B級能力者相談所スピンオフ ③二日酔いの京子先生
もうすぐ相談所が開店して相談者が来る時間だというのに、我がB級能力者相談所では今日も朝から京子先生が頭を抱えている。
「あ~頭痛い……」
「大丈夫ですか、京子先生?」
「昨日はちょっと飲みすぎたかしら……。久しぶりに会ったとはいえ、日付が変わるまで飲むんじゃなかったわ……」
だ……誰と飲みに行ったんだろう……
助手の僕を差し置いて飲みに行くなんて……
お酒はそんなに強くないですけど、僕も誘ってくれたら良いのに……
「柳町君。そこのお茶菓子取ってくれない」
「は……はい」
僕は相談者用に出すお茶菓子を京子先生に渡した。京子先生は頭を抑えながら口一杯にお茶菓子を頬張っている。
僕は京子先生が食べた分を補充する為に、奥の棚にあるお茶菓子を取りに行った。
2~3種類抱えて帰ってくると、既に皿の上のお茶菓子は無くなっていた……
「き……京子先生、お酒は何を飲んだんですか?」
本当は誰と飲んでいたのか聞きたかったが、敢えてどうでも良いお酒の種類なんか聞いてみた。
「一気飲みを煽ってくるから、つい調子に乗っちゃったのよね」
「あまり強いお酒は一気飲みしない方が良いですよ」
「大丈夫、カステラだから」
「カステラの一気飲み~!! 今も最中とビスケット食べてるし~!! 口の中、パッサパサになりますよ!!」
「大丈夫。既に喉に詰まってるから」
「ダメじゃん!! すぐお茶入れますね!!」
「うん、お願い。熱いやつね」
「すぐ飲めないでしょ!!」
「次の方どうぞ」
「だから今呼んじゃダメ~!! 自分をいじめ過ぎです京子先生!!」
相談者はまだ来ていなかったようだったので何とか大丈夫だった……
僕は冷蔵庫に入っていたお茶を京子先生に出し、朝準備の続きをしていた。
何で京子先生はいつもこんなに破天荒なんだ……
まぁそれが良い所でもあるんだけど、もう少し落ち着いて欲しいんだよなぁ……
「何よ柳町君。私の顔に何かついてる?」
はい。綺麗なパーツが。……じゃなくて
「口の周りが粉だらけです」
どうやったらあんなに汚く食べれるんだ……
わざと口の周りに擦りつけているとしか思えない……
せっかくの美人が台無し…………でもない所が京子先生の凄い所……
何をやってもこの人は美し過ぎて絵になってしまう……時にピカソのようにもなってしまうが……
「私、少しだけ奥で寝てるから、相談者が来たら呼んでちょうだい」
「わかりました」
「私が寝ている間にエロい事しちゃダメよ」
「わかってます!」
何でバレたんだろう……
「見るのは良いけど、撮るのと触るのはダメだからね」
「……はい」
何の話だ……?
何か信用されているのか、されていないのか良く分からん……
京子先生はゾンビのように歩きながら、フラフラと奥の部屋に入って行こうとした。そしてドアを開けたまま振り向き、思い出したように喋り出した。
「ちなみに昨日一緒に飲んでいたの、はっつぁんだから」
「は……はっつぁん!?」
「うん。公園に住み着いていた野良犬」
「野良犬〜!!??」
「久しぶりとはいえ、男と2人っきり飲みに行く趣味はないから安心しなさい」
何に安心しろというんだろう……?
野良犬と飲みに行く……いやカステラを食べに行く人に安心して良いのかも疑問だけど、とりあえず恋のライバルではなかった事は良しとするか……
ホッとした僕だったが、こうしていつも京子先生に弄ばれてしまう……
まぁ、嫌ではないのだが……
……というか、京子先生は僕の気持ちに気付いているのだろうか……?
いろいろと分からない事が多過ぎるけど、今日の所は安心させてくれてありがとうございます……
僕は相談所の外に、そっと『午前中お休み』の札を出した。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
あきらさんです!
かなり投稿のペースが落ちていますが、頑張ります!
これからも宜しくお願いします!!