目覚めからの違和感・・・
頑張って早めの投稿を
こころがけます。
瞼を閉じているのに、明るいのと感じてしまう。
朦朧としていた意識が覚醒し始める。
あれ?カーテン開けたままだったけ、閉めたと思うんだが。
重い瞼を開けると、見覚えの景色が広がっていた。
「あれ?夢かなもう一回寝るか」
覚醒しかけて意識をもう一度、睡眠に移行させる。
しかし、瞼を閉じても明るいと思うほどに本日の天気は快晴らしい。
光を塞ぐために深めに布団を被る。
いい具合に光を塞ぐことに成功した俺は、また睡魔に襲われた。
「お嬢様、朝食の準備が出来ましたので起きてください」
途切れかけた意識がまた覚醒し始める。
今、明らかに女の人の声が聞こえた。聞き間違えではなくハッキリと聞こえた。
確実に聞こえたその言葉で俺の中に混乱が生じた。
俺の部屋にはテレビなどない為、テレビからの音ではない事は確かだ。
ならどこから出た音なのか?可能性としてはスマホから出た音なのだが。
【俺、寝る前に動画って見てたっけ?】と頭の中で考えたが、うまく思い出せない。
寝る前の記憶があやふやだ。
「いい加減に起きてくださいお嬢様っ!」
また女の人の声が聞こえたと思ったら、俺が被っていた布団が勢いよくめくられた。
「うわっ!?えっ・・・誰?」
声の聞こえた方に視線を向けると、そこには若い綺麗な女性が立っていた。
おそらくこの女性が俺の布団を取った人物だろう、その証拠に右手には布団の端が握られていた。
一体誰だこの人?全く見覚えがない人だ。
しかも、女性が着ている服がアニメやゲームでしか見たことがない立派なメイド服を着ている。
「お嬢様は相変わらず、朝が弱いようですね」
まとまらない思考の中で、愛想よく女性が話かけてきた。
愛想よく話しかけてくるこの女性に俺は全く覚えがない。
でも、こうやって話しかけてくるという事はこの女性は俺の事を知ってるってことだよな。
「どうしたのですか?お嬢様、私の顔に何かついていますか?まさかご気分が優れないのですか?」
「いえ、大丈夫です」
俺のことを心配してくる女性に対し咄嗟に答えてしまった。
俺の答えに安堵したのか、女性が「なら、良かったです」と答え、持っていた布団をかたずけ始めた。
とりあえず、ベッドから出るか。
ベッドから足を下した時に、自分の体に異変を感じた。
足のサイズが小さい、手も小さい。
てか、俺の体小さくね?えっ何これ?夢なの夢だよな。
古典的な方法だが、ほっぺをつねってみた。
うん、痛い。間違いなく痛い。
えっ夢じゃないの?why?
俺はまだ寝ぼけてるのか、ヤバいなんかクラクラしてきた。
「お嬢様、早くこちらで準備をいたしましょ」
豪華な化粧台の所に立って、こちらに手招きしているメイドさん。
俺の部屋に化粧台など無かった、一体どうなってるんだ。
「お嬢様、お早くこちらに」
メイドさんから催促が掛かる。
今起こっている事に整理がつかないまま、俺はメイドさんの言われるとおりに化粧台に向かった。
メイドさんから化粧台の前に置いてある椅子に座るように促された。
それにしてもこのメイドさん、さっきから俺のこと『お嬢様、お嬢様』って俺をどう見たら女に見えるんだよ。
座った椅子はフカフカで座り心地が良かった、明らかに高級な椅子である事は容易に想像がついた。
椅子の座り心地を堪能した後、頭を上げ視線を鏡に向けた。
「はっ!?」
鏡に映る自分の姿はいつもの見慣れた顔ではなく、可愛らしい女の子の顔だった。
鏡に映る女の子の見た目は、長い金髪ストレートで所々に寝ぐせが目立ち、青い瞳が特徴的だ。
明らかに自分じゃない。
でも、俺が右手を動かすと鏡に映る女の子も俺と同じように右手を動かしていた。
俺がどんなに動いても、女の子も全く同じに動く。
全然意味が分からない。何も考えられなくなってきた。
すると、頭に鋭い痛みが走った。何だよこんな時に、頭痛かよ。
「どうかされましたか?」
俺の顔を覗き込むようにメイドさんが話しかけてきた。
メイドさんがとても心配しているようだったので、俺は思わず「大丈夫です」と答えてしまった。
「私の目から見てもとても大丈夫なようには見えないのですが?」
「すません。本当は少し頭が痛くて、でも少し休めば治ると思うので気にしなくてもいいですよ」
「いえ、ダメですよ。今お医者様を呼んでもらいましょう」
「いや、医者を呼ぶほどでは・・・」
あっ、ヤバい体が傾く。
自分が思っているよりも頭痛が酷かったらしい。
体の傾きを戻すことが出来ずに、俺は椅子から落ちてしまった。
「お嬢様っ!」
メイドさん叫び声が部屋に響く。
俺が落ちてしまった先は、フカフカの絨毯だった。これも高そうな絨毯だな。
なんてくだらないこと思っていると、意識が遠のいてきた。
俺の薄れゆく意識の中で、メイドさんが叫んでいるのが聞こえた。
俺の意識はここで完全に途切れた。
お読みいただきありがとうございました。