パーティーにて、
今日も暑い
「アレン様、本日は招待いただきありがとうございます」
「僕もソフィアが来てくれて嬉しいよ。パーティーを楽しんでくれ」
「はい、ありがとうございます」
挨拶を終えると、アレン様は他の方々と挨拶をしていた。
大人に囲まれて挨拶しているアレン様を見ていると、少し大人びて見えた。
「エイベル様、本日は娘様をお連れなのですね」
聞いた事がない声が聞こえた。
声のした方に顔を向けると、そこには知らない方が立っていた。
「お~これは、リアムス。久しいな、これは娘のソフィア・ドルトムンと言う」
「そうなのですね。エイベル様に似て賢そうだ」
父の知り合いなのだろう。私の紹介を軽くした後、リアムスさんと父は軽く談笑している。
このリアムスと言う方すごくガタイがいいわね。
なにかやっているのかしら?。
うん?リアムスさんの後ろに何か動くものが・・・。
私は動くものを確認するべく、リアムスさん後ろを覗きこんだ。
そこには、私と同年代だと思う子供がいた。
『なんか見た事あるような・・・』。
私の行動を見ていたのだろう、リアムスさんが後ろに隠れていた子供を私達の前に持ってきた。
「そうだ。紹介し忘れていました。これは私の息子のノルン・アボットです」
ノルン・アボット・・・私はこの名前に聞き覚えがあった。
ゲームの攻略キャラの一人だ。
確か、侯爵家のノルン・アボット、王国騎士団長の息子でお父さんと同じ騎士を目指しているキャラ。
曲がった事が嫌いな実直な人柄の持ち主で、ちょっと抜けたところもある憎めないキャラだったわね。
ゲームのキャラの中では一番好きなキャラだった。私、結構脳筋キャラ好きだから。
「私はソフィア・ドルトムン、初めましてノルン・アボットさん」
「初めまして、ソフィア・ドルトムン様」
アレン様以外の攻略キャラに初めて会ったわね。この人も私の破滅エンド関わるキャラだから要注意ね。
「ノルン君は何歳なんだいリアムス?」
「ノルンは今年で7歳になる。だから殿下と同年代になりますね」
「今年で7歳か。ならソフィアと同じじゃないか」
「おお~そうなのですね。ソフィアさんうちのノルンと仲良くしてください」
「はい、私でよければ喜んで」
「良かったな、ノルン。こんな可愛い子と仲良くなれて」
「はい、父上」
最初のコミュニケーションは上々だろう。この調子で攻略キャラ達とある程度仲良くなっていれば、私の未来は明るいわね。
その後、アボット親子としばらく談笑し。他の方々のとこらへ挨拶すると言い私達とわかれた。
下手すると、このパーティーに他の攻略キャラ達がいるかもしれないと思い私は周りを観察していた。
しかし、攻略キャラが子供であるせいか周りを見ていても全然わからない。
一人一人に挨拶しに行けばわかるかもしれないが、パッと見ただけで数百人はいると思える中で一人一人に挨拶するのは流石にキツイ。
今、出来るのは父の元へ挨拶に来る人達の中から攻略キャラ達を見つけるしかない。
しかし、今のところ父の元へ挨拶に来る人達は名前も知らない人達。つまり、ゲームにも登場しないモブキャラ達だけだ。
一体どのくらい挨拶しただろう。数えていたわけではないから正確な事は言えないが、少なくとも30人近くの人とは挨拶しただろう。
初めて知ったよ、挨拶だけでここまで疲れることを。
父が私の事を気遣って、少し休憩をとることにした。
飲み物を飲んでいると、会場に音楽が流れ始めた。
私は最初ただのBGMかと思っていたけど、これはダンスの始まりの合図だそうだ。
音楽が流れ始めたあたりから、私達の周りが騒がしくなった。
すると、目の前の人だかり左右に分かれ始めた。分かれた原因はすぐにわかった。
目の前からアレン様がゆっくりとこちらに向かってきている。
「ソフィア、僕と踊ってくれるかな?」
まさかの、ダンスのお誘いだった。
誘いを断るのは、失礼にあたるからお受けするしかないのだが・・・。
「私でよろしいのですか?」
私は何かの間違いを期待してアレン様に尋ねる。
「うん、ソフィアと踊りたいな」
やはり、間違えでは無かったようだ。覚悟を決めてお受けするしかないな。
「わかりました。喜んでお受けします」
私の手を取ったアレン様は、会場の中央に向け歩みを進めた。
『えっ?まさか中央で踊るの?』。
「アレン様、まさか中央で踊られるのですか?」
私は思わず聞いてしまった。
「当然じゃないか。端の方で踊ったら人の迷惑になるだろう」
「そうですよね・・・」
やはり、中央で踊るみたいだ。
ヤバい緊張してきた。間違って足とか踏んだらどうしよう。
それがきっかけで破滅フラグ立っちゃうかも・・・。
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