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パーティーが終わり、デイルが屋敷にやって来た

間に合った


 パーティーが終わり。

 本来ならば、気持ちが落ち着いているはずなのだが・・・。

 今、私の頭の中は明日デイルが来る事でいっぱいだった。

 

 パーティーで疲れているはずなのに、眠れない。

 体が休息を求めているのを感じているのだが、明日の事が怖くて休めない自分がいる。

 アレン様の時はまだ、大丈夫だったが。

 今回は、デイルが相手だ。

 ゲーム設定上、デイルは公式が認める天才だ。

 そんな奴と長時間、関わると私のボロが出てしまう恐れがある。

 運良くボロが出なくても、私に対して不信感に似た感情を抱く可能性がでてくる。

 そうなると、私の破滅エンドのきっかけに繋がる。

 それはなんとしても避けたい。

 私は出来るだけ、幸せに暮らしたいだけなのだから。

 それにしても明日が怖くて、眠れない。

 『全く迷惑な奴だよ、デイルは。私の睡眠を妨害するんだから』、私は不安を抱えながら深く瞼を閉じた。

 どんなにイヤでも明日、デイルは来る。なら、せめて目の下にクマを作らない努力はしなくては。

 何も考えずに、ただ目を閉じ横になる事だけに意識をした。

 そうしていつの間にか、私は眠りについていた、

 

 朝は目を覚ましすぐに、鏡の前に移動した。

 クマが出来ているかの確認の為だ。

 若さのおかげか、クマは出来ていなかった。

 これで最低限の身だしなみを確保した状態で、デイルに会えるわね。

 その後、午前中の勉強に集中できないまま時が進みデイルが来る時間になった。

 喉を通る、紅茶がいつもより引っかかっている気がする。

 コンコン。「お嬢様、デイル・ヴィルスター様がお見えになりました」

 扉の向こう側からエマの声が聞こえ、デイルが来た事を伝えられた。

 正直、この場から逃げだしたいけど・・・それは出来ない。

 『覚悟を決めるか』、私は絞り出すように声を出した。

 

 「どうぞ、入って」


 私の声を聞いたエマが、扉を開け部屋にデイルを案内している。

 部屋に入って来たデイルが周りを見ながら歩みを進めているのが見えた。

 私の部屋に入って来た男は父や使用人を除き、デイルで二人目になる。

 一人目は勿論、アレン様だ。

 こうして考えると何故か攻略キャラの二人が、私の部屋に来た事になるのか。

 あと三人来たら全員揃うわね。

 

 「おう!ソフィア昨日ぶり~」


 デイルは軽く手を挙げた状態で挨拶をしてきた。

 はたから見たら完全に平民だ。

 

 「デイルさん、そのような挨拶は貴族はしませんよ」

 「だろうな。でも、俺とソフィアは友達だから問題ないだろ」

 「私は気にしませんが・・・一応今回の集まりは言葉使いを直すという目的があるのですから形ぐらいはやって下さい」

 「はいはい、分かったよ」

 

 そう言ってデイルはエマが淹れてくれた紅茶を飲み始めた。

 

 「おっ!この紅茶、かなりうまいな」

 「そうでしょう。茶葉もいいモノだけど、エマが淹れてくれた紅茶は格別に美味しいのよ」

 「へー羨ましいな、毎日こんなうまい紅茶を飲めるなんて」

 「そう言ってもらえて嬉しいです。エマも喜びます」

 「パーティーの時にも思ったがやはり公爵家の屋敷はデカいな、俺の男爵家の屋敷とは比べモノにならないや」 


 デイルに言われて初めて気づいた、『そういえば私って他の貴族の屋敷って見たことないわね』。

 一応クロフォードさんの屋敷には行った事があるが、でもあれは私と同じ公爵家だったからな。参考にはならないだろう。

 

 「デイルさんの屋敷はどれくらいの大きさなのですか?」

 「そうだな~この屋敷の三分の一くらいじゃないか」


 『イヤ、デイルさんここの三分の一なら普通にデカいじゃん』っと私は心の中で軽いツッコミをいれていた。

 

 「今、ソフィア三分の一なら十分に大きいとか思わなかった?」


 またしても心を読まれたらしい。

 

 「・・・思いました」

 

 私は素直に認めた。


 「ソフィアは分かりやすいなぁ。確かにここの三分の一なら大きいと思うのは当然かもしれないが、そこには大きな誤解がある」

 「誤解ですか?」

 「そう誤解。ドルトムン家は王都でこの大きさの屋敷を持っているが、ヴィルスター家はヴィルスター領でここの三分の一の屋敷なのさ。だからドルトムン家はドルトムン領に行ったらここの比ではない大きさの屋敷があるって事さ」

 「えt!?デイルさんは今日は王都にあるご自身の屋敷から来たのではないのですか?」

 「違うよ、ヴィルスター領から来たんだよ」


 貴族は皆、王都に屋敷を構えていると思っていたけど。それは違ったって事が今、分かった。

 デイルと話していると、私の知らない事を教えてくれる。

 王都に屋敷を持てる貴族は限られていて、基本は侯爵以上の爵位を持つ貴族にしか認められていない。

 そして、貴族はそれぞれ王から領地を与えられ。領地を発展させる義務を貴族は背負う。

 今回の集まりはデイルの言葉使いを直す為の場だったが、気が付けば私はデイルから貴族の義務や領地について教えてもらっていた。


 『何だかいつの間にか、立場が逆転してるわね』。

評価&ブクマをよろしくお願いいたします。

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