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話し合い

最近、すごく暑い

みなさん、熱中症には気をつけてください。


 朝食を終えた私は今、父との話し合いの為に執務室に向かっていた。

 正直なところ私は執務室に入った事がない。

 なので余計緊張してきた。

 執務室の前まで来た。

 呼吸を整えて、ノックをする。「お父様、ソフィアです。入ってもいいでしょうか?」。

 すると、部屋の中から父の声で「入ってもいい」と言われた。


 「失礼します」

 

 初めて入る部屋、執務室。

 最低限に飾られた調度品。機能性を重視した机や椅子。そして何よりこの部屋の印象的な物が、この部屋の壁が見れないほどに設置してある本棚だ。

 その本棚には隙間が無いくらいに本が並んでいる。

 この部屋は完全に仕事をする為の部屋だと分かる。つまり来客がここに来ることはないのだろう。

 

 「そこの椅子に座ってくれ」

 

 部屋に入ってからずっと立っていた私を見た父が、手を使って私が座る所を指定してくれた。

 椅子に座った私は、改めて部屋を見渡した。

 本で一杯だと思っていた部屋は、それと同じくらいの書類が累積していた。

 その書類の山を父は処理している。

 部屋に響く羽ペンの音はリズミカルで、どこか心を落ち着かせてくれる。

 

 「すまない。待たせたな」

 

 そう言って父は羽ペンを置き、私が座る向かいの椅子に座った。


 「いえ、忙しい中私の為に時間を作ってもらいありがとうございます」

 「そう改まるな、ソフィア。今後の領について話すんだ時間を作るのは当然だ」

 「ありがとうございます、お父様。では、早速で悪いのですがそのお話をしましょう」

 「あぁいいよ。今もソフィアは領の運営をしたいという思いは変わってないのかな?」

 「はい。今も変わっておりません」

 

 「そうか・・・」と言って父は座っていた椅子に深く座り直した。

 父は両手を組み、眉間にしわをよせて会話を再開した。


 「ソフィア。正直言って私はソフィアに領の運営をさせるつもりはない」


 力強い口調でハッキリと言われた。

 

 「ど、どうしてか理由を聞いてもいいですか?」

 「あぁこういう言い方はソフィアに失礼かもしれないが、ハッキリ言ってソフィアがまだ子供だからだ。ソフィアはまだ世間を知らない、世界を知らないそういった者に領を任せられると思うか?」

 

 確かにその通りだと思う。

 でも、父は知らない。

 私が過去の記憶を持っている事を・・・しかも、ただの記憶ではない今よりも進んだ時代の記憶だ。

 これはもの凄く価値のある情報だ。この情報を上手く扱えばこの領はもっと発展する。

 しかし、この事は父には言えない。

 例え言ったとしても信じてもらえるわけがない。

 私だったら信じないだろう。

 だから、言えない。

 私のやるべき事は、この事を言わずに父を説得して領の運営をすることだ。

 自分で言っていてかなりの難易度だと思う。

 

 「お父様の意見はもっともだと思います。しかし、私が子供である事は置いといて話をしてほしいのです」

 「それを抜きにしてもソフィアはまだ世間をしらないだろ?」

 「そうかもしれませんがそれでも、私の提案を聞いてくれませんか?」

 「提案は聞いてもいい。だが、ソフィアに領の運営を任せる事は出来ない」


 こういった平行線の話し合いが、3時間くらい続いた。

 私は次第に、この話し合いの落としどころ探していた。

 だが、3時間にも及ぶ話し合いのせいで私と父は意地になっていた。

 つまり、2人での話し合いは永遠に平行線になる事を意味している。

 けど、この状況を変えてくれる人が執務室に訪れた。

 

 「旦那様、失礼してもよろしいでしょうか?」

 

 ノックが鳴り、扉の向こうから使用人のシーマルさんの声が聞こえた。

 父がシーマルさんの入室を許可し、部屋にシーマルさん入ってくる。

 

 「どうした?シーマル」

 「いえ、そろそろ休憩をした方がいいと思いまして紅茶を運んできました」

 「そうだな。少し休憩するかソフィア?」

 「はい」


 私と父はシーマルさんの入れてくれる紅茶を堪能していた。

 先ほどまで話詰めだった為、喉が渇いていた。

 乾ききった喉に紅茶がしみる。

 

 「どうですか?お話の方は?」

 「ソフィアが頑固でね、話は平行線だよ」

 「それはそれは」


 父とシーマルさんは二人で話を始めてしまった。

 『まさか父から頑固と言われるとは・・・』。

 

 私は二人が話しているの横目で確認しつつ、紅茶を堪能していた。

 すると、突然部屋に手を叩いたと思われる破裂音が響いた。

 音のした方を見ると、手を叩いたのはシーマルさんのようだった。


 「ならばこうしませんか?お嬢様を領主代行の立場にし、旦那様の領の運営を手助けするというのはいかがでしょうか?」

 

 シーマルさんの突然の提案に、私と父は固まってしまった。

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