私も王宮に行くことになりました
読んでいただきありがとうございます。
貴族たるもの、教養が必要である。
平民の上に立つ以上は、平民を超えるだけの教養が必要不可欠。
それが貴族が貴族たる所以。
その為に私は毎日のように、貴族マナーのお茶やダンス、一般教養などの勉強をしている。
最初は貴族マナーのお茶やダンスは手こずったが、私にはソフィアの記憶がある為なんとか毎日乗り切ることができている。
だが、問題は一般教養の方でソフィアは毎回何かしらの理由を付けてサボっていたらしく、一般教養に関してはほぼゼロからのスタートである。
『少しくらい、やっておけよソフィア』。
まぁ私も勉強嫌いだから人の事言えた義理ではないが。
今は、そういった理由で勉強の毎日である。
本日は自室で自習をおこなっている。
「お嬢様、少し休憩にいたしましょう」
「そうね。すこし喉が渇いたから紅茶をもらえる?」
「はい。かしこまりました」
いつもは、各教科ごとに専属の先生がいて勉強をするのだが今日は担当の先生が、休養で来れなかったので自習をする流れとなった。
この世界は、科学力が前いた世界よりも遅れており基本的な勉強には余裕で対応できるが、こと歴史の勉強に関してはすべてが知らない事なので大変苦労している。
「お嬢様、紅茶が入りました」
「ありがとう。エマ」
最近、私には楽しみにしていることがある。
それは、エマが入れてくれる紅茶を飲むことだ。
「エマが入れてくれる紅茶はいつも、美味しいわ」
「お嬢様にそう言ってもらえると嬉しいです」
嬉しそうにしているエマの表情は、大変魅力的だ男だった頃の私だったら惚れていただろう。
「本日は何の教科の勉強されているので?」
「歴史よ。どうも頭に入ってこなくって苦労するわ」
「その気持ち、わかります私も歴史は苦手でした」
「そうなの?エマを見ていると苦手なモノなんて無いないように感じちゃうわね」
「いえ、私にも苦手なモノくらいありますよ」
「エマの苦手なモノって何があるの?」
「そうですね・・・料理などは苦手ですね」
おっ!意外なモノが苦手なんなだな。
料理とかは得意そうに見えるのにな。
「なんだか意外ね」
「そうですか!?まぁ女としてはお恥ずかしい話なので内緒ですよ」
「ええ、わかったわ」
エマの紅茶で息抜きした私は、また勉強に戻った。
夕食は家族全員が揃って食べているのだが、この夕食の時が一番の家族とのコミュニケーションの場となっている。
本来、食事中に話したりするのはマナー的にはよくないのだが、この時だけは家族ルールでOKと言う事になっている。
「ソフィア、今日は何をやっていたんだい?」
「今日は歴史の勉強をしていました」
「そうか、そうか。最近、勉強ばかりで辛くはないか?もし良かったら明日パパと一緒に息抜きにお出かけしないか?」
そういえば、ソフィアになって屋敷から出たこと無かったな。この機会に出るのもいいかもしれない。
「でも、貴方。明日はダンスのレッスンがあるからソフィアはお出かけ出来ないわよ」
私が答える前に母が割り込んできた。『あ~確かに明日はダンスの予定があったな』。
母の話を聞いた父が、少し悩んでいる。
「そうだな~。まぁ一回くらい休んでもいいだろう。たまには息抜きも大切だ」
「駄目よ貴方。最近ようやくソフィアが勉強を真面目にやるようになったんだから、またサボり癖がついちゃうじゃない」
母の意見はもっともだ。元々ソフィアは勉強など嫌いな女の子だったから頻繁にサボっていたから、心配になる気持ちはわかる。
「今のソフィアならその心配はいらないだろう。ソフィアはとってもいい子だから、ママの心配は杞憂だよ」
「貴方、あまりソフィアを甘やかさないで下さい」
「まぁいいじゃないかママ。大丈夫だよ」
「はぁ~、貴方は本当にソフィアに甘いんだから」
二人の話し合いにけりがついたようで、父のおかげで明日はお出かけが決定した。
「よしっ決まりだな、ソフィアは明日はお出かけだぞ」
「はい。楽しみです」
「そうか、そうか」
父は娘とのお出かけがよっぽど嬉しいのか、いつも以上にご機嫌な様子だ。
「パパ。明日は、どこにお出かけなの?」
「ソフィアはまだ王宮に行ったことが無かっただろう、一度行ってみようじゃないか。それに、ソフィアに会わしたい人がいるから丁度いいだろう」
「会わせたい人?」
「そうだよ。ソフィアと同い年の王子様が居てな、ソフィアも会ってみたいだろう?」
えっ!?王子様?私と同い年ってことはゲームの攻略キャラじゃん。
できる事なら会いたくねー。
けど、父の嬉しそうな顔を見ていると会いたくないとは言えない雰囲気だな。
「っうん、会ってみたい」
「そうだろ、そうだろ。明日を楽しみにしていなさい」
明日は覚悟を決めて王宮に行くか。
良かったらブクマよろしくお願いいたします。