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私の予想は的中していた

久しぶりの投稿になってしまいました。

出来るだけ次の投稿も急ぎます。


 単刀直入に言うと私の予想は当たっていた。

 農業管理所を見た後、漁業管理所・商業管理所を順に見たのだが全ての場所で停滞を感じた。

 一定の発展はしているが、これから先の発展が出来ない状態とでも言うのだろうか・・・これから先にいくには、ドルトムン家の力が必要になる。

 

 「ソフィア様、本日一通り回られてどうでしたか?」

 

 農業管理所に帰っている馬車の中で、コズミさんが話かけてきた。

 

 「今日は改めて来て良かったと思っています。コズミさんも今日はお付き合いいただきありがとうございました」

 「いえ、いえ。これも私の仕事の内なので大丈夫です。ソフィア様がお気になさる事ではありませんよ」

 「そうですか・・・でも、今日はコズミさんが居てくれて助かったのは事実ですので私は感謝している事は覚えていてください」

 「はい。ありがとうございます」

 「ところで、ソフィア。今の領の状態をどう思っているんだい?」


 私とコズミさんの会話が終わったタイミングで父からも質問を受けた。

 

 「正直に言ってもいいのでしょうか?」


 私は真剣な表情で父に聞いた。

 すると父は軽く頷いた後に、「あぁ頼む」と短い返事をくれた。

 

 「正直に申し上げて、この領はこれ以上の発展は難しいでしょう。お父様もコズミさんも「このままでもいいのではないか?」と言っておりましたが・・・このままずっと同じだと、いつかこの地は滅ぶでしょう」

 

 私の過激の発言に、二人は驚いた表情をしていた。

 

 「滅ぶとは穏やかではないな、ソフィア」

 「そうですね。ちょっとは過剰な言い方になったかもしれません。でも、このまま成長しないとそれと同じような事になると思います」

 「私はそういう事にはならないと思うぞ。コズミはどう思う?」

 「はい。私もドルトムン様と同じ意見です」


 二人は今の領地の状態しか見えていない。これから先の事を考えていない・・・いや、考えているかもしれないが。それは、恐らく現状をどれくらい維持できるかという事を考えていると思う。

 それでは、駄目なのだ。

 これから先をより良いものにするなら。


 「では、お父様に聞きたいのですが?領民達の識字率はどのくらいあるのでしょうか?」

 「識字率か・・・詳しくは分からんな。コズミはどうだ?」

 「大体でよろしければ・・・」

 「かまいません。教えて下さいコズミさん」

 「大体、全体の1割~2割ほどかと思われます」


 そうなのだ。私がまず思ったのがそれだ。領民の識字率の低さに驚いた。

 今回、行った農業地区・漁業地区・商業地区の三か所で私は出会った領民と出来るだけ話した。

 農業地区は一人としか話してないけど・・・。

 でも、他の地区で出会った領民と話すと皆、話す事は出来るが字を書けない者が結構いた。

 しかも簡単な計算もあまり出来ないみたいで、ほとんどのお金を使った取引では丼勘定になっていた。

 これでは、ほとんどの者が正しい利益を分からずにただ働いているだけになってしまう。

 そこから生まれる損をする者、得をする者が明確になってしまう。

 元々、人とは平等では無い。

 しかし、国が領がすべての民を不平等に扱っていいわけではない。

 我々、上に立つ者はすべての民を平等に扱わなくてはならない。

 教育・権利・医療などのあらゆるモノを平等に与える。

 そこから初めて競争が生まる。

 生まれた競争は、国を領を発展させる。

 今のような競争が生まれない環境では、国が発展する事はない。そうなると徐々に国力が低下し、最終的には国が滅んでしまう。

 それは喜ばしい未来ではない。

 まぁこれはあくまで私の考えなので、私がすべて正しいと言うつもりはない。

 ただ、一つ言えるのは確実にこのままではいいはずがないとだけ言える。

 

 私は呼吸を整えて、父に向き直った。

 

 「お父様にお願いあります」

 「お願い?一体どんなお願いなのかなソフィア?」

 「このドルトムン領の運営、管理を私にやらせていただきたいのです」

 「それは、無理だよソフィア」


 私のお願いは即答で断られた。

 

 「お父様、理由を聞いても?」

 

 自分で聞いといて思うが、普通に考えて子供にそんな重要な事を任せるはずがないから父の返答はもっともだと言える。

 

 「ソフィアが、領の運営について真剣に考えている事は嬉しいく思う。でも、領の運営はお遊びではないんだソフィア。この領にはたくさんの人々が暮らしている事はソフィアにも分かっているとは思うが、領の運営や管理が失敗するとここで暮らす者たちに大きな負担を掛ける事に繋がる。だから、領の運営・管理は慎重に行う必要があるんだよ。今のソフィアにそこまでの重荷を背負わせる訳にはいかない、それが理由だよ」

 

 父の言う通りだと思った。

 私も、そう思う。

 でも、私はまだ自分の心に残っている事を父に言った。


 「お父様。商業地区の外れで見た、あのスラム街を覚えていますか?」

 「あぁ覚えているよ」

 「あそこには、大人だけではなく小さな子供もいるように見えました。あれは今までの領の運営で生まれた負の遺産なのではないでしょうか?私ならっ・・・」

 「ソフィアお嬢様!それは言いすぎかと・・・」


 私の言葉はコズミさん制止の言葉により遮られた。

 

評価&ブクマをよろしくお願いいたします。

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