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07 幼女の教官

二話連続投稿です

「全員立ち方が甘い!」

「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」


 あれ以来なぜか私は週に一度、警備兵の訓練教官になっている。

 第一王子を特訓と称して叩きのめしながらデュッケンバルド様とも簡単な手合わせをしました。

 武器は好きなものをというので槍を選択。

 まぁ槍頭と石突きをを取り外しただの棒なんですがね?


 圧勝・・・とはいいませんがかなり戦えました。

 と言っても向こうは体格的な手加減をしてくれていたのだけどね?

 なんども転がして、ここだ!というとこで毎度逃げられる。

 まぁ体格的にそのままで倒すのは不可能なので体格差を生かし、てこの原理で転がしてその隙を突くという簡単な戦法でしたけど。

 それでデュッケンバルド様が楽しんだので、他の兵士達とも戦ったのですが・・・。

 全員倒しちゃいました☆てへっ☆


 はっきり言いましょう。

 その技術にすごい惚れられて兵士達の訓練教官になりました。

 王様もすごい乗り気で警備隊以外の部隊にもやらせようとしましたがそこは丁寧に断りました。

 だって警備隊はすごいフレンドリーで私のような幼女の言う事もきちんと聞いてくれるし、私の実力もしっかりと分かっているけど、他がどうかなんて知らないもの。

 まぁ警備隊にしっかり基礎教えて他の隊に教えてもらうようにしましょう。


 けどなんでかあれ以来王子も参加している。

 武芸十八般に盾を使ったものはありませんが近い動きはありますし、こちらの世界で基礎を流用し、ある程度形にしたものもありますから問題はないのですが・・・。


「警備隊の理念としては捕らえる事が主流ですからね。今日は全員に武器を持ってきました。」


 そういって用意したのは木製のもじりと十手。

 見た事ない武器にみんな頭にハテナが出ている。


「まずは簡単に使い方をお見せしましょう。誰か前に。」

「では僭越ながら私が!」


 そういって前に出てきた男に剣を渡し、もじりを手に取る。

 このもじりという武器、特性が面白い。


「ではかかってきてください使い方を見せます。」

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 怒声を上げてかかってくる兵士に向けてもじりを構え、間合いに入ったところでその兵士の衣服に先端の返しの部分をひっかけ絡め取りそのまま地面に倒す。

 そう、もじりという武器は敵を倒す事にあらず、相手の衣服を絡め取り動きを封じるために特化した武器なのだ。


「わかりましたか?この武器はもじりと言い、このように相手の衣服を絡め取り相手を封じる武器です。今回はズボンを絡めましたが腕を絡め取れば自害を防いだりもできます。」


 そう言って相手になってくれた兵士の服からもじりを外す

 兵士達から驚きの声があがる。


「この武器は槍とほぼ変わらない動きでいいので今からでも簡単に覚えれます。次はこの武器、十手の出番です。さぁ、もう一度かかってきてください。」


 先ほどのもじりに警戒したのかじっとこちらを見ている。

 けれど私は脱力し、軽い形で十手を構える。

 先に向こうがじれて剣を振りかぶってきたので十手の返しに迫ってくる刃をひっかけてぐるりと回転させてやる。

 無論それだけで関節が変な方向に曲がり、剣を手放す事すら出来ない関節技を決めてやる。


「こちらの武器はカウンター用の武器ですが、使い方さえ理解すれば素晴らしい捕縛武器になります。殺す為の武器でないので武器を持ち込めない場所であっても問題なく持ち込める警備の為の武器です。」


 王様の前などで武器を持ち込めないなどそういう制約のある場所は意外と多くある。

 けどこの制約ね?結構穴があって、殺すための武器の持ち込み禁止なのですよ?

 だから十手は持ち込める、暗殺の可能性がある場所ですごい便利です。


「本当は今私が持ってるサイズを鉄製にしたものが良いのですが最初はこちらの大きめの十手を使って練習してください。デュッケンバルト様の手加減を受け止めれるようになれば半人前に認定です。」


 ちなみにデュッケンバルト兵士長は武器を見せて使い方を教えただけで理解し使いこなせた。

 経験の差かな?十手などは鉄製を作らせ常に携帯してくれています。


「まずは二人一組になり片方が剣、片方が十手で手合わせを。十手を持つ方は相手の動きをしっかり見て動いてください。はじめ!」


 指示を与えると素直にみんなが言う事を聞く。

 王子は・・・戦う術じゃないと飽きれてやる気が無いようだ。


「王子?やる気が起きませんか?」

「はっ!相手を倒さない技なんて必要ない!俺が学ぶのは相手を蹴散らす技だ!」


 やっぱこいつクソガキ・・・。

 いいだろう、このアイリス様に逆らった事を後悔させてやる・・・!


「ならばほら、その剣でかかってきなさい。こちらが使うのはこれ一つで十分ですよ。」


 そういって木製の苦無クナイをぷらぷら見せる。

 形状は見たことないだろうけど刃物を模したものであるのはわかるだろう。

 手裏剣術に分類される苦無クナイは投げる事こそが本質にある。

 某忍者アニメのようにクナイを持って戦うのは無いわけではないが本質ではない。

 分かりやすく言うと片手剣を持ってるのにナイフで戦おうとするようなものだよ。


「バカにしやがって・・・!!舐めるな!!」


 わかりやすく熱くなってる王子の剣を苦無クナイを使って軌道を変える。

 本当に子供だね。

 何度かそうやっていなしていると明らかに焦りで動きが硬くなった。


「はい、終了。」


 ぴたっと苦無クナイの刃を王子の首に当てる。

 いい加減これにこりて私から離れてくれないかなぁ?

 あんたみたいな攻略対象キャラがそばに居ると私とお姉様のイチャイチャ生活に支障が出るんですよ?

 さっさと砕けたプライド抱いて部屋で丸まってなさい。


「学びたくないならさっさと帰ってください。はい、兵士の皆さん私の動きを見て学ぶのも良いですが武器の種類が違います。十手の特性を理解してください。」


 王子が悔しそうに地面を叩いているがもう無視。

 私は王命でここに教えに来ている。

 そこに勝手に割り込んでいるのがこの王子なのだからこれ以上は知らん!

 そもそも王命でさえなければ私はここに居る事すらめんどくさいのだ!

 こんな事するより、毎日お姉様とお茶会のお誘いなどしたほうがいい!


「教官殿!もう一度お手本を見せていただけないでしょうか!」

「わかりました。デュッケンバルド様、手合わせしましょう。」

「では、私が剣をですかな?」

「いえ、デュッケンバルド様は十手をお願いします。」


 ぽいっとデュッケンバルドに十手を渡し、この訓練場でいつも使っている私用の棒を持つ。

 もうなんかこの棒手になじみ過ぎたなぁ・・・、みんな私専用って認識もしてるし手入れもしてくれている。

 なんだか悪いなぁ・・・?


「では行きます。はっ!」


 連続の突きを繰り出すがさすがデュッケンバルド、的確に先端同士をぶつけていなしてくる。


「デュッケンバルド様、それでは十手の特性を示せておりません。鉤を使ってください。」

「すまないな。つい楽しくなってな!」


 互いに息の合った攻防を繰り広げるが、やはり体格差による力の差で手加減されている。

 ムキになって・・・となりそうになるが私が子供であるのはしょうがない事実。

 20も歳が離れているのだ、本気になった大人に勝てるわけがない。

 まぁ今は勝つ事じゃなく技術を見せる事にある。

 分かりやすく横の大薙ぎを放ちデュッケンバルドの十手に吸い込ませる。

 私の棒を捕らえたデュッケンバルドはすぐに十手をひねり私の手から棒を奪い取った。


「お見事ですデュッケンバルド様。」

「いやいや、これを考え出したアイリス嬢が素晴らしい。盾の様に守るという事に特化した武器などそうそう思いつきませぬよ!」


 実はデュッケンバルドには捕手術で使う装備の木型を見せている。

 私が必死になってレネ爺に説明して完成した装備品だ。

 と言っても十手や三道具などだ。

 殺す為の武器は一個も見せていない。

 あちらを教えるのは・・・まぁ有りかもしれないけど、秘密を明かせるほどの関係を持っていないからね。

 ちなみに私の秘密を知っているのはこの世にたった一人、レネ爺だけだ。

 あの人は結構面白い人ではあるが同時に義理堅い、秘密と言った事柄はすべて守る人だ。

 だからこそ打ち明けれたのだけどね?

 確かにデュッケンバルドは面白い男だが、そこまで信頼すべきかとも思う。

 この人も義理堅い男ではあるし、秘密を明かしてもそれを律儀に守ってくれるだろう。

 けどそれはレネ爺とは方向性が違う。

 私の夢である、お姉様との楽園計画を叶える為なら私の秘密を知っている人を数人増やすべきなのでしょうが・・・。

 まぁ今はまだ保留、この人が本当に私を養女にするならばその時全てを話しても良いかもしれない。

 どうもその話をうちのお父様とお母様にしているらしい。

 未婚の貴族が家を守る為に他所から養子を得るのはよくある話だし、特に禁止されている話でもないから私は行けと言うなら行くんだけどね。

 そっちの方がゲームの流れをぶった切って別の話に出来そうな気がするし。

 デュッケンバルドのべルネリオス家は武門の家系、この年で警備隊の教官出来るし、デュッケンバルド自身にも武芸で気に入られているから周囲より文句は出ないだろう。


「さぁ兵士の皆さん!この武器に慣れるよう特訓です!」

「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」


 何はともあれ、ここまできれいに従ってくれるのは気分が良い・・・!

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