領地へ行く
投稿遅くなり申し訳ございません。
数日前にデイルに教えてもらった領地について、最近考える事が増えた。
私は、ソフィアになってから王都から出たことがない。
そして私がソフィアになる前、つまりソフィアの記憶にも王都から出た記憶がない。
だから、私は王都の事しか知らない。
デイルが言っていたが、貴族が統治している領はそこの貴族の特徴がかなりでるらしく、各地の領を見て回るには実に面白いらしい。
デイルは最近、各領に行く機会が多くなり行った先々で初めて見る景色が楽しいと言っていた。
そんな話を聞いたら私も見に行きたくなる。
でも、いきなりどこどこ行きたいと言っても断られそうなので。まずは、ドルトムン領に行きたいとお父さんに頼んでみた。
お父さんは二つ返事で許可してくれた。
そして、今日ドルトムン領に出発する日になる。
私にとっての初の王都以外に行けるという事で、朝からワクワクして止まらない状態なのだ。
「ソフィア準備はできたかな?」
「はい、パパ」
「では、行こうか」
お父さんに手を引かれ馬車に乗り込んだ。
馬車での移動中は、お父さんにドルトムン領について色々聞いた。
王都の屋敷からドルトムン領にある屋敷までは、約5時間ほどかかるらしく途中で休息を入れる事になる。
『馬車で5時間か、結構かかるわね』、私はお父さんの会話の合間合間に外の景色を楽しんでいた。
約5時間にも及ぶ馬車移動は終わり、ようやくドルトムン領に着いた。
馬車から降りたら外は、すっかり暗くなっていた。
暗くてよく見えないが、ドルトムン領にある屋敷は王都にある屋敷とは比べる事がバカらしくなるくらいにデカい。
ハッキリと見えるところだけで、王都の屋敷よりもデカいのだ。
『デイルの話通りドルトムン領にある屋敷はすごかった』、父に頼んで来たかいがあったと思ってしまう。
屋敷に入ると数多くの使用人の方々が出迎えてくれた。
王都の屋敷の3倍くらいの人数はいるだろうか。
「旦那様、お嬢様。お帰りなさい」
使用人の方々の中から白髪が特徴のおじさんが前に出てきて挨拶してくれた。
「久しぶりだな、カルロ。元気だったか?」
「はい。まだまだ現役ですよ」
「はっはっは。相変わらずだなカルロは!」
楽しそうに会話している二人を見ると、とても仲がいい事が分かる。
『このおじさんカルロさんって言うのか、紹介とかしてくれないかな・・・』。
「大きくなりましたな、ソフィアお嬢様。お嬢様がこのお屋敷に過ごされたのが、お嬢様が2歳の頃でしたから・・・私の事は覚えていないでしょう?」
『何っ?ソフィアって2歳の頃ここに居たの?あ~でも、そうか2歳の頃だと記憶にないよね・・・』。
「はい、ごめんなさい。覚えてないです」
「そうでしょう、そうでしょう。仕方ありませんな。では、改めて自己紹介します。私は執事長を務めるカルロと申します、よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げるカルロさんの動きはとても綺麗だった。
「よろしくお願いいたします、カルロさん」
「お嬢様、私はドルトムン家の使用人なのですから呼び捨てで構いません。どうかカルロとお呼びください」
「分かりました、カルロ」
『やはり、年上の方を呼び捨てで言うのは慣れないわね』、前世での常識があるせいかどうしても違和感を感じてしまう。
その後、数人の使用人の方々と挨拶をした後。私はこの屋敷での私の部屋に案内された。
私は初めて入る自分の部屋に興奮をしていた。
部屋は驚くほど広く、むしろ広過ぎて落ち着かないといった感じだ。
『すごい、キレイに掃除されてる』、埃一つない状態の部屋に感動している。
「この部屋はいつもこんなにもキレイにしている?」
私はこの部屋に案内してくれた使用人の方に尋ねた。
「はい。いつでもお嬢様が来られてもいいように、私達が掃除をさせていただいております」
「毎日、掃除をしているの?」
「はい」
さも当然のように答える使用人。
私はてっきりいつもは掃除をしていなくて、今回私が来ると言う事で掃除をしたと思っていた。
『まさか、毎日しているとは驚きね』、私は使用人の方々に感謝した。
「ありがとう。とてもキレイで、私嬉しいです」
「お嬢様にそう言ってもらい私共、使用人も嬉しいです」
私がお礼を言ったせいか、使用人の方が軽く涙を流していた。
まさか、涙を流すとは思わず。私はオロオロしてしまった。
「失礼いたしました。お嬢様、申し訳ございませんがお食事の準備が整うまでもうしばらくお待ちください」
「はい、分かりました」
使用人の方は、そう言って部屋から出ていった。
私は食事の準備が終わるまで部屋の窓から見える景色を眺める事で、時間の経つのを待った。
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