Data.6 クロスボウ使いの村娘
では、いきなりメインディッシュをチェックするとしよう。
◆武器詳細
―――基本―――
名前:ロットゥンクロスボウ
種類:クロスボウ
レア:☆10
所有:マココ・ストレンジ
攻撃:22
耐久:8
―――技能―――
【腐矢】Lv2
※残りスキルスロット:1
―――解説―――
装備を腐食させる魔法の矢を放つクロスボウ。
本体が腐っている訳ではないが、なぜか脆い
ふむふむ、☆は10か。
低レベルダンジョンの序盤に出て来る敵が落とすなら十分ね。
攻撃力はかなり高し、しかしその分耐久とスキルスロットが犠牲になってる感じか。
スキルもチェックと……。
◆スキル詳細
【腐矢】
装備者の魔力を消費して腐食した矢を生成する。
レベルが上がるほど、威力や対象を腐食させる確率がアップする。
また、生成に消費する魔力がダウンする。
リキャストタイム:0秒
このスキルは強い。
弓とか銃もそうだけど、矢や弾の補給を気にする必要があると、それだけ他の武器より手間とお金がかかる。
魔力を消費して生成できれば実質タダだし、戦闘中に矢をつがえたり、弾を込める動作も減らせる。
リキャストも無いし、良い事尽くしだ。
「運が良かったね。これあげるわ」
良い武器ではあるが、私が使うことはない。
あまりにもレアリティの高い武器は売ったりするかもしてないけど、☆10ぐらいならまた手に入るでしょう。初期武器として☆15が出たんだし。
「い、いいんですか!? すごい武器ですよ!?」
「私はブーメラン専門だからね」
アチルは一瞬きょとんとした表情を見せたが、すぐに喜んで『ロットゥンクロスボウ』を受け取り、装備した。
「あ、そうだ。あなたのステータスを確認しても良いかしら?」
一緒に冒険する以上、確認しとかないとね。
「どうぞどうぞ。大したものじゃないですけど……オープン」
◆ステータス詳細
―――基本―――
ネーム:アチル
レベル:2
レイス:人間
ジョブ:村人
―――装備―――
●武器
ロットゥンクロスボウ:☆10
●防具
村人のシャツ:☆1
村人のスカート:☆1
村人の靴:☆1
―――技能―――
【弓術】Lv2
村人って職業なんだ。
まあ他のゲームにもあるけど。
大体成長がすごくて後々最強になるのよねー。
【弓術】は私の【ブーメラン術】と同じ武器の扱いに関するスキルね。
Lv2という事は結構自力で頑張っていたようだ。
クロスボウを【弓術】で扱えるのかが気になる所だけど。
装備は酷いものだ。
ただでさえ性能の低い防具が、『腐食』を受けてさらに性能が低下している。
『腐食』をここで直すのは無理そうだ。
穴だらけになってるから、継ぎ布と【裁縫】スキルとかで何とかするのかもね。
「このローブと靴もあげる」
「そ、そんなには……」
「あなたには生きた状態で帰ってもらわないといけないから。遠慮はしないで」
私は『朽ちきったローブ』と『古革の靴』もアチルにあげた。
こういうのは大事に仕舞ってても後々余ってくるタイプだ。
ちなみに二つの性能は……。
◆防具詳細
―――基本―――
名前:朽ちきったローブ
種類:ローブ
レア:☆4
所有:アチル
防御:4
耐久:2
―――技能―――
【腐食耐性】Lv3
※残りスキルスロット:1
―――解説―――
ボロボロだが穴も無く、その形を保ち続けるローブ。
これ以上朽ちようがないため腐食に強い。
しかし純粋に脆く、身を守る物としては適していない。
なかなかピーキーな性能をしているけど、このダンジョンを攻略するのには向いている防具だろう。
ただ、数発攻撃を受けたら使い物にならなくなると思うので、何枚か予備をストックしておくのもアリね。
臭いはそんなに臭くない。
◆防具詳細
―――基本―――
名前:古革のブーツ
種類:ブーツ
レア:☆3
所有:アチル
防御:10
耐久:10
―――技能―――
なし
※残りスキルスロット:1
―――解説―――
使い込まれたブーツ。
革も柔軟で歩きやすく、まだまだ頑丈。
こっちは普通に初期装備よりは良い防具って感じね。
私の『質素なクツ』より性能が良いけど、いろいろな事を考慮してアチルに渡した。
これで彼女のステータスは……。
◆ステータス詳細
―――基本―――
ネーム:アチル
レベル:2
レイス:人間
ジョブ:村人
―――装備―――
●武器
ロットゥンクロスボウ:☆10
●防具
朽ちきったローブ:☆4
村人のシャツ:☆1
村人のスカート:☆1
古革のブーツ:☆3
―――技能―――
【弓術】Lv2
一気に星が増えて豪華な装備になった。
まあしかし、アチルの性格的に安心できないから、私が前衛として戦う事にしよう。
あっ、そうそう私もレベル上がってたんだ。確認しとかないと……。
◆ステータス詳細
―――基本―――
ネーム:マココ・ストレンジ
レベル:9
レイス:人間
ジョブ:狩人
―――装備―――
●武器
木のブーメラン:☆1
目覚めのブーメラン:☆15+1
●防具
質素なシャツ:☆1
質素なズボン:☆1
白革のグローブ:☆7
質素な靴:☆1
―――技能―――
●任意
【塵旋風】Lv2
【ブーメ乱舞】Lv1
●常時
【ブーメラン術】Lv5
【解体】Lv4
こう見ると私強いね。
なおさらアチルを守ってあげないとね。
「じゃあ、私が前に出るからアチルは後ろから援護ね」
「無理しないでくださいね」
「ブーメランは遠近両用だから大丈夫」
こうしてこのゲーム初のパーティでの冒険が始まった。
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◆現在地
死して蠢く者の洞窟:地下3F
「あっ! レベルアップと今度はスキル発現です!」
正面から突っ込んできた<スケルトンドッグ:Lv3>二体と<スケルトンソルジャー:Lv7>一体を切り倒したところで、アチルがそう言った。
彼女はなかなかセンスが良いというか、恐れを知らない。
突然出てきたモンスターに驚いて怯むということがない。
これならドラゴンゾンビ討伐の戦力になりそうだ。
「ステータス見てください!」
◆ステータス詳細
―――基本―――
ネーム:アチル
レベル:4
レイス:人間
ジョブ:村人
―――装備―――
●武器
ロットゥンクロスボウ:☆10
●防具
朽ちきったローブ:☆4
村人のシャツ:☆1
村人のスカート:☆1
古革のブーツ:☆3
―――技能―――
【弓術】Lv2
【クロスボウ術】Lv1
やっぱり弓とクロスボウはスキル的にも別扱いよね。
でも彼女にはクロスボウの適性もあったようで運が良かった。
「この調子でどんどん行きましょう!」
アチルは私の数歩後ろに付き、背後を時折確認しながらついてくる。
じゃじゃ馬っぷりもいいけど、従順なところもかわいいものね。
「あっ、魔法円発見です! 次は4F、意外と楽勝ですね」
「油断は禁物よ。落ち着いていきましょう」
「はい、マココさん!」
二人で魔法円に乗り、4Fへ移動する。
相変わらず風景は変わり映えしない。
これが10F越えて来ると、壁の色が変わったりするのかな。
そんなことを考えながら前に突き進む。
「キシィィィ……!」
「キィキィ!」
「キィキィ!」
む、頭上からモンスターの鳴き声。
視線を向けるとそこには<ポイズンバット>二体と<ポイズンスパイダー>が一体、こちらを狙っている。
このダンジョンは洞窟とはいえ、ただの洞窟ではない。
意外に天井が高く、広いため複数でも戦いやすくなっている。
「あ、あんなところにモンスターが! 撃ち落としましょう!」
アチルがクロスボウを天井に向け、腐矢を放つ。
「塵旋風!」
私も惜しみなくスキルを使い、頭上の敵を攻撃する。
「ギ……ギィ……」
「ギギッ!」
ポイズンバットはいとも簡単に倒せたけど、蜘蛛の方が微妙に厄介。
糸で自分の体を守っている。どうしたものか。
「私があの糸を腐らせちゃいますよ! えいっえいっ!」
アチルが腐矢を連射する。
純粋な威力が低い分、生成に消費する魔力も少ないようだ。
それともアチルの魔力が多いのか……。
腐矢をいくつも射られたポイズンスパイダーの糸は腐り、本体もたまらず落ちてきた。
私はそれが地面に着く前にブーメランを投げ、空中で一刀両断した。
「おっ、銀の宝箱が出たわ!」
金よりワンランク下がるけど、それでも嬉しいレアドロップ。
……アチルが喰いついてこない?
「どうしたの? どこか怪我した?」
「わ、私ジョブチェンジしたみたいです! それも勝手に!」
えー、どういう事!?
私より先にジョブチェンジとは……。
ブクマ評価本当にありがとうございます。
未熟ながら期待に応えられるよう頑張ります!
感想も誤字指摘から気軽にして頂けると幸いです。
(MMORPGはドラ○エXをVer2まで1、2年ほどやってました)