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アレン様の困り顔

うえ~い

間に合った。

 

 「アレン様、説明してください」

 

 鋭い眼光でクロフォードさんがアレン様を見ている。

 いつもはクールなアレン様がクロフォードさんとかかわると、何だか別人に見えるわね。

 

 「説明と言っても・・・なぁ」

 

 アレン様が私に助けを求めるような目で見てくる。

 しかし、そんな目で見られても私にはどうしようもないのだが・・・。

 

 「アレン様~せ・つ・め・い・してください」


 先ほどよりも更に、詰め寄るクロフォードさん。

 見ていて少し楽しいと思うのは私だけだろうか?。

 私は思わず笑ってしまった。こうして、見ていると明らかにクロフォードさんはアレン様に好意を持っていると分かってしまう。

 アレン様はどうだろう?少なくとも私よりもクロフォードさんに対する態度がフレンドリーだから、私よりもクロフォードさんに好意を持っていると思える。 

 でも、ならなんで?アレン様は、クロフォードさんの事を名前で呼ばないのかしら?・・・。

 『あ~なるほど、恥ずかしいのね。だから名前で呼ばないんだわ』、大人に見えても所詮は子供ってことね。

 もう少し二人のやり取りを見ていたかったけど、アレン様がかわいそうに見えてきたし私も会話に関わろうかな。

 

 「クロフォードさんアレン様は照れているのですよ」

 「照れて・・・いる?どういう事」


 私の言葉に興味をもってくれたクロフォードさんが私の元へ駆け寄って来た。

 

 「それは、アレン様がクロフォードさんに対して少なからず好意を持っているということです」

 「好意って・・・アレン様が私の事を好きって事?」

 「好きなんだと思いますよ。なのでアレン様は異性として意識しているクロフォードさんの事を、照れて名前で呼べないのですよ。きっと」

 「それは、ちがっ・・・」


 何かを言おうとしていたアレン様が目の前で盛大にこけた。

 『お~こんなアレン様を見れるとは今日は王宮に来て良かったかもしれない』、プッフ。

 私は噴き出すのを止められなかった。

 

 「アレン様、大丈夫ですか?」


 クロフォードさんが倒れたアレン様に駆け寄る。

 

 「いや、ちょっと躓いただけだから大丈夫だ」

 

 アレン様が大丈夫だと知ったクロフォードさんはホッとしているようだった。


 「クロフォードさん今のが証拠ですよ」

 「証拠?」

 「わかりませんか?今、アレン様は図星をつかれて動揺したんですよ。だから躓いたんですよ」

 「そうだったのですねアレン様。私・・・嬉しいです」


 クロフォードさんが両手で顔を隠した。

 手の隙間から何か光る物が見える。

 光る物が地面に落ちた。

 涙だ。

 それほどに嬉しかったのか涙を流すほどに。

 クロフォードさん強気な態度とは裏腹に心はかなりの乙女なのね。

 

 「クロフォードさん大丈夫ですか?」

 「だ、大丈夫よ」

 

 まだ、涙が出ているその顔を隠さずに私を睨んできた。

 するとクロフォードさんの目の前にハンカチを持つ手が現れた。

 ハンカチの持ち主はアレン様だった。


 「クロフォードこれで拭くといい」

 「ありがとうございますアレン様」


 ハンカチを受け取ったクロフォードさんは涙を拭き始めた。

 

 「アレン様、恥ずかしいのは分かりますがそろそろクロフォードさんの事を名前で呼んであげては?」

 「いや、それは・・・」

 「それは。では、ありませんよ。女の子を泣かしてるのですからそれくらいの事してあげてください。まさかそれくらいも出来ない最低な男性ではないでしょ、アレン様は?」

 「う、うん。そうだな」


 アレン様は強気で押されるのが苦手なようで、私の思う通りに事が運ぶ。

 

 「良かったですねクロフォードさん。さぁアレン様、名前で呼んであげてください」

 「えっ・・・あ、アメリア」

 

 涙を拭き終わっていたクロフォードさんの目に、また涙が溢れてきた。

 また、涙を拭き始めるクロフォードさん。

 罪な男ですねアレン様は。

 

 「は、初めてアレン様が私の事を名前で呼んでくれた」


 嗚咽混じりで話すクロフォードさんは、思わず抱きしめてくなるようなか弱さを秘めていた。

 私が、まだ男だったら抱きしめていただろう。

 だけど、アレン様はクロフォードさんの前でわなわなと戸惑っている。

 私はアレン様の耳元まで近づき、アレン様に耳うちする。「アレン様こういう時は優しく抱きしめてください」。

 すると、アレン様も私に耳うちしてきた。「そんの事しても大丈夫なのか?」。

 私は、力強く頷いた。

 アレン様は私を見た後、クロフォードさんに近づき優しく抱きしめた。

 『うわ~なんか目の前でラブコメを見てる』、私はウキウキする気持ちを抑えられずにいた。

 アレン様の腕の隙間から見えるクロフォードさんの顔が、トマトみたいに真っ赤に染まっていた。

 フフ、もう少し近くで見ていたかったけど私は邪魔者のようですね。

 私は気配を消して、アレン様の部屋から出た。




 「さて応接室で時間を潰しますか」



 

 

 

 

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