている。

 ギャングの首領である叔父を持ち、家族を失って経営困難となった農場を手放して彼についていった。

 十歳から二十歳までの年月を軟禁状態で過ごし、叔父の理想である天使像を押し付けられる中で彼への殺害計画を企てる。

 抗争に敗れた叔父の財産を狙って、他組織がキャサリンを拘束したことがきっかけで、各ギャングのボスを斃して回っているイーサンと出会った。


【闘いにおける長短所】

 イーサンに足りない点を補ったため、見た目通りのパワータイプ。

 打撃の威力が強く、腕力に至っては男性陣に引けを取らない。

 ただし、鍛えた筋肉と身長が大きすぎるため、小回りがきかない。


【関連する登場人物】

①イーサン

 オフィスでは社長と秘書の関係。五章では、キャサリンが持つ「ヒトとして育った適応体の選別能力」を提供する見返りに、イーサンが闘争の王座に就くことを要求した。 

 固い信頼で結ばれており、彼のことであれば背中を見るだけで内心を読むことができる。


【本編外】

 過去の軟禁生活が長かったため、料理が不得意。

 社会に出て間もない頃、支援をしてくれるイーサンに恩返しをするため、ラタトゥイユを作って持って行ったことがある。結果、その日のイーサンを体調不良にさせてしまった。



挿絵(By みてみん)


・ショウ

 本作三人目の主人公。どれだけ色素を抜いても完成されない、美しい白髪を持つ。高い身体能力と才能を持ち、闘争本能はイーサンと並ぶほど強い。

 出身は不明。身長178cm。体重66kg。B型。22歳。

 寡黙で自分のことを語らないため、作中前半では詳細が明らかになっていない。三章より登場。


【人物】

 危険予知能力が高く、三章ではイーサンから、「大統領の護衛クラス」と評価されている。

 必要なこと以外は話さず、会話を振られても無視をする、自分本位な性格。

 その一方で、分かりにくい思いやりを見せたり、口にしたことを守ったりなど、誠実な一面を覗かせることがある。三章では、出会ったばかりのジルと同室のホテルを取ったものの、朝方になるまで姿を見せなかった。

 また、六章ではジルを護衛するために三日間も寝ていなかったり、毒の影響を受けながらも彼女を背負って安全な場所まで向かった描写がある。

 自己犠牲が強い傾向にあり、目的のためならば身が滅びても構わないと考えている。六章では、毒が入った手料理を敢えて食べたり、血を好むミラナの気を引くために、手持ちのナイフで自らの左手を切り裂いていた。

 独自の哲学を持っており、六章では、「倫理も、概念も、しがらみも必要としない世界の中で、己の望む相手と対等に対峙したい」と語っている。

 心を開いたヒトに対しては配慮を欠く傾向にあり、毒舌を吐く。


【生い立ち】

 適応体として産み落とされたため、両親はいない。幼少期はアメリカの孤児院で過ごした。

 アメリカで空手を教えている一人の男がショウの才能に気付き、以降はタダ同然で稽古を受ける。

 男の友人であるアラタの祖父が道場を訪れたことがきっかけで、数年後に日本に移住。アラタの祖父の下で、才能をみるみる開花させていった。

 作中では、自らの手で師を殺害したとされる描写があるが、七章時点での詳細は不明。

 また、毒物と医薬品の作用を無効化、傷の治りが異常に早いという類い稀な体質を持っており、本人も自身が特別なヒトであることを自覚している。


【戦闘における長短所】

 元々の総合ステータスが高いため、隙がない。

 ただし、負傷しても構わずに闘い続けるため、長期戦になると不利になる。


【関連する登場人物】

①アラタ

 日本に移住して、最初の同居人。兄弟子にあたり、作中では会話らしい会話をしたことがないと書かれている。

 言葉にはしなかったが、アラタと闘うことを常に望んでおり、六章では「彼なら俺を斃してくれる」と語っていた。また、師を殺害したとされる現場を見られており、本人曰く、アラタが追ってくるように仕向けたとのこと。


➁ライアス

 作中前半では明らかになっていないが、過去に因縁のある相手らしく、三章ではジルに、奪われたものを取り返すために斃す、という目的を明かしている。


③ジル

 旅の道中に出会った女性。用心棒として雇われて以降、行動を共にしている。

 過去に、守れなかったとされる少女にジルを投影しており、六章では、その少女よりもジルの方がおせっかいで面倒臭い、と胸中で語っている。

 やや打ち解けてからは少しずつ素顔を見せるようになり、六章では自分より身体能力が低い彼女に対して、「痩せろ」と直球で言っていた。


【本編外】

 警戒心が強いため、人前ではあまり食事と睡眠をとらない。

 しかし、アラタと師で暮らしていた頃は食事を共にしており、睡眠に関しては修行に夢中になりすぎて、気絶するように眠ってしまっていた。

 そのたびに、アラタによって布団まで運ばれている。



挿絵(By みてみん)


・ジル

 本作三人目のヒロイン。報道機関で働いていた経歴を持ち、現在はフリーのライターとして活動している。悪魔の眼に関する記事を出版社に送ったことで、ライアスの組織から狙われることとなってしまった。

 出身はドイツ。(海外に興味を持ち、幼少期からはアメリカに移住していた祖父母と暮らす)

 身長170cm。体重54kg。O型。25歳。


【人物】

 とにかく明るく、前向きな思考で常に己と周囲を和ませている。

 社交的で頭の回転が速く、初対面の相手でもすぐに打ち解けてしまう特技がある。嫌なことも寝れば忘れてしまう、おおらかな性格。

 一方で隙が多く、簡単にはヒトを疑わないので、トラブルに巻き込まれることが多い。

 現実に直面する仕事をしていたので、よく妄想の世界に浸ることがある。六章ではショウとミラナの関係を膨らませて、勝手に事を進めていた。

 周囲を気遣う目が養われており、観察力が高い。そのため、ちょっとした変化などもすぐに気付いて行動に移す。三章では、口数の少ないショウの内心を、雰囲気だけで察していた。

 作中では悪魔の眼の真実を追うライターとして動いており、謎の組織が存在していること、その組織のボスの名前がライアスであることを自力で突き止めている。


【生い立ち】

 父、母、弟の四人家族。幼少の頃から海外に興味を抱いていたので、早くからアメリカの祖父母の下へと向かう。

 大学を卒業後、就職先も決まり、一時帰国して友人たちとホームパーティをするが、帰宅した直後の惨劇を目の当たりにしたことで人生が一転。

 以降、父と母を痛めつけた悪魔の眼の持ち主を追って、真実を追求しながらも仕事に明け暮れる。


【戦闘における長短所】

 体が柔らかく、全身を使った打撃を得意としている。作中前半では好戦的な一面を見せているが、実際に闘った場面は三章しかない。

 基礎体力が低いのでスタミナはないが、相手の技を見極め、避けるのが上手いので、長期戦に向いている。

 主に、足技を中心としており、三章ではキャサリンに向かって、「足癖が悪くてごめんなさいね」と皮肉を吐いている。


【関連する人物】

①ショウ

 ライアスの配下に追われているところを助けてもらった。目的が共通していることもあり、用心棒として彼を雇う。

 初めは、悪魔の眼に関する重要な人物として見ていたが、隠れたヒトらしさを知ってしまったことで、次第に彼自身に興味を持つようになる。


➁イーサン

 ジルの記事を見て依頼をしてきた。ジルにとっては、フリーに転身して初めてのクライアントである。

 初見では彼を理想の上司として見ていたが、本性を知ってからは苦手なヒトの分類となってしまった。


【本編外】

 食べることが大好きで、屋台飯に目がない。摂取した分の栄養が全て胸にいくので、作中では一番に胸囲がある。

 ビールが大好きで、一日の終わりは大体これで締めている。



挿絵(By みてみん)


・アナベル

 本作の物語を動かす重要人物。登場は七章。

 アラタのピンチに姿を現した、ライアスの過去を知る女性。

 出身はアメリカ。身長174cm。体重51kg。A型。37歳。

 元はライアスの行方を追って旅をしていたが、配下であるシラに襲撃されたアラタを救出したことで同行するようになる。

 その正体はライアスの妻であり、七章では彼との間に息子がいることを明かしている。


【人物】

 元警察官だったという経歴から、鋭い観察眼と考察力を持っている。

 度胸があり、七章ではメスを武器としているシラに対して、臆することなく闘っていた。

 その豊富な現場経験から、優柔不断を嫌い、怖気づいている者を見ると叱り倒す傾向にある。七章では、一向にシラと闘わないアラタに対し、尻を蹴り上げるなどの手厳しい行動と言動を吐いていた。

 一方で、現場から離れると歳相応の落ち着きを見せており、落ち込んでいるアラタの悩みを解決に導くなどの優しさを見せている。

 理屈に沿った発言をするために冷徹な印象を与えがちだが、取り乱すことなく、その時に必要な指示を的確に出すことができる。

 ライアスとは夫婦仲であり、現在も離婚をしていない。

 自身と息子を殺害しようとしたことから、七章ではライアスを殺害する発言をしているが、心の裡では愛情を捨てきれておらず、出会ったころの優しい彼がまだ存在しているのでは、という希望を抱いている。


【生い立ち】

 元刑事。屈強な男性たちに囲まれて、数々の危険な捜査をこなしてきた。

 疲弊した心身の最中、たまたま寄ったコーヒーショップにて、オーナーであったライアスと出会う。のちに恋愛へと発展し、最終的には郊外の一軒家で息子を含む三人で生活を始めた。

 悪魔の眼を解放したライアスと闘ったことで、最愛の息子がPTSDを患ってしまう。

 自身も超人類として開放したことから、悪魔の眼とライアスの真実を明かすべく、旅にでた。


【戦闘における長短所】

 銃と警棒を所持しており、中距離を維持した接近戦を得意としている。

 大胆な攻撃と素早い判断能力から、モーションを仕掛けるまでの速さが誰よりも高い。

 攻撃力が低く、決定的な一打を与えることができない。(銃の威力はあるが、解放者にはほぼ通用しない)


【関連する登場人物】

①ライアス

 前述の通り、夫婦として暮らしていた過去を持つ。

 (白髪、額の角などの)容姿が変貌していない頃の彼を知っており、七章では、思いやりが強く、心優しい人物であったことを語っていた。


【本編外】

 多忙な生活が板となっていたので、整理整頓が苦手。部屋の服のほとんどは脱ぎっぱなしになっている。ブラフが上手く、彼女にポーカーで挑むと痛い目に合う。




・ネイヴ

 西部に位置する聖地の守り人として、歴史と景観を保存している部族の戦士。

 一章から登場しており、登場人物としてはストーリーの幕開きと方向性を決定付けた。

 適応体であるリタを感知したアラタに出会うことで、運命を大きく動かされてしまった。

 身長194cm。体重94kg。O型。35歳。

 数ある聖地の守り人として巡礼の旅に出ていた時、最終地点にて産み落とされていたリタと出会う。以降、リタを娘として大切に育てており、その愛は血のつながりを超えるほど。

 リタが適応体だと告げられた時は動揺を隠せなかったものの、最愛の娘を守るために奮起。のちに、リタを還すことで天翼を解放している。

 ライアスが指揮する組織のことを知ってからは、聖地を離れて適応体の保護をする旅に出た。


【人物】

 剛毅木訥の印象を与えるが、付き合えば人当たりが良く、誠実な人柄で接してくれる。

 大らかで思いやりが強く、滅多なことでは怒らない。揺るがない芯を持つ人間性は、アラタから「本物の戦士だ」と評価を受けるほど。

 理不尽な暴力に対する怒りが強く、リタを奪うために聖地を訪れたレイズとクラッシュに対して、圧倒するような戦意を見せつけた。

 五章では、適応体を保護する旅の中で初めての絶望を味わっており、見る者によって姿を変える適応体のことを、かつて愛した妻に酷似した人物として看取った。

 聖地から出たことがないため、世界に対する見解が狭い己に怒りを抱いており、また、世界に対する見識が深いはずの人々に対しても怒りを抱くようになる。

 前半の登場回としてはこの五章が最後であり、以降の動向は不明。


【生い立ち】

 大柄で屈強な体格が評価され、青年期の頃から周囲の期待を一身に浴びていた。

 同じころに、一目惚れした女性サリに猛アタックをして、見事彼女の心を射止めることに成功。

 巡礼の旅に出る前日に彼女の病が発覚し、ネイヴはこの旅を延期した。闘病の中で婚姻関係を結んだが、その二か月後にサリは帰らぬ人となる。

 悲しみに溺れる自分をごまかすように発った巡礼の旅。その最後の地にて、産み落とされていた赤子を拾う。神の子として歓迎された赤子をリタと名付け、以降、娘同然に育てていった。


【適応体としてのリタ】

 ヒトとして育った適応体には、適応体としての記憶がなく、

 その記憶を自覚し、解放しない限りはヒトと変わらないので、感知されることはない。

 このことから、七歳で解放の自覚がないリタが他者に感知されるのは矛盾している。

 アラタはアゾートから、「リタはヒトの環境に適応した段階から自分のことを適応体として理解しており、悪魔の眼や天翼という解放をしなくとも、存在そのものがヒトであり、適応体である」と教えられていた。一章ではネイヴに、「リタは特殊すぎる適応体である」と告げている。

 自身が他者と違うことを理解していたリタは、そのことを隠しながら成長していった。

 ネイヴとの別れ際では、適応体としての己の役目を告げるように亡くなっている。

 適応体としてネイヴに還ってからは、ヒトであった頃の自我と、父娘の絆が影響して、極めて高い同調率で共存している。

 その例として、リタが泣けば、ネイヴが頬に涙を流す。


【戦闘における長短所】

 登場人物の中では一番に屈強であり、体力ゲージと攻撃力が高い。

 ただし移動速度が遅く、中距離型~俊敏性の高い相手との闘いではサンドバッグになってしまう。

 投げ技、一撃必殺に特化しているので、彼に掴まれてしまうと逃げられない。


【関連する登場人物】

①リタ

 点在している巡礼地、その最後の密林にて出会った適応体。

 村人たちから神の子として歓迎されたことで、ネイヴは特別な意識を持ちながらも育てていく。

 最愛の妻であったサリとの間に子供を授かることができなかったため、リタへの思いは危険に身を投じるほど確固たるもの。

 時折、ヒトとは違う雰囲気を放つリタの存在に、少なからず懸念を抱いていた。


➁アラタ

 適応体についての真実を教えてくれた、ネイヴにとっては異次元に近い存在。

 最初こそ、許可なく聖地を訪れた侵入者として敵視していたが、リタの一件で誠実に尽くしてくれたことに感謝をするようになる。

 後半ではすっかり意気投合し、少ない物資を惜しみなく分け与えるなどした。


【本編外】

 将来のリタが、どんな男を連れてくるのかを考えて、眠れない夜を過ごしたことがある。




・テッド

 イーサンが在住している都市で生まれ育った、十年前の抗争を知る世代の一人。

 登場は二章。出身はアメリカ。身長198cm。体重95kg。A型。24歳。

 少年期にクラッシュの所属するギャングのチームに誘われたことで、青少年期を暴力と共に過ごした。

 都市でのギャング間抗争の発端はイーサンであると信じており、また、それによって消息不明となってしまったクラッシュ、仲間たちの逮捕や死を現在でも悼んでいる。

 イーサンに復讐しようと襲撃をかけたが、敗北した末に通報されて逮捕。当時は抗争に関わった残党を、警察が強く取り締まっていたため、投獄は免れなかった。

 本来の出所は早かったが、獄中で生き延びるために問題を起こし続けたため、十年となってしまった。

 出所後は、その足ですぐにイーサンのもとへと向かっており、再会を果たして早々に闘いを挑んだ。


【人物】

 恵まれた体格を持つ自身を肯定しており、イーサンのように小柄な体格にある人物を馬鹿にする傾向がある。

 見た目の割には優柔不断で、流されやすかったり、楽な方に逃げてしまったりと、軸が形成されていない一面がある。

 その理由として、幼少期の生い立ちが影響しており、酒と暴力に溺れる両親からの愛情の欠如、離婚によって、自尊心と人間関係に対する価値観が歪んでしまった。

 非常に一途な性格で、一度信頼した相手は何があっても信じ、守り抜こうとする。


【生い立ち】

 市街のアパートにて、父、母の三人家族で過ごす。

 不仲な両親から受ける威圧的な態度と暴力に毎日怯えていたが、自分が我慢し、笑顔でいることで関係が修復できるならと尽くすようになる。

 その願いも虚しく、相談もなしに両親が離婚。家を飛び出し、裏路地での生活をしていたところで、クラッシュに声をかけられる。

 その後、チームのメンバーと共に暴力的な生活をするようになり、自分の行いを褒めてくれ、伸ばしてくれるクラッシュやボスのことを、本当の家族として愛するようになった。

 目立つ容姿をしているために売人役は任せられず、喧嘩などの暴力担当として役割を与えられていた。体力に影響するからと、薬物の類は一切断っている。


【戦闘における長短所】

 基本姿勢はボクシング。十年間の獄中生活において、喧嘩は日常茶飯事だったので、生き延びる知恵としてトレーニングを欠かさなかった。

 細やかな作業を苦手としないので、基礎がしっかりとしている。そのお陰で、イーサンも一目置くほどの実力を身につけることに成功。

 悪魔の眼の解放者となってからは、作中でもトップクラスの動体視力を手に入れており、先見(さきみ)という常人離れした能力で打撃技を繰り出すようになる。

 打撃の能力値が俊敏性に依存しているので、キャサリンやネイヴのように、振り切れたパワー系との力比べには負けてしまう。


【関連する登場人物】

①クラッシュ

 テッドが家を飛び出して、最初に出会った人物。テッドにとって兄のような存在であり、裏社会を生きる上で深い知識をくれた尊敬できる人物。

 彼のことを盲目的に信じており、クラッシュの陰謀を暴いたイーサンに対して、否定的な態度をとっていた。


➁イーサン

 十年前の都市抗争において、仲間であるチームを奪った憎むべき存在。

 イーサンの店を襲撃した仲間たちを射殺し、都市抗争を悪化させた人物として認識している。彼を殺害するためだけに、獄中の十年間をトレーニングに費やした。


【本編外】

 動物が好きで、刑務所に入るまでは痩せた野良犬たちに食事を与えていた。

 また、バスケットボールの選手のように恵まれた体格のお陰で、子供達からの羨望の眼差しを図らずも集めている。本人は否定的。



挿絵(By みてみん)


・レイズ

 各地を回って適応体を回収しているライアスの配下。一章より登場しており、以降、なにかとアラタたちの前に姿を現すようになる。

 出身は不明。(五章では、美食の国に生まれたことを明かしているが、詳細は不明)

 身長185cm。体重69kg。血液型O型。31歳。

 解放者の証である天翼を所持しており、適応体に関して個人的な見解を持っている。七章では偶然にも再会したユイに対して、そのことと共にライアスから雇われていることを明かしている。

 一章の聖地襲撃にて、アラタの一撃によって左目を負傷しており、以降は隻眼となっている。


【人物】

 人好きのする笑顔と、物腰の柔らかさが印象的。

 一見ビジネスマンのようだが、くたびれたシャツに崩れたネクタイと、身だしなみに関しては評価されていない。

 のらりくらりと質問をかわしたり、時に確信を突く発言をしたりと、真意の読めない対話で相手を翻弄する。七章では、そのことでユイから不信感を抱かれていた。

 ライアスに雇われており、彼に対しては完全に忠誠を誓っていない。一章では、ライアスからアラタの回収を命じられていたにも関わらず遂行しなかった。この真相については、後に七章で、「他者を尊重しているアラタが、なぜ悪魔の眼を開放したのか興味があった」と明かしている。

 合理主義で、利益にならないと判断した際はすぐに身を引く。きっちりと仕事をこなすので、足を引っ張られたり、弊害になる要素に対してストレスを受けてしまう傾向にある。

 非情な面を持ちながらも、七章では負傷したユイの腕を、理由をつけて手当てしていた。

 また、自己肯定感が低いのか、失った左目に関して何とも思っていなかったり、「ライアスに忠誠を誓っていないのに従うのはなぜか」と訊いてきたユイに対して、「俺は俺であって、俺ではない」と答えていた。

 女性の身体に(性的な意味を除く)芸術性を感じており、五章ではベビードール姿のミラナに対して鼻の下を伸ばしていた。


【生い立ち】

 前半である七章まで、彼の詳細については一切明かされていない。


【戦闘における長短所】

 一章ではナイフを使用した中距離を保っていたが、同章ユイとの闘いでは、海軍で使用されている体術を披露している。

 とにかく攻撃をいなすことに長けており、一章では全ての攻撃を合理的に相殺し、流していた。しかし、接近戦で闘ったのはユイに対してだけであり、その後のアラタとの闘いでは、なんとか間合いをとろうと苦戦している。

 本人は、闘いにおける自己の欠点を自覚しているようだが、そのことについて、作中前半では明かされていない。


【関連する登場人物】

①ライアス

 出会った経緯は明かされていないが、適応体を回収するための人員として雇われている事実を七章で明かしている。そのため、完全には忠誠を誓っていない。

 しかし、仕事上ではクライアントにあたるため、それなりの礼儀をわきまえて接している。


➁アラタ

 一章で闘った際に興味を抱いた存在。五章と七章では、「他者を強く尊重しているのに、天翼を解放していないのはおかしい」と疑問視していた。

 七章で再会したユイに対し、「いずれ闘うことになるが、今のままでは俺に勝つことはできない」と、再戦をにおわす発言をしている。


【本編外】

 本物の日本食を食べたことがあり、その際に口にした蒲焼き(正確にはタレ)の美味さに感動したことがある。



挿絵(By みてみん)


・シラ

 ライアスの配下の一人。登場は七章。

 一章にて、アラタの回収を命じられているにも拘わらず撤退したレイズの行動に不信感を抱き、追跡していたところでアラタと出会う。

 出身は日本。身長183cm。体重57kg。B型。31歳。

 七章では和名で「獅良」と名乗っており、姓名どちらであるかは不明。

 医学の知識が深く、ライアスが構成する組織では外科医として所属している。

 闇医者の肩書で各地を飛び回っているため、素顔を隠すためのサングラスが手放せない。

 一章にて負傷したレイズの眼球を摘出しており、七章ではそのことについて「眼球なんて滅多にいじれない」と、人体実験をにおわす発言し、アラタの怒りを買っている。


【人物】

 気分屋で、注がなくていい労力は一ミリも注がない性格。七章では自分のことを、縛られるのが嫌いな自由人だとアピールしていた。

 敵であるアラタに対して初対面から距離を縮めてきたり、途端に冷酷になったりと、割り切ることに躊躇がない。

 日本の医学界での差別や理不尽な階級制度に憤慨したことがあり、目の前で助けられなかった命を嘆き、与えられる雑務や贔屓、格差に嫌気がさして闇医者に転向した過去がある。現在ではライアスの紹介で、明日を生きたかった者たちが望む最期を請け負う仕事をしている。

 このことから、理想を理想のままにしないという信念と、他者の命を尊重する医者本来の在り方を追求する勤勉者であることが窺える。七章ではそのことをアラタに指摘され、激昂していた。

 負けず嫌いで、アナベルのブラフ(自分が現職の警察官であり、銃声の通報を受けたパトカーを応援と言い放った)によって、窮地に追いやられても退かない姿勢を見せた。


【生い立ち】

 作中において、全ての経歴が不明。


【戦闘における長短所】

 武器はメス。片腕に巻いたホルダーに数本をストックしており、中距離を保ちながら切り付ける攻撃を得意としている。

 やせ型のため体力がなく、打撃を受け止めることができない。

 アナベルから「なんて動体視力をしているのだ」と言われるほどの反射速度を持っており、テッドが持つ先見の目とは違う、高速に動く物体を視認する能力に長けている。解放者に対して銃弾は効果がないとされているが、完全に避けられるというわけではなく、(七章では、ライアスですら銃弾を完全に避けることはできなかった)シラはこれを完全にする。


【関連する登場人物】

①レイズ

 一章にて負傷した彼の眼球を摘出し、適切な処置を施した。

 レイズの行動の不審な点に気付いてからは、しつこく彼を追い回している。

 裏切り者として排除するのか、行動の経緯を追求するのか、目的は不明。


【本編外】

 一瞬だけ表示される数字の速算、速読が得意。

 口癖は、「俺、器用だから何でもできちゃう」





・ミラナ / ブレア

 孤児院の生活を共にした、天涯孤独の二人。ライアスに忠誠を誓っている配下。

 ミラナは五章より登場。身長166cm。体重54kg。出身は不明。AB型。21歳。

 ブレアは七章より登場。身長163cm。体重47kg。出身は不明。A型。20歳。

 作中前半で揃ったことはないが、離れた現場でも互いを思い合っている描写があった。


【人物・生い立ち】

(ミラナ)

 白い肌に、ティーンエイジャーの名残のそばかす。美しい赤毛の長髪を持つ儚げな美女。

 父、母の三人家族。幼少の頃よりヒトの血を好んでおり、その嗜好を不気味がられて両親から欠陥品扱いされ、殺害されかけた。以降、そのことを隠して孤児院で暮らす。

 血に対する性的快感はなく、また、吸血鬼に対する憧れもない。

 主食として少量でも血を摂取しなければ食欲が満たされず、体調不良に陥っていたところを同じく孤児院で過ごすブレアに気付かれ、真実を明かす。

 当時から友人として接していた彼女からの理解を得たことで救われ、唯一無二の存在として傍にいるようになり、やがて恋人以上の関係となった。

 血に対する貪欲な姿勢をライアスから気に入られ、辺境にある山小屋での生活を与えられる。両親からの暴力のせいで歪んだ性癖の持ち主となり、獲物となったヒトを可能な限り嗜虐的な行為で弱らせたあとで血液を抜きとる。六章では、クローゼットに隠していた拷問器具の数々をショウに披露していた。

 自らを女王様と公言しており、異性に対して尊大な態度をとる。五章では拘束を解いてくれたレイズに礼を言わず、バスにお湯を溜めるよう指示を出していた。

 前半では描写されていないが、ブレアに対する思いは強く、やや開放的で奔放な彼女のことを、自分にない要素として尊敬している。一つ年上ということもあってか、彼女の前では面倒見の良い姉のように振舞っている。

 菜食主義で、その理由が、肉を食べると人血を味わう味覚が鈍るから。

 飲み物は水か赤ワインのみで、赤ワインを好むのは疑似的な血液という見た目の好み。


(ブレア)

 エキゾチックな容姿を持っており、露出の多い服装と漆黒のボブショートが特徴の女性。

 適応体として産み落とされたため両親はなく、孤児院歴はミラナより長い。

 生まれた時から全てを失っていたため、「かつては両親が存在していた/孤児院の暮らしに希望を見出している」など、「持っている」者に対して「幸せなくせに不幸ぶっている」という価値観を抱いている。

 ミラナとは、他者への嫉妬心を隠せずに孤立していたところで出会った。

 これまでにない生い立ちを持っていたミラナに興味を抱くようになり、また、孤児院の境遇を分かち合おうと尽くしてくれる姿勢に感謝をするようになる。ミラナの真実を知ってからは他者への嫉妬心を喪失。生きたいと願う彼女を守れるのは自分しかいないと、周囲の大人たちを激しく憎悪するようになった。

 ミラナと孤児院を抜け出して、十代半ばになるまでの歳をストリートで暮らす。

 既に解放していたブレアとミラナを感知してやってきたライアスと出会うことで、彼の思想に触発。

 ミラナが笑顔で生きられる世界を創るためには、ライアスの力が必要不可欠だと判断してからは、ライアスに忠誠を誓う形で適応体の回収を行うようになった。

 挑発的な性格で、恐れ知らず。そのため、煽るような態度と口調で接してくる。派手な見た目とは裏腹に純情で一途なので、ミラナに対しては甘える妹のように雰囲気を和らげる。


【戦闘における長短所】

(ミラナ) 

 体術の心得はなく、作中では一番に戦闘経験がない。しかし、解放者の能力としては異常なまでの握力を手に入れており、彼女と闘って寝技にもつれてしまうと、抜け出すことが困難となる。

 武器は口内に隠している牙のみ。風に舞う衣のように、気配を消して相手を奔放することにも長けている。住んでいた小屋では、数々の拷問器具を所持していた。


(ブレア)

 武器はナックルダスター。片方のグリップにはナイフが仕込まれており、ストリートでの喧嘩経験を生かした戦闘をする。

 柔軟性に長けており、鞭のように四肢を動かして蛇のように地面を滑ることが可能。

 潜在能力は高いのだが、対峙した者を侮る癖があるため、自ら窮地を招くことがある。


【関連する登場人物】

➀ライアス

 危険区域とされるストリートにて出会い、以降忠誠を誓っている。

 ブレアにとって、ミラナが気に入られることは幸福の象徴であるため、ライアスに対しては絶大な信頼を置いている。

 また、ミラナにとってライアスは都合の良い隠れ蓑であり、生活を維持するために好意的な態度を保っている。


➁シラ

 ブレアのパートナー。適応体の回収を共に行うことが多い。

 自分本位で勝手に行動してしまう彼のことをブレアは良く思っておらず、七章ではおかしな真似をしたらライアスに突き出すと脅している。


【本編外】

 互いに誕生日がない(ミラナの場合は告げられていない)ので、二人が出会った三月九日を誕生日として祝い合っている。


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