デイルの能力
誤字報告ありがとうございます。
感謝感謝。
「いや、俺と話をする奴らは皆失礼な方とか言ってすぐにどこかに行ってしまうからな。でもお前は、俺とちゃんと話してくれる。だから変わってるよ、お前は」
なるほどそういう事ね。確かに普通に貴族として育った人には、彼の話し方は不快に思うでしょうね。
だからこの貴族社会では、彼の話し方は不適切になる。
だけど、私は前世の記憶があるせいか彼に対しては不快に思わない。
まぁこの場では不適切な話し方だとは思うけど。
「私は心が広いだけですよ」
「ハッハッ。お前、面白い奴だな」
そこまで笑わなくてもいいでしょう。
腹を抱えて笑っているデイルに、私は少しイラっとしてしまった。
「そうだ、デイルさん。そろそろ私の事を名前で呼んでくれませんか?お前と言われるのはあまり好きじゃないので」
「そうか、それは悪かったな。ならソフィアって呼ぶよ」
いきなり呼び捨てで呼ばれるとは思っていなかったわね。
爵位の関係上、呼び捨て何てあり得ない事なんだけど・・・彼は一体どう思っているのかしら?。
「えぇ、それでお願いします」
「ところで、ソフィアは今日で何歳になったんだ?」
「7歳になります」
「へー、ってことは俺と同じだな」
まぁそうでしょうね。攻略キャラである事を知っているからデイルの年齢は、当然知っている。
すると、私があまり驚いてない事が気になったのかデイルが続けて話かけてきた。
「ん?あまり驚いてないけど俺の事知ってたの?」
的外れな事を聞かれた。
「いえ、知りませんでした。それにお会いしたのも初めてでしょう。デイルさん?」
「まぁそうだな」
私がデイルの事を前から知ってると言うと面倒な事になると思ったので、私はシレッと嘘をついてしまった。
本来デイル・ヴィルスターというキャラは、こういう性格故に学園では問題視されていた。
その関係もあり、デイルルートでは序盤に問題イベントが起きる。
デイルの態度に怒った貴族が何人かで、デイルを訴えた事があったが。
その訴えを王家が握り潰した。
最初プレイしていた時は、「何故?」って思ったけどプレイを続けていくうちにその何故って疑問は解消された。
一言で彼、デイル・ヴィルスターは天才なのである。
最初は彼の発言は子供の戯言だと相手にされなかったが、後に彼の発言を聞いた官僚が政策に取り入れた事をきっかけに彼の価値が急激に上がった。
彼の発言は徐々に政策に取り入れられ、他国にくらべ明らかに優れた国になりつつあった。
その事を知った王家は彼の保護に乗り出し、彼は貴族の間で王家の秘剣と言われるようになる。
故に彼はこの国で特別なのだ。
でも、今はただの失礼な子供として扱われている。
『あまり彼と話さない方がいいかもしれないわね」、下手をすると私の事を警戒するかもしれない。
私は距離を置くために、話を切り上げようとした。
「私はそろそろ他の方に挨拶に行かなくていけないので、失礼しますね。デイルさん」
私は軽く会釈してデイルの横を通ろうとした時、私の腕をデイルに掴まれた。
「おいおい待てよソフィア。貴族達への挨拶は俺で最後じゃないか?」
不敵な笑みを浮かべ、私の腕を掴む手がさらに強くなった気がした。
『マジ?コイツ知っていたのかデイルで挨拶が終わりだって事」、今の私はとても驚いた顔をしているだろう。
何か言い訳をしないといけないけど、咄嗟の事で言葉が出ない。
ヤバいな冷や汗も出てきたかも・・・。
「ん?どうかしたソフィア?」
まるで、日常会話を楽しむが如くニコニコ笑顔で話してきた。
「いえ、そうだったのですね。これだけの方がいらっしゃるのでまだ挨拶をしていない方がいると思いまして・・・」
「へー、そうだったんだ。俺はてっきり俺ともう会話したくないから適当な言い訳をして去ろうとしているんだと思ったよ」
『読まれてる・・・』、コイツ人の心の声でも聞こえるのではないかと思うほど私の行動の意図を読んでいた。
「そんな事はないですよ。おかしな事を言うのですねデイルさんは」
「このパーティーが始まってから君の行動をずっと見ていたけど、ソフィアは誰に挨拶したかどうかを理解していたように見えてたんだけどね」
完全に私の嘘を看破しているようだった。
この少しの時間でデイルの持つ能力の片鱗を垣間見た気がした。
「ずっと見ていたのですか?」
「うん、そうだよ。このパーティーの主役だからね、どんな人なのか知りたくて見たいたんだよ。あとソフィア、俺はね人の嘘を見抜くのが得意なんだ」
彼の顔を見れば嘘を言っていない事が分かる。
ここで嘘をつき続けるのは愚策だと思い、私は素直に言う事にした。
「確信を持って言っているようねデイルさんは」
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