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04 幼女の舞踏(武闘)

「ウィレナー卿。本日は我が娘をお招きいただき、ありがとうございます。」

「おぉ!ベルーナ卿か!一度貴殿と話をしたかったのだ!」


 どうもお父様はその筋では有名らしいです。

 なぜって?そりゃもちろん元公爵様のお気に入りですからね?

 ただの男爵家がなんで公爵家と懇意にしてるとか理由なんて知りません。


「さぁカレン、挨拶をなさい。」

「はい、お父様。初めましてベルーナ卿。カレン・ウィレナーと申します。」


 女神やぁ・・・女神さまがおるぅ・・・・。

 あぁ私ここで死ぬんだ、女神さまの抱擁のなかで安らかに息を引き取るんだぁ・・・。


 っと危ない危ない、本気で昇天しかけた。

 意識も飛んでたし・・・ってあれ?なんか暖か・・・い・・・。


「こ、こらアイリス!!」

「えっと・・・あの・・・?」


 やばい・・・やばすぎる・・・!

 無意識のうちにお姉様抱きしめていた・・・!

 良い匂いがするしやわっこくてぐへへ・・・。

 じゃぁない!すぐにフォローしないと!?


「す、すいません!カレン様!」

「いえ、少々驚きましたが気にしておりませんよ。」


 やばい聖母の微笑みやぁ・・・。

 これだけで私は魂まで浄化されると言っていい・・・。


「申し訳ありませんカレン様。私の名前はアイリス・ウィレナーと申します!もう一つ、失礼だとは思いますがお願いがございます。」

「許します。なんでしょうか?」

「私のお姉様になってください!!」


 お姉様がまた驚いた顔をしている・・・。

 なんでこの世界にはカメラが無いんだ!今すぐ用意しろこのやろう!!

 ただしお姉様にばれない様に小型のだ!いいな!?


「も、申し訳ないウィレナー卿!私の娘が大変な失礼を!!」

「む?娘?ベルーナ卿、その子は息子でなく娘なのか?」


 えー・・・すごい驚いてるぅー・・・。

 まぁしょうがないよね?ドレスじゃなくて男の子用の服着てるし。

 見えないけど隠し短刀(木製)も持ってるしね?


「えぇ、うちの娘はなぜかこういう事が好きなのですよ。他にも騎士の真似事も・・・。無骨な私のせいでしょうが妻はあきれ果てているのですよ。」

「はっはっはっ!娘さんなら構わんよベルーナ卿。お嬢さん、我が娘に一目ぼれしたのかな?」

「はい!私はカレン様と共に歩み、守る存在になりたいです!!」


 ものすごい大告白しちゃったよ。

 けど後悔はしていない、お姉様Loveだから。

 ぽかんとしていたお姉様が微笑んで私の手を取ってくれた・・・!!!!!


「ここまで慕われたら無下には出来ませんね。仲良くしましょう私の可愛い騎士ナイト様。」


 最強に可愛い・・・!!

 もう私ここで死んで良い!!




「くっくっくっ。なかなか面白い奴がいるじゃないか。」

「おや?帰るんじゃなかったのかい?」

「あんな面白いのほっておいて帰るわけないだろ?」

「それもそうだね兄さん。僕も彼女に興味がわいた。」




 今、私はお姉様とフロアで踊っている。

 というのもあの後仲良く会話してたらまだダンスが上手でないとのこと。

 ダンスなんて足捌きさえ理解してたら後は堂々としてれば形になる。

 私が男女両方の踊り方を知っているからお姉様に教えて差し上げますと言ったら喜んでくれた・・・!!


 あぁ今私憧れたお姉様と一緒に踊ってる・・・!

 今ここで刺されて死んだとしても私は笑顔で逝ける!!!

 お姉様にコツを教えつつ密着して踊れるとか興奮しゅるぅぅぅぅ!!


「おいそこのお前。」


 あぁ困惑しているお姉様のお顔も愛らしい・・・!!

 このまま抱きしめてキスしたい・・・!!


「聞いてるのか?お前だ男女。」


 なんか煩いと思ったら二人組の少年がこっちを見て何か言ってるな?

 こいつらのせいでお姉様は困惑していたのかな?


「ようやく振り向いたか。お前に用がある。来い。」

「その様に無礼な態度を取る方に用などありません。楽しいひと時を邪魔しないでください。」


 安定のスルー。

 お姉様タイムの邪魔などさせません。


「そんな女よりこっちに来るのが優先だろうが間抜けが!!」


 パシンと乾いた音が響く。

 は?ナンデオ姉様ガ頬ヲ押サエテ倒レテイルノ?


「さっさとこ」


 私が近づいた瞬間目の前のクソガキは地面に倒れ私に関節技を決められている。

 指一つ動かせないですよ?人体の関節構造すべて把握してるので抜けれるわけがない。


「おま!無礼だろ!」

「何が無礼ですか!今日!ここはお姉様の誕生パーティー!それはつまり今あなたが叩いた人物が主役です!それを無視しあまつさえ乱暴を働く?どちらが無礼ですか!!」

「貴様!国に忠義は無いのか!俺は王子だぞ!!」


 忠義?忠義と言ったかクソガキ!


「忠義?はっ!私が忠誠を誓うのはお姉様ただ一人!それは国へではない!!それに忠義とは主が間違っていた時、命を賭けてでも正せる事を言うんだ!ただただ主の言う事を叶えるのは忠臣ではなく奴隷だ!そんな事もわからないのですか?年が若いからと甘やかされている証拠ですね?良いですか?我々は地位を持つ家に生まれています。生まれる家を選ぶ事は出来ませんが、それでも地位に応じた権利と義務がある!あなたが持つ権利とは将来国を、貴族を統べる権利です。なら義務は?今はその権利に相応しい知識を得る事です。そしてその知識を使い、国をより良く発展させること!それを怠っている者が王子だなんだとのたまってるのは不快でたまらない!女性を簡単に叩く様な行動が正しいとでも言うつもりですか?わかったらさっさとその体制でお姉様に謝りなさい!!」


 早口で怒りをあらわにする。

 他の人はぼーぜんとなって動けないのかな?

 それとも私の言った事に唖然としているのかな?


「あ、アイリスちゃん・・・?」


 お姉様がアイリスちゃんって・・・!あの可愛らしい口からアイリスちゃんって・・・!!

 お姉様に傷をつけてしまったのは不甲斐ないがそれでもお姉様に親しげに呼んでもらえるなんて!


「大丈夫ですお姉様。不埒者は例え王子と言えど許してはなりません。男であるのであれば女性に優しく、自分に厳しくなければならぬものです。」


 優しくにっこりとお姉様に微笑む。

 さっきお姉様に騎士ナイト様と言ってもらえたんだ!

 これ位その役目の範疇だ!


「すまなかった・・・確かに言う通り俺が無礼だった・・・。」

「そこじゃない。戦う力のない女性を叩く男は最低なんだからさっさとお姉様に謝りなさい。」

「叩いて・・・すまない・・・。」

「いえ、いいのですよ王子。」


 きちんとお姉様が謝罪を受け入れたので開放してやる。


「ところで・・・男に暴力は良いのかよ・・・。」

「何が暴力ですか。これはきちんとした技術の確立した武術ですよ?王子なら武術位学んでいるでしょう?怠ってるから、私程度に負けるんです。」


 ふふんと鼻で笑ってやったが私には前世のアドバンテージがあるから余裕で強いのですよ。

 それにこの世界の武術で王子が習うのなんて剣術位だろうし、簡単に負けるはずがない。


「なんなら剣術でお相手しても良いですが今日はダメです。お姉様がお傍に居る時、私はお姉様だけの騎士として過ごすと決めたのですから。」

「名前・・・。」

「あぁそうですねきちんした挨拶が遅れましたが・・・、人に名前を聞くのであればまず自分の名前をしっかり明かすのが礼儀というものですよ?私は王子としか聞いてませんし確か王子は二人居ましたよね?」


 まぁどうせ第一王子は帰ってるだろうからこれが第二王子なんだろう?

 んで後ろで目をくりっくりさせてるのが宰相の息子ってとこか?

 回想で出なかったけど居たんだな。


「言い返せないな・・・。俺の名前はエドワード・ノエル。第一王子だ!アイリッシュお前も名乗れ!」

「そうですね兄さん。僕の名前はアイリッシュ・ノエル。第二王子です。兄が無礼をしました。」

「第一王子と第二王子・・・!きちんとご挨拶できずに申し訳ありません。私はトーマス・ウィレナーの娘、カレン・ウィレナーです。」


 はっ?なんで第一王子居るの?

 さっさと帰っとけよお前。

 やっぱ「優しさだけでは生きられない」に似てるだけで違うんだな・・・。


「スターソン・ベルーナの娘、アイリス・ベルーナです。今はカレン・ウィレナー嬢の騎士ですが。」


 じろりと気迫を含んで睨む。

 殺気と言うには穏やかだが覇気と言えばわかりやすい。


「アイリス!ダメです!」


 怒られた!お姉様に怒られた!!やだ怒った顔も可愛い!


「はい!お姉様!」


 ぴしっとお姉様の後ろに直立する。

 その様子になんだか周りから穏やかな雰囲気が流れてきた。


「本当に申し訳ないウィレナー卿・・・。」

「いや構わんよ。あそこまで忠義に厚い騎士がそばに居るなら私も安心だ!はっはっはっ!」


 どうやらお姉様のお父様にも気に入られたようだ。

 うん・・・!やはり騎士を目指そう!

 この国初の女騎士となり、お姉様を守るのだ!!

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