プロローグ
誤字脱字があるかもしれません。
やさしい目でお読みしていただくとありがたいです。
この国の王子である俺の婚約者発表の日。
国の貴族を集め盛大な婚約パーティーが開かれた。
パーティー会場は勿論、王宮にある部屋で行われた。普段は舞踏会などで使われる事が多く大抵の貴族であれば見慣れた部屋だろう。
しかし、一般的に考えれば部屋と言うには語弊があるかもしれない。俺にとっては当然だとしても他の者からしたら部屋ではないと言う声も聞く。
その原因は部屋の広さと豪華な造りによるものが大きい。
本来はこの部屋を鳳凰の間と言う事を俺は最近知った。
今夜のパーティーで注目を集めているのは二人いる、俺と俺の婚約者の二人だ。
やや俺の婚約者であるアイリ・ファーリミスの方が注目を集めているだろうか、だがそれは仕方のないこと今回俺が選んだヒロインなのだからな。
しかし、今夜のパーティーの主役は俺達では無い。
今夜の主役は、学園時代から俺のアイリを虐めていた公爵家の令嬢ソフィア・ドルトムン。
今回のパーティーは目的は婚約者の披露ではなく、このソフィア・ドルトムンの断罪イベントに他ならない。
俺はこの日の為にあらゆる準備をすすめてきた。
彼女が虐めの主犯である証拠や犯罪まがいの行いといった罪に問えるだけの材料を集めた。
今回集めた証拠の数から言えば、このゲームシステム最大の断罪イベントが発生するはずだ。
これで俺もこのゲームから解放される。
最初このゲームを手に取ったの理由は、パッケージが良かったからだ。
ゲームよく見ると好きなメーカーが出している事がわかり購入を決めたが、これが地獄の始まりだった。
ゲームをプレイしてすぐにわかった事があった。
それはこのゲームがギャルゲーではなく、乙女ゲーである事だ。ギャルゲーだと思って買った俺からしたらショックが大きかった。
見たくもないイケメンのキメ顔を見せられ、イベントCGはイケメンを中心とした構成に俺の心はすさんでいった。
ならやめればいいという意見もあるだろう。
だが俺にはそれが出来ない、出来ない理由があるからだ。
まぁ理由は簡単で積みゲーにしない為である。
積みゲーには、ちょっとした苦い思い出があった為、積みゲー対策の一環として買ったゲームをクリアするまで次のゲームを買わないと決めている。
その俺ルールの為、この乙女ゲーをクリアするまで次のギャルゲーが買えない縛りがある。
だがこのゲームをプレイしていく中で、俺の心なかで何回も葛藤が起きた。
これは乙女ゲーだから俺ルールに該当しないのではないかと何回も思った。
だがこれを許すと自分の中で、何かが壊れる気がして我慢してプレイする事に決めた。
プレイする事三ヶ月、ようやくこのゲームのクリアが見えてきた。
俺としてはクリアに三ヶ月はかなり遅い部類のかかりようである。
原因はこのゲームのストーリーのボリュームにある。
まず、主人公であるヒロインを選べるシステム。ヒロインは三人いて、それぞれ別々のストーリーがあるため最低でも主人公を変えて三周プレイする必要がある。
加えて攻略キャラは五人もおり、単純計算で十五周プレイすることになる。
まだそれだけならここまでのプレイ期間なる事は無かっただろう。
このゲーム最大の肝は三人のヒロインを完全クリアすると、クリアボーナスとして攻略キャラが五人が主人公としてプレイ可能になるという誰得なシステムが解放される。
これのせいで俺は三ヶ月間苦しむことになった。
そして今日このゲームの正真正銘の完全クリアの時が来た。
男の主人公の場合、全キャラ共通のイベントがある。
それが最後のイベント、ソフィア・ドルトムンの断罪イベントであり、俺がこのゲームで溜まったストレスを発散できる唯一の楽しみである。
断罪イベントには幾つかの種類があり、そのルート分岐の条件がソフィア・ドルトムンがおこなっていた悪事の証拠をいくつ集めるかでソフィアの罪の重みが変わってくる
0~3だと身分剥奪し平民にする・4~6だと身分剥奪し国外追放になる・7~9だと身分剥奪し一生、牢獄生活が待っている。
公爵令嬢であるソフィアはプライドが高く、傲慢で、性格が悪くプレイ中ソフィアが出てくるたびに俺はイライラしていた。
故にこの判決を下した時のソフィアの表情を見ると、ざまぁと思ってしまう。
「このゲーム最大の楽しみが最後のイベントとは中々おつだったな」
ようやくこのゲームとおさらばできると思うと目頭が熱くなるな。
「やべ、涙出てきた、ティッシュティッシュ」
涙を拭き視線をゲーム画面に戻すと、エンディングが終わっていた。
エンディングが終わった画面はホワイトアウトし中央に文字が浮かんできた。
「なんだ!?まさか、まだ続きがあるのか?」
表示された言葉はこうだった。
『ゲームクリアおめでとうございます!あなたはクリア特典に当選致しました。特典を受け取りますか? YES・NO 』
俺はなんの迷いも無くYESをクリックしていた。
もし過去に戻れるなら俺はNOをクリックしていただろう。
お読み下さってありがとうございます。