表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦争夢  作者: 魁斗
4/10

訓練が終わったら実施任務に行こう!

その明くる日も訓練が続けられた。毎日毎日、同じような訓練が繰り返えされた。ほぼ一か月が経過した頃、私たちには特別任務が課された。

そのミッションは中国とベトナムの境にあるレストランに行くことだった。いや、正確には違う。行くだけではない。詳しい任務の内容は現地で知らされるとのことだった。

次の日、私たちは無骨な軍用車に乗り国境付近へと向かった。ベトナムの眺めは日本がとうに無くした豊かな自然がありおもしろいが、この手の軍用車は乗り心地が最悪だ。目的地までは約2時間かかりその間にお尻が痛くなった。

問題の店の1km手前で軍用車を止め、軍曹が今回の任務について説明を始めた。

「全員、拳銃を持て。兼田、桐原が援護を行い、服部、伊坂、更科が店の中に入る。兼田、桐原はショットガンの使用を許可する。この店はベトナムから中国に物資を送っている可能性が高い。もし中国に物資を送っていた場合には破壊、殲滅。送っていなかった場合には物資を日本軍に渡すことが可能かどうか交渉してこい。」

任務内容を告げると篠留軍曹は乗ってきた軍用車で去っていった。帰りはどうするんだよ、とツッコミたかったがそんな暇もないあっさりした帰りに方だった。基地までは自力で帰ることになりそうだ。ここから基地までの距離なら2日あれば着きそうだしね。

作戦を話し合った結果、花音、さつきが店の周囲に隠れ、私が直接店に行くことになった。

拳銃を脇のホルダーに入れる。今回はあくまで相手に日本軍だと知られずに調査をしなければならないので軍事服ではなく、中国人が着ているような服を着ている。


この店なんか変だ。入った瞬間、何がどうと説明できなかったがそう感じた。そのまま出ようとしたが、ウェイターに止められた。

「お客様、少々お待ちください。」

妙に力が強いその男に抵抗できず、とりあえず買い物をする振りをする。会計中に違和感の正体に気づいた。全員が麻薬中毒のような目をしているのだ。実際、ぱっと見た感じでは分からないように細工されているが商品の中に麻薬も混ざっていた上に奥では堂々と麻薬を打っていた。気味が悪くなりその店を出ようとしたときある男にぶつかってしまった。掠めただけな筈なのにその男は胸ポケットから拳銃を取り出して打ち始めた。

「っ!」

驚きで悲鳴も出ない私に対してその男は発砲した。恐怖で何も考えられないのに何故か体が勝手に動いて弾を避けた。男に駆け寄り拳銃を持ち、無理矢理男の方に向けようとする。男は自分の方に銃口が向けられているのにもかかわらず引き金を引き続ける。徐々に男に向けられていく銃口。非常事態なはずなのに頭は冷静で訓練の結果が出たんだなと考えている。

銃口が男の胸に当たった。

引き金は弾き続けられている。

どさっ。

血飛沫が舞って男が倒れていく。

そのとき私はやっとこの男も麻薬中毒なのだと理解した。そしてヤクザ紛いの組織の一員だったことも。

「あいつだ!殺せ!」

こういった組織は仲間が殺されると必ず敵討ちなるものをしようとする。例え言い掛かりであったとしてもだ。

7,8人が一斉に発砲した。通行人はとうの昔に避難している。そんな中で女の子が1人歩いている。

女の子に頓着せず、男たちが発砲する。

「危ない!」

その女の子の手を引き逃げ出した。

「咲、風香!」

追いかけてくる男たちは咲と風香がショットガンでなぎ倒していってくれる。花音とさつきの姿は見えない。大方銃撃戦になり予想外に早く撤退する羽目になりそうなので帰りの足を探しに行ったのだろう。咲と風香が援護してくれているが、いかんせん女の子を連れているので早く走れない。このままでは追いつかれて全滅してしまう。この子を見捨てれば逃げられるのだろうがこの子の顔に見覚えがある気がして置いていけない。

何か打開策は無いか走りながら周囲を見渡す。

あった。

私は一緒に走っている女の子の手を引き、近くの建物の中に飛び込んだ。そのまま屋上まで駆け上がる。

「屋上だっ!登れ!」

中国語で男たちが叫んでいる。

「ねえ、あなた跳べる?」

一カ月の特訓で身に付けた中国語で女の子に聞く。てか、この子何人なんだろう?通じなかったらやだな。

「どこに?」

何人かは分からないけど中国語は通じるらしい。よかった。

「1つ向こうの屋根の上だよ。」

女の子が絶句している。そうだよね。私も怖いけど跳んだ方が速いのだから仕方がない。

「大丈夫。一緒に跳ぶから。」

「跳ぶ。」

この子偉い。7歳くらいなのにちゃんとこの状況を理解してる。

「行くよ。」

私たちは助走をつけて次の屋根に移った。そのとき屋上の扉が開き男たちが出てきた。なんか叫んでるけど気にしない。

「あそこまで行くよ!」

落ち合う約束をしている場所まで行けば誰かが車を持って待機しているはずだ。仲間を信じて走る。走る。

何個目かの屋根に跳び移ったとき意識が遠のいていくのを感じた。ここで意識を手放したら死んでしまうと思いながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ