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マーフィスの葛藤・・・

いつも、お読みにいただきありがとうございます。


 「その話は本当か、マーフィス」

 

 私は、殿下がソフィア・ドルトムン様に好意を持っていることを知っている。

 それは私が、殿下付きの使用人であるからという理由だけではない。

 私は殿下が物心つく前からつかえている、そのおかげなのか殿下からは色んな相談を受けるようになった。

 その相談の一つに、ソフィア・ドルトムン様の事があった。

 言わば、殿下の初恋の人だ。

 それを知っているからこそ部屋を出てきたドルトムン様の発言が、私を混乱させた。

 おそらく、部屋で何らかの出来事でドルトムン様が勘違いされたと思われる。

 殿下を思うと、その勘違いの原因を解消する必要がある。

 

 「はい、本当です殿下。おそらく、ドルトムン様は何か勘違いしているものと思われます」

 

 先ほどまで焦りから汗をかかれていた殿下が、私の言葉を聞いて今じゃぁ汗がひき青い顔をしている。

 

 「それは、まずいな。どうすればいいんだ」

 「私が思う所、ドルトムン様は勘違いしていると思います。ので、その勘違いを解消すること必要だと思います」

 「勘違いか・・・しかし、どう解消すればいい?」

 「まず、ドルトムン様が勘違いした原因が何なのかを知らなければならないでしょう」

 

 考え込む殿下を見ていると、原因がいくつもあるのかもしれないと思ってしまう。


 「すまん、マーフィス。ソフィアは勘違いではなく、誤解をしているかもしれない」

 「と、言いますとどのような?」


 殿下から聞いた話は、何故そうなる?といった内容だった。

 ドルトムン様が勘違いした部分は何となくだが、掴めた。しかし、問題なのは殿下がクロフォード様におこなった対応だ。


 「それで、抱きしめたのですね?」

 「あぁそうだ。しかし、僕もどうすればいいのか分からなく、言われるがままに・・・」


 『はぁ~なんてことだ。それだと殿下がクロフォード様を好きだと言っているようなもの、それを誤解だと言うには・・・』、私は何と言えばいいのだ。


 「殿下。ハッキリ言いますと誤解を解くのはかなり難しいかと思います」

 「そこをなんとかならないか?」

 「ならとりあえず、なんとか上手くいってドルトムン様の誤解は解けたとしましょう。でも、クロフォード様の誤解はどうされるので?」

 「クロフォードの誤解?」

 

 殿下の態度を見る限りクロフォード様の事は、忘れている様子だ。いや、忘れているのではなく分かってなのか。流石に今のままの殿下の認識では不味い。

 ここはしっかりと説明して、認識を改めてもらわなくてわ。

 

 「殿下、お忘れですか?殿下はクロフォード様を抱きしめたのですよ!殿下ならこの意味が分かると思いますが?」

 「いや、でもそれは・・・言われたから」

 「殿下~そんな道理は通りませんよ」

 「でも・・・」

 「でも!では、ありませんよ殿下」

 「なら、どうすればいいと思うマーフィス?」


 私は、頭を悩ませた。

 私の持つ人生経験からでは、今の殿下の状況を何とか出来るだけの経験値が足りない。

 力になりたいのに、なれない。自分の不甲斐なさを嘆いている。

 私は、無言で首を横に振るしか出来なかった。

 

 「そうか・・・ならどうすれば・・・」

 「力になれず、すいません」


 私は、頭を下げるしか出来なかった。

 すると、殿下は「マーフィスが頭を下げる事ではない。これは僕の責任だ」と言ってくれた。

 しかし、いつまでも二人で部屋の前で話合っているわけにもいかず、とりあえずはこれ以上話がややこしくならないようにするという事で話は終わった。

 私は、ドルトムン様を迎えに殿下は部屋に戻る事になった。


 応接室に着いた私は、気が重かった。

 おそらく、殿下の事を思っての事だろう。

 しかし、いつまでもここに立っている訳にもいかず私は扉をノックした。

 

 「失礼いたします。ドルトムン様、部屋にお戻りいただいても大丈夫ですか?」

 「えぇ、もうお二人は落ち着いたようね」

 

 どこか嬉しそうに話すドルトムン様はからは、殿下に対する苛立ちやクロフォード様に対する嫉妬など見受けられない。

 『殿下、これミャクなしかもです』、私は心から殿下を心配した。


 「そうだ、マーフィス。お二人はどうだった?」

 

 ドルトムン様から、まるで女友達に話しかけるかのように話かけられた。

 

 「申し訳ございません、ドルトムン様。私は殿下としかお会い出来なかった為、分からないですね」

 「そう、それは残念ね」

 「失礼ですが、ドルトムン様は殿下とクロフォード様に対してどのように思われていますか?」


 私の質問にドルトムン様は、頭を悩ませているみたいだ。『まさか、ドルトムン様はお二人に対してあまりいいように思ってないのでは?』私に少し希望が出てきた。

 

 「上手くいってほしいですね」

 

 私の希望は、打ち砕かれた。

 何て屈託のない笑顔なんだ。


 『殿下、これは厳しいですよ』。


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