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Data.16 リベンジ!アンデッドケイブ<STEP1>

 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下1F

 不死者や邪悪なる者が住みつく迷宮。

 最大モンスターレベル30。


「また一緒にここに来れましたね……」


「前は5Fまでだったわね。今回は最後まで行くとしましょう」


「何かいいアイテムも見つかるといいですね!」


 アチルは上機嫌だ。

 その装備は以前とほとんど同じだが、一つだけ追加されたものがある。


 ◆防具詳細

 ―――基本―――

 名前:白銀の装甲片

 種類:盾

 レア:☆15

 所有:アチル

 防御:32

 耐久:32

 ―――技能(スキル)―――

 なし

 ※残りスキルスロット:2

 ―――解説―――

 銀で出来た装甲を持つモンスターなどが落とす破片。

 本来は素材になるが、形状によっては盾として使える。


 シルバーゴーレムが落としていた宝箱に入っていたものだ。

 特別なスキルはないけど、純粋に防御性能が良い。

 独自路線を突き進むアチルの装備の中では素直な方ね。


 ちなみに今、アチルは二つの盾をそれぞれ左右の二の腕に付けている。

 このダンジョンで、デッドリーポイズンゾンビにやられて倒れていた少女はもういない。

 白黒二つの盾に年季の入った(ように見える)ローブや靴。

 そして右手の渋いガントレットに、合体したクロウスボウから、植物のツタが生えているという、もはや独自の世界観を生みだすほどに成長した女戦士だ。


 あと、雷の守護者さんは村でお留守番。

 村の柵作りに時間がかかっているというのもあるけど、本来の理由は違う。

 本来の理由は魔石の無駄遣いを抑えるのと、もし電磁包囲網(エレクトロシージ)が破られた時、急いで村に戻るという事が困難なためだ。

 私たちもレベル30が村にいてくれれば安心してダンジョン攻略できるし、別に不満はない。


「では、行くとしますか。5Fまではサクッと突破したいところね」


「はい! 頑張りましょう!」


 私とアチルは、こうして二度目の『死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ)』攻略に乗り出した。




 > > > > > >




 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下5F


「ハッ!」


「そこねっ!」


 ゾンビの群れをサクサクと打ち倒し、私たちは以前探索を中断した5Fまであっさり辿り着いた。

 まあ、ここで苦戦してたら攻略は絶望的だけどね。


 しかし、ダンジョンの構造は一定期間探索者がいないと変わるらしい。

 前来た時と魔法円の位置も全然違った。


「あっ、あそこに魔法円がありますよ! 今回はあの大きな盾のゾンビはいませんね。良かったぁ……」


「あれは変異種だから、そうそう同じのはでないわ」


「でも、でっかい盾を持ったゴブリンにも会いましたしー」


「今度出たら私の新スキルで正面からぶっ倒すから大丈夫。でも油断せずに進みましょう」


 死ねば蘇生スキルを使えて、スキルのレベル上げになるかもしれない。

 でも、それは私の美学に反する……なんて大層なモノじゃないけど、嫌だね。

 安全な攻略をモットーに進んでいこう。

 私は魔法円で移動しつつ思った。


 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下6F


 6F……未知の領域ね。

 壁の色も微妙に上の階層と変わっている。

 モンスターもそれなりのものが出てきそう。

 私はアチルとアイコンタクトをとり、辺りを警戒しながら前に進みだした。




 > > > > > >




 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下9F


「うりゃぁ!!」


「こっちくんなぁーーーー!!」


 6F以降のダンジョンは強いモンスターが出てくる。

 そう思っていたのだけど、アテが外れた。

 大量の雑魚ゾンビが、のろのろ群がってくるタイプだった!

 まあ、アンデッド系ダンジョンらしいっちゃらしい仕掛だから、感心してるとこだけどね。


 以前、ブーメランの雑魚狩り能力を軽視するような場面があったけど、やっぱブーメランの一つの強みだわ。

 私のスキル【塵旋風(ジンセンプウ)】や『超電磁ブーメラン』のスキル【(いかずち)円陣(えんじん)】で雑魚を薙ぎ払うのは快感!

 アチルも最近覚えたらしい【高速連続射撃(ガトリングショット)】で応戦している。

 こう見ると完全にゾンビホラーゲームか映画ね。

 まあ、それだとブーメランを使ってる奴の異物感ハンパないだろうけど……。


 そうそう雑魚狩りで気付いたことが一つある。

 あんまりレベルが上がらないのだ。

 敵のレベルが低いということもあるんだろうけど、このゲームでは他のMMORPGでよくある『死んだ魚の目で同じことを繰り返すレべリング』が通用しないみたい。


 低レベル相手でも、真剣に全身全霊で相手をすればレベルが上がるのかは……試す気が湧かない!

 私にはこの群がるゾンビを一人一人丁重におもてなしする自信はない。

 とにかく倒して倒して倒しまくる!


 そんなこんなが数分間、なんとか沢山の敵を全滅させることができた。

 結構精神的にも疲れるわ……。

 前も言ったけど、見てて気持ちいい姿じゃないからね、ゾンビ。


「はぁー、はぁー……ふぅ。やっと終わりましたね。私、少しレベルとスキルが上がったみたいです」


 私よりレベルが低く、ゾンビを相手にするのに割と全力だったアチルのレベルは少し上がったようだ。

 私も全力で……といっても、二人パーティで二人ともがむしゃらだと周りが見えなくなりそうだし、考えものねぇ。


「次はいよいよ10Fですね。きっと番人とかいますよ……デカい奴はいやだなぁ」


「私が前に出るからサポートお願いね。あっ、魔石拾わないと……」


 大漁のゾンビたちの中には魔石を落とした奴もいた。

 薄暗い洞窟の中、私たちはそれを探して袋に入れてから次へ進んだ。

 これも結構大事だからね。


 ◆現在地

 死して蠢く者の洞窟(アンデッドケイブ):地下10F


 そこは今までと違い、広い円形の大部屋だった。いわゆるボス部屋という奴ね。

 中央には包帯に巻かれた巨大な人影がある。あからさまにボスだ。

 でも最終階層ではない様なので、こいつは中ボスか。


 <アイアンマミー:Lv20>。

 マミーというのはミイラのこと。

 まかれている包帯はその名の通り鉄製(アイアン)のようだけど、何故かほどけた先端部分がうねうね動いている。

 これが武器と見て間違いなさそう。


「うわぁ……意外と硬そうですね……」


「大丈夫。これくらいならおそらく一撃よ」


 私は不安そうなアチルの前に出る。

 マミーもそれに素早く反応し、体の鉄包帯の先端で私を刺し貫こうとしてきた。


「マココさん!」


猛牛(ブル)ブーメラン!」


 叫びと共に、私は『超電磁ブーメラン』を投擲(とうてき)した。

 ブーメランが牛のエフェクトを纏い、鉄包帯を粉々にしながらアイアンマミーに突撃する。

 そして、金属を切断加工する時のような嫌な音が数秒間響いた後、アイアンマミーは崩壊し、魔石と宝箱になっていた。

 私はそれを確認する前に【磁力制御】で『超電磁ブーメラン』をしっかり受け止めた。


 ――レベルアップ!

 ――スキルレベルアップ!


 今回は流石にレベルも上がったわ。

 それにしても【磁力制御】で反発の力を加えた【猛牛(ブル)ブーメラン】の威力は凄まじい。


「マココさんすごい! 話には聞いてましたけど、これほどまでとは!」


「だから大丈夫って言ったでしょ?」


 リキャストも長いし、体にも疲労が溜まるけど、やっぱり頼れる。

 これの使いどころがこれからの戦いを左右しそうね。


「ここは雑魚も湧かない様だし、ちょっと休憩していきましょう」


「そうですね。ステータスも確認したいですし」


 私たちはその場に座り込み、薬草を食べながらステータスを開いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ネタ 「ブースター」 発動すると一定範囲内にブースター端末を4つ展開する レベルアップ毎に魔力消費量が低下し、ブースター端末の出力が増加する
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