王子様と二人・・・
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二人で謁見の間を出た後、陛下の勧めで庭園に行く事になった。
それで今、私は王子様と二人で王宮内にある庭園に向かっている。
謁見の間から庭園は遠いみたいで、まぁまぁの距離を歩いているのだが。
会話が生まれない。
『気まずい』、会話が無いせいか流れる時間が長く感じる。
それからしばらくして、ようやく視界に庭園が見えてきた。
この気まずい雰囲気が変わればいいのだが、やはりここは私から話をふった方がいいのか悩んでいると「ドルトムンさん。ここは、我が王宮が誇る庭園です。いかがですか?」まさかの王子様から話かけてくれた。
王子様の言われる通り中庭はとても素晴らしい造りになっている、数多くの草木や色とりどりの花が綺麗に配置されている。
この庭園の設計した人物と庭師に称賛の言葉を送りたいものだ。
「はい、とても素敵な庭園ですね。あの奥に見えるのは噴水ですか?」
私達が居るところから微かに見えるモノが何か気になった私は、王子様に尋ねていた。本当は、近くに行けば分かるのだが会話を繋げたかった私は、あえて聞くことにした。
「ええ、そうですよ。近くで見てみますか?」
「よろしいのですか?」
「大丈夫ですよ」
「なら、お願いします」
『良かった上手い事会話が続きそうだ』、私の答えを聞いて王子様が私に手を差し伸ばしてきた。
手をとるか迷ったが印象を考えると、とることが正解だろう。
私の手を握った王子様がゆっくりと噴水に向かって歩き始めた。
「こうして女性の手を握ったのは、初めてです。何だか緊張してしまいますね」
私に微笑みながら話かけてきた。こんなセリフを素で言えているのならこの王子様は、天然の女たらしだな。
緊張しているのか先ほどよりも王子様の動きが硬くなっている気がする。
少し可愛い所があるじゃないか、こうしてみると私に破滅を与える男とは思えないな。
「私も男性の方と、こうして手を握るのは初めてなので緊張します」
「お互い初めて同士ですね」
噴水の前まで来た。
遠くからじゃ分からなかったが、この噴水もかなりの芸術品だな。
ここに来てからすべてのモノが圧倒的な存在感があるな。
「どうですか?ここは、気に入ってもらえました?」
「はい、とっても素敵な場所です」
「ありがとうございます。ここは僕のお気に入り場所なので、よくここ来るんですよ」
「そうなのですね、羨ましいです。私もこんな素敵な場所になら、たくさん来れるのなら来たいですね」
「なら僕と友達になりませんか?」
王子様から思いにもよらない発言が飛び出した。
私が知る王子様は、ソフィアに対してこんなに優しくないのだが最初の頃の二人は本当はこんな感じだったのかな?それともソフィアの傲慢な性格のせいで王子様を変えてしまったのかな?。
もし、そうだとしたら今の私なら簡単に王子様からの破滅エンドは回避できるんじゃ。
ここで王子様と友達になってより親交を深めるのはいいかもしれない。
「私でよろしければ、お願いいたします」
「なら今から僕たちは友達だね」
「はい、お願いします。王子様」
今から私達は友達になった。
ここから良好な関係を続けることが出来れば私の悩み事が一つ無くなる。
「僕からの提案なんだけど、お互いに名前で呼び合わない?」
「よろしいのでしょうか?」
「いいよ。僕たちは友達なんだから」
「では、アレン様でようしいでしょうか?」
「いや、呼び捨てで構わないよ」
私は、この王子様の申し出に対してどのように答えるのが正しいだろうか?。
常識的に考えれば呼び捨てなど出来るはずもないし。
しかし、王子様の好意を無下するのも・・・。
『ちょっと待って。まさか、これって私の事を試しているんじゃない?』なら、私が取るべき行動は。
「すいません、アレン様。私のような者が、呼び捨てで呼ぶなど恐れ多いことです。なのでアレン様と呼ばせて下さい。」
『どうだ?私の答えは?正解?』。アレン様の表情が変わっていないところを見るに、私の答えは正解だったようね。良かった、良かった。
「そうか・・・。それは、残念だ。ならその呼び方で構わない。でも、僕はソフィアと呼ぶぞ」
残念と言った割には、残念そうな表情じゃないんだよね。やっぱり私を試していたみたいね。
「はい、私はそれで構いませんよ」
その後、しばらく二人で話をしていたら。庭園に使用人の方が迎えに来て二人の時間は終了した。
私は大変満足して帰路についた。
今回も読んでいただきありがとうございます。