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Data.18 リベンジ!アンデッドケイブ<STEP3>

 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下11F


 この階層に来てから数十分くらい経った。

 なかなか12Fへの移動魔法円(ワープサークル)が見つからない。

 中ボスを越えたからダンジョンが広くなったのか、ゆっくり動いてるから全然進んでないだけなのか。

 どちらにしろ、いろいろ難易度は上がっているみたいね。


 モンスターも<ゾンビウルフ:Lv10>みたいに、上の階層のモンスターの上位互換っぽいのが増えている。

 肉体が腐ってるくせに動き速いし、アゴの力強いし、鼻も機能しているようだ。

 もう会いたくない……。


「アチル、何か見えるかしら」


「うーん……あっ! あそこに魔法円があります!」


 アチルの指差す先には、うっすらと緑色の光が揺らめいている。

 私にはまだハッキリ見えないけど、確か先へ進む魔法円は緑色の線で描かれていた。

 魔法円は暗がりでよりハッキリ光るようね。


「焦らず向かいましょう」


 ダンジョンRPGとかでも、迷いに迷ってやっと先へ進む階段を見つけた時は大胆に移動したくなる。

 でも、そういう時ほど罠にかかったり、強敵の接近に気付けなかったりするのだ。

 さぁ焦らず早く先に進もう。


 ぐちゃ……


 クツ越しに何か柔らかい物を感じる。

 足元にいたナニかを踏んでしまったみたい……。


「マココさん!」


 アチルが素早くソレに気づき、私の足元に弾丸豆を連射する。

 それと同時に、私もソレもお互いに飛び退いた。

 素早い攻撃のおかげでクツは無事だった。

 それで、ソレの正体というのは<ゾンビスライム:Lv5>だ。


 スライムと言えばRPG最序盤の敵として定着し、バリエーションも豊かでマスコットとして扱われる事もあるほど人気のモンスター。

 そんなスライム系で初めて出会ったのがゾンビとはね……。

 見た目はコミカルで大してグロテスクじゃないけど、それでも「うーん」な気分。


 さっさと倒して先に進もう。

 レベルはこの階層でも最低レベルだし。


「やっ!」


 私は『目覚めのブーメラン』をシュッと投げた。

 ブーメランを投げる動作も、スキルの上昇と同時に無駄がなくなっている。

 弧を描くブーメランは正確にゾンビスライムにヒットした。


「……うわっ!」


 ゾンビスライムは、その粘つく体でブーメランを絡め取ってしまった。

 ダメージが無いわけではない。実際ゾンビスライムの周りには、光の粒子が飛び散っている。

 傷を負う負わない関係なく、獲物を粘性の体で絡め取り、腐食させるいやらしいモンスターの様ね。


「アチル、お願い」


「はいはい!」


 私のお願いでアチルは敵への射撃を開始する。

 ゾンビスライムは何発か弾丸豆をその体で受け止めるも、そのうち蓄積するダメ―ジに耐えきれなくなり、消滅した。


 同時に『目覚めのブーメラン』が解放され、地面に落ちる。

 追加してもらった【腐食耐性】のおかげで特に異状はないけど、純粋に使い過ぎで傷が目立つようになってきた。

 結構愛着のある武器だし、スキルも良いから上手く長持ちさせたいんだけどねぇ……。


「マココさん、大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫。ありがとうね、助けてくれて」


「いえいえ当然のことですから」


 私たちは再び慎重に進み、移動魔法円(ワープサークル)で先に進んだ。




 > > > > > >




 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下15F


「くっ! 狙いがうまく定まらない!」


「これだけすばしっこいとブーメランもうまく使わないと……っ!」


 先に進むにつれ、モンスターは強くなる。

 今相手にしているのは<スケルトンナイト:Lv16>が三体。

 人のガイコツが馬のガイコツに乗り、颯爽と広い空間を駆けているのだ。


 しかも、ボロボロとはいえちゃんと装備をしている。

 錆びた鎧に刃こぼれした剣や槍。

 これだけならまだいいけど、こいつらからは武器や乗馬の技術を感じる。

 

 ただあったものを振り回す。

 視界に入った敵を襲う。

 そうではなくモンスターなりの戦法を考え使っているようだ。

 こういうのは厄介すぎる!


「マココさん! 上手く移動する先に狙いを定めて、馬の足を止めるしかありません!」


 『偏差撃ち』というシューティングゲームでもよく使われる技ね。

 アチルは本能的にそれを察してもう実行している。

 高速で駆けるスケルトンホースの脚関節に弾丸豆を撃ちこみ、それを破壊。

 同時に振り落とされる上のガイコツに素早く接近し、弾丸を喉の骨に撃ちこみ、頭と体を分断した。


「全身も脆そうに見えますけど、関節は特に脆そうですよ!」


 アチルが私にアドバイスをくれる。

 でも、少し横着な倒し方しちゃおう。

 私は『超電磁ブーメラン』を構え、それを敵に向かって投げた。


「雷の円陣!」


 スキルを発動させると、ブーメランの周りに雷の円が発生した。

 これにより拡大した攻撃範囲を利用して、まず狙っていた一体目に当てる。


 バチバチバチィ……ッ!


 雷に触れたスケルトンナイトは麻痺し、その動きを止めた。

 それを確認した後、【電磁制御】を発動してブーメランの軌道を変化させ、離れた位置にいたもう一体のスケルトンナイトにも雷をヒットさせた。


 これで無力化は完了した。

 でも、流石は高レベルね。

 今までのゾンビやスケルトンは雷に触れた時点で消滅していたけど、こいつらは骨が少し焦げただけだ。

 しばらくしたら麻痺も解け、また動き出すだろう。

 なので油断せず骨を砕き、バラバラにして倒した。


「ふー……三体だから何とかなりましたけど、これが今までのゾンビみたいに何十体も来たらと思うとゾッとしますね……」


「まったくよ。武器の扱い方も様になってったし、動きも速い。私たちのスキルが有効だから良かったわ。リキャストタイムの管理はしっかりしておきましょう」


 雷の守護者の言う通り、雷は不死者(アンデッド)に対してそれはもう有効だ。

 動きを止める、身を焼く、敵が密集している時は勝手に電気が伝ってダメージ範囲が広がっていく。

 炎も悪くないと思うけど、洞窟の中で大炎上はなんか本能的に怖いので、やっぱり雷が合ってると思う。


「マココさん、あっちに魔法円を見つけました!」


「うん、じゃあ行きますか」


 ドロップ品は特になかったので素早くその場を離れる。

 にしても、何階層ぐらいあるのだろうか。

 30Fとか40Fは勘弁願いたい。20Fがまあ妥当かな……。


 あとモンスターの最大レベルは30だったわね。

 『守護者の眠る廃神殿』のゴールデンゴーレムの様なレアモンスターがいない限り、このレベルがボスのレベルと考えていい。

 今のは私のレベルは……。


 ◆ステータス詳細

 ―――基本―――

 ネーム:マココ・ストレンジ

 レベル:21(↑2up)

 レイス:人間

 ジョブ:戦狩人(バトルハンター)

 ▽――装備――▽

 ―――技能(スキル)―――

 ●任意

 【塵旋風(ジンセンプウ)】Lv5(↑1up)

 【ブーメ乱舞(ランブ)】Lv4

 【猛牛(ブル)ブーメラン】Lv2

 【回帰する生命ブーメラン・オブ・ライフ】Lv1

 ●常時

 【ブーメラン術】Lv11

 【解体】Lv8

 【回復魔術】Lv1

 【腕力強化】Lv6(↑1up)


 ふむ、21か……。

 アチルももうすぐ20台に乗るとはいえ、合計レベル40ちょっとでボスに挑むことになりそうね。

 ボス一体だけならおそらく何とかなる。

 ただ、そこそこのレベルのお供とかいると厳しいかも……。

 実際、数でゴリ押す戦法を得意としているダンジョンだし、その可能性も十分ある。

 最低限の敵と戦って、レベルをもう少し上げておきたいところだ。


 それにしても新しいステータス表示設定は便利ね。

 『基本』『装備』『技能(スキル)』の部分をタッチすると、そこを折り畳んで表示できるのだ。

 装備も多くなってきたから、成長だけ見たい時とかコンパクトに表示できていいわね。


 あと前に表示した時から、どれだけレベルが上昇したかも一目でわかるようになった。

 今までは上昇部分に色はついていたけど、「前からどれだけ上がったか」については、前の数値を覚えてないとわからなかったからね。


 しかし、いつの間に追加されたのかしら。

 私が熱中し過ぎて更新情報を見落としてた?

 まさか、初めからこの設定あった?


「マココさん! ワープしていいですか?」


「あっ、いいよ」


 移動魔法円(ワープサークル)周辺が安全だからといって、気を抜いていた。

 よーし、集中集中!

 私は頬を軽く叩いてから次の階層へワープした。

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