基地に戻ろう!
亜沙の寝起きは最悪であった。
最近同じ夢ばかり見るのであまり眠りが深くないのである。
なんか悪いことが起きたりしてね。
思わずそう考えた亜沙は嫌な考えを振り払うように頭をふり伸びを1つして起き上がった。
「おはよー。」
台所で歯を磨きながら同居人に挨拶する。一緒に朝ごはんを作って食べながらおしゃべりをする。そうして亜沙はいつも通りの日常に埋没していった。
その夜、亜沙はまた夢の続きを見た。
私たちは敵が追ってきていないのを確認して一息ついた。隣にいる女の子からもっと情報をもらいたいと思って、そういえばこの子の名前も聞いていなかったなと思い出した。
「君の名前は?」
「名前?」
いや、そこ疑問符じゃないだろう。もしかして記憶喪失かと思ったがそんなことはないだろう。
「私は攫われてからずっとお前としか呼ばれていなかったの。別の組織に行かされるときにはボスが気まぐれで名前をつけたけど毎回違ったから多分あれは名前じゃないと思う。」
多分それは名前じゃない。私が知っている名前の定義と全く違うものだ。
「家族には何て呼ばれてたの?」
「覚えてないんだ。なんでだろうね。でも名前ってこの人のことをさしてるって分かればいいんでしょ。だから好きな名前で呼んでるいいよ。」
自分の名前に執着がなさ過ぎる彼女に対して私は唖然としてしまった。そして同時にこの少女にそんなことを言わせる原因を作った組織に対して怒りが湧いてきた。まずはこの子の意識をなんとかしなくてはいけない。
「あのね、名前っていうのはつけた人の祈りが込められたものなの。だから君のいうボスがつけた名前はともかく君が家族に呼ばれてた名前は家族が願いを込めてつけたものだと思うよ。」
私はそこで一回言葉を切った。
「もし君が本当に覚えてないなら君のお母さんには悪いけど私が名前つけさせてもらってもいいかな?」
「いいよ。」
女の子の許可が出たので考えてみる。
「じゃあ、優香なんてどうだい。君には人に優しくなって欲しい将来綺麗になりそうだから。」
優香が不思議そうに見上げて言った。
「私優しくないよ。優しい人って親切ってことでしょ。」
「優しいっていうのは確かに親切なことでもあるけど1人でこの地球の全員を救うなんてできっとないでしょ。できるのはスーパーマンとかそんな人たちだからそういう人に任せて私たち凡人は仲間のために頑張るればいいんだよ。」
説教くさくなっちゃったなと恥ずかしく思った。
あとは追手が来ることもなく他愛のない話をしなから基地まで帰った。
とりあえずミッション1つ終わりです。優香すごいんです。実は。