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父と領地巡り

最近、喉の痛みがとれない。


 瞼を閉じているのに、目に入って来る光の量が増している気がした。

 私の意識が徐々に目覚めようとしていた。


 「お嬢様、朝ですよ。起きてください」

 

 意識がまた眠りにいこうとした時、近くからエヴァの声が聞こえてきた。

 

 「お嬢様、起きてください」


 また、エヴァの声が聞こえてきた。

 でもまだ、意識がハッキリしていないせいかエヴァが何を言っているのか分からない。

 『エヴァお願いもう少し寝かして』、私は心の中でエヴァにお願いをしていた。


 「お嬢様、失礼します」


 エヴァの声がまた聞こえた。

 すると、私を優しく包んでいた布団が突然消えた。

 私はビックリして、目を開けた。

 私の目に映ったのは、私の布団を持ったエヴァの姿だった。

 どこか、エヴァの表情が怖いのは私の気のせいだと思いたい。

 

 「ようやく起きてくれましたか、お嬢様」


 『あっこれ気のせいじゃないわ』、エヴァの顔を見て今の状況をようやく理解し始めた。

 

 「えぇ、・・・今起きたわ」

 「お嬢様、急かすようで申し訳ないのですが・・・お早く準備を済まされた方がいいと思います」

 「まさか、私寝坊した?」


 私の言葉を聞いたエヴァは深く頷いた。

 エヴァの反応を見た私は、焦りが出てきた。


 「どのくらい、急いだほうがいい?」

 「そうですね。旦那様はもう朝食を済まされていますのでお嬢様の準備が出来次第に出ると旦那様がおっしゃっておりました」

 「なるほどね、なら急ぎましょう」

 

 急いで準備をした私は、父が待つ馬車に向かった。

 

 「お待たせしました。パパ」

 「イヤ、大丈夫だよソフィア。予定している時間にはまだ余裕があるからね。ところでソフィア、準備は大丈夫なのかな?」

 「えぇ、大丈夫よパパ」

 

 私が「大丈夫」と答えたが、何故か父が心配?してるようだった。

 気になって父の視線の先を見てみると、私の着ている服を見ていた。


 「パパ、私の服変かな?」


 私は今着ている服装が今回の領地見学に不適切なのかと、不安に思い父に聞いた。


 「う~ん、変というわけでは無いのだが・・・ちょっと外に出るのにその服装は地味ではないかな?」


 父に地味と言われた自分の服装を改めて見直したが・・・自分では地味だと思わないのだが。

 まぁいつも着ている服に比べると体のラインが出ていないから、父に地味だと思われたのかもしれない。

 しかし、今回は領地見学が目的だからエヴァには動きやすい服装を着たいと言っていたから、関節の可動域が多い服になっているから体のラインが出ないのは仕方ない。

 だが、今回は父の意見を尊重した方がいい。


 「着替えた方がいいでしょうか?今回は色んな所に移動と思い、動きやすい服装がいいと思ってこの服にしたのですが・・・」

 「そうか・・・。ソフィアなりに考えて選んだのなら、なんの問題もないよ」

 「着替えなくて大丈夫という事ですか?」

 「そうだね、大丈夫だよ」

 

 父からの許可をもらったので、私の選択は間違っていなかった事に安心した。

 予定の時間になったので、最初の目的地に向かって馬車が動き始めた。

 

 「パパ、最初はどこに行くの?」

 「最初は、農業地区に行って収穫量などの調査に向かう。本来ならソフィアではなくロランをを同行させたかったが・・・」

 

 そう言った父は何か思う所でもあるのだろう、少し悲しそうな表情をしていた。

 紹介が遅れたが父が言ったロランとは、ドルトムン家の長男であり将来公爵家を継ぐ存在。そう言わばソフィアの兄になる。

 正直ゲームではソフィアの兄が出てこないので、私にとっては重要なキャラではない。

 しかも兄とは歳が8つ離れている為、最近では兄とは会う事が少なくなってしまっている。何故なら兄は今年から、学園に入る為である。

 学園に入ると寮で生活をする事が決められており家に帰ってくる事が出来るのは、長期の休みの時だけになっている為。

 今では、学園に入る準備で兄は忙しくしている。


 「お兄様は、学園に入る為の準備で忙しいですから仕方ないですよ」

 「それは分かっているのだが・・・本来ならもっと早い段階で連れて行きたかったがロランが行きたくないと言うのでな」

 「お兄様は何故行きたくないと?」

 「今のソフィアに言って分かる話かどうか・・・」

 「私、聞きたいたわパパ」

 「分かったよ、ソフィア」

 

 父が語ってくれたのは、父が感じているロランの心情だった。ロランは今ドルトムン家の、家が持つ重みに耐えている状態らしい。

 王国を代表する貴族の一つであるドルトムン家は、それ相応の品格や学が必要とされている。

 ドルトムン家を継ぐ事を決められているロランは相当な重圧の中で努力してる。その為、領地管理という仕事は今のロランにはさらなる重圧を与える事になると分かっているから強く言えないでいるとの事。

 領地管理は貴族の責務であり、怠る事は出来ない。

 『なるほど、父は親として兄の事を心配しているのね』、これは貴族として生まれた者の義務なのだろう。

 

 

 

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