私の領に対する思い・・・
最近、投稿スピードが落ちてる・・・
私は自分が言ってしまった言葉を思い返し後悔していた。
今、馬車の中は重い空気で満たされている。
当然、原因は私の発言のせいである。
こんな重い空気のまま、農業管理所まで行くのか?結構キツイな。
自分で作っておいて言うのもあれだけど・・・誰かこの空気を変えて。
「ソフィアお嬢様に一つ言っておくことがあります」
この重い空気の中、コズミさんの声が馬車の中で響く。
「ソフィアお嬢様は先ほど言っていた、領の運営で生まれた負の遺産があのスラム街だと言いましたが。それは間違いです」
「どういう事ですか?」
「以前はドルトムン領にはスラム街など無かったのです」
「でも、今はありますよね?それは、やっぱり領の運営の結果ですよね?」
私の発言を聞いたコズミさんは少し苦笑いを浮かべていた。
「結果から言うとそうですね。でも、それは運営が悪くて領民の中から貧困が生まれたわけでは無いんですよ」
「コズミ。それ以上は言わなくていい」
先ほどまで沈黙していた父が、突然に口を開いた。
「しかし、ドルトムン様!?ここはちゃんと説明した方がいいと思います」
コズミさんが父の発言に対してすぐに反論したが、父は何も言わずにコズミさんを睨んでいた。
そんな父を見てか、コズミさんは黙ってしまった。
「教えて下さい」
二人のやり取りを見ていてこの発言は、流石に空気を読めって言われそうだけど・・・私は知りたかった。
この領に何故スラム街が出来たのかを。
そして私はもう一度、父の顔を見て言った。
「教えて下さい」
フーっと深い息をした後、父は私の方を向き口を開いた。
「聞いても面白い話ではないぞ。それでもいいのか?」
「はい。お願いします」
「分かった。コズミが先ほど言った通り、昔はこの領にスラム街は無かったんだ。経緯を説明すると領の運営のせいで領民が貧困になり、そこからスラム街が出来た訳では無いんだ。スラム街に居た者達は、他の領から来た者達なんだ」
「他の領からですか?」
「そうだ。他の領にあったスラム街からドルトムン領に来たんだ」
私はここで疑問に思った。
『元々スラム街に居たのに、どうして移動をする必要があるだろう?』と思った。
だけど、私が思った疑問はその後の父の説明によってすぐに解消した。
父の説明によると、昔スラム街は伝染病が巣窟だったらしく、そこから領全体に伝染病が広がるのを恐れた領主はスラム街の全面排除に乗り出した。その結果が強制的にスラム街の住人を追い出す事になった。
しかし、ここで問題なのが追い出された彼等の行き先だ。
この時、国中にスラム街が伝染病の巣窟になる事は知れ渡っており、そのスラム街に居た者達を新たに受け入れる領など無かった。
ドルトムン領を除いては。
そして彼等を受け入れた結果が、商業地区でのスラム街のなのだという。
「そういう事だったんですね・・・」
「面白い話ではなかっただろ?」
そう言って笑っている父の顔は、どこか悲しそうに見えた。
「お父様!!私この話を聞いて改めて言います。私にドルトムン領の運営をさせて下さい」
私は強い口調で父に言った。
しかし、父は首を縦には振ってはくれなかった。
「お願いします。お父様」
さらに、私は父に頼んだ。
すると父が私の手を握って来た。「お父様?」。
「ソフィアはそこまで領の運営をやりたいんだ?」
真剣な表情で父が問いかけてきた。
「今の現状の領よりも良く出来る自信があるからです」
「なら質問しよう。まずソフィアが領の運営をしたら何からやるつもりかな?」
「まずは、道の舗装から始めます。それと同時に領に新たな管理施設を作ります」
「道の舗装に、新しい管理施設?何故?」
父は「分からない」と言った表情で聞いてきた。
ここで私の領改革プランの実用性を上手く伝えられたら、父は私に領の運営を任せてくれるかもしれない。
「まず、道の舗装の説明をする前に今のドルトムン領を運営するに至って大切な施設が農業管理所・漁業管理所・商業管理所の三つしかありません。私が思うにこれでは少ないです」
「少ない?今の三つでも上手く領は回っているよソフィア」
「回すだけなら現状のままでもいいかもしれません。でも、今よりも領を発展させるのなら必要だと思います」
「なるほど、ちなみにどんな施設が必要なんだい?」
「そうですね。一番大事なのは領民を管理できる施設と領地を管理できる施設が最低でも要りますね」
「そんなもの必要なのか?」
「はい。必要です」
父は「なるほど」と小さい声で言った後、コズミさんの意見も聞くために二人で話をし始めた。
その後。
「ソフィア。詳しい話は屋敷に帰ってから聞く事にするよ」
コズミさんとの話がまとまったのか、父が私にそう言ってきた。
『屋敷で話し合うのか・・・上手く伝わればいいけど』私は少しの不安を抱え馬車の揺れを感じていた。
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