03 幼女の興奮
5歳になりました。
あれから体も鍛えに鍛えましたよ?
まだ体格的な理由で大人には敵いませんが同世代の子供なら投げ飛ばして間接技決める事が出来ます。
それも自然な流れで!!
それにレネ爺にお願いして鍛錬場にたくさんの武器も用意してあります。
無論古武術の武芸十八般で使うものを!
さすがに馬術用の馬と砲術用の銃は用意できなかったけど、馬は貴族の嗜みである乗馬があるし、砲術は魔法で代用と考えてやり過ごす事に。
お父様もお兄様も私が作った武器にあきれを覚えていたようですが、私がそれを持って練習しているのを感心してみていました。
ただ古武術の中には、貴族としては卑怯だのなんだの言われるようなものもあり、それはこっそり練習しています。
卑怯がなんだ!命のやり取りに卑怯も礼儀もあるものか!!
「優しさだけでは生きられない」で戦うのは貴族・・・もルートによっては居ますけど、基本は魔物。
魔物相手に正々堂々もないですよ。
まぁとりあえず何かあった時用に木で作った短刀を作って持ち歩いています。
倒すことは出来なくても制圧する事位は出来ますね。
まぁ武術面は現状維持でいいとしましょう。
残りの三パラメータ。
まず知識面ですが・・・、こっちみないでくださいバカなんですから・・・。
この世界で必要となるのは数学・言語学・歴史・文化の四項目だそうです。
数学なんかは別に問題ありませんし、言語学も問題ありません。
スタートダッシュが違うんですから当然です。
数学は前世から、言語学は2歳からコッソリ始めてました。
文化は言ってしまえば芸術ですよ。
まぁピアノでしたら何とかなりますギリギリ妥協点です。
今それですからゆっくり学んでいけばいいです。
問題は歴史なんですよねぇ・・・。
興味がわかない事には本当に覚える気が起きないんですよねぇ・・・。
カレンお姉様の生涯についてですか?
四日待ってください最高の本を作りますよ?
軽く見積もって2000ページですかね?
次に魔術。
今一番のネックポイントです。
魔術に関してだけは今学べません。
魔術は属性として赤・青・黄・緑・白・黒の六属性。
白と黒は珍しく、他は普通に居るんです。
白と黒は突然変異で基本的に家系的な色になります。
ちなみにゲームの設定通りだと私は白でお姉様は青。
だから魔法に関しては白の魔法と青の魔法について調べています。
けどあんまりないんですよねぇ・・・。
お父様の家系は黄が主ですし、お母様の家系は赤が主。
つまりうちには黄と赤の魔法書しかないのです。
お兄様が白か青であればなんとかなったのですが・・・お兄様の色は突然変異の黒。
それに鍛えるには専用の道具が必要らしいのですが、さすがにそんなものを用意できるほど贅沢な暮らしは出来ていません。
ゆえに一時保留にしています。
そして最後の礼節。
ここまでから察していると思われますがお転婆娘です!
故にお母様がしっかり躾けてくれています・・・。
けど令嬢の動きって武芸十八般、忍型術の遊芸でなんとかなっている・・・。
まぁ流用できる部分は他にもありますし?それでなんとか誤魔化しているんですよね。
歩き方などは初日にOK貰いました。
足捌きは大事、これだけはなんにでも流用出来ます。
食事マナーも・・・まぁある程度なら理解してますし?
けどそういう点ではぼろさえ出なきゃ礼節は完璧ですね。
家で木に登ったり、こっそり家の噴水で泳いだりしてなければ・・・。
木登りは武芸十八般の隠形術、泳ぐのは泳法術の練習です。
まぁそんな風に自己研鑽、自己分析しながら日々を過ごしているとね?
ようやく待ちに待った日がやってきたのです!
えぇそうです!両親がウィレナー家から招待状を持ってきて本日!カレンお姉様の誕生パーティーに向かうのです!!
もうなんだったらそこでカレンお姉様と婚約発表したい・・・むしろする!!
まぁそこは2割冗談ですが、少しでもお近づきになりたい。
しかしここ、問題があります。
攻略対象の内、二人が現れるんですよ・・・。
まじ邪魔・・・、その内一人は私に初恋を覚えお姉様はそいつに初恋をする。
けどまぁまだ子供ですし?憧れ程度で終わっていくんですけどね?
それで十年後、貴族の学校で出会い、相手を落とすってスタイルになっていくんですよ。
あぁこの世界、貴族系の癖に許嫁とかないんですよ、不思議ですね。
その学校で自分の家柄にふさわしい相手を見つけて恋仲になるってのが貴族達の暗黙のルールで、学校行くまでは個人間で異性同士を合わせるのも極力禁止。
これ破ると・・・ハブられます貴族社会で。
同性はOKです。いいですか?同性はOKです!!!わかりましたね同性は良いんです!!!!
まぁだからこうやって小さい内に恋心とか植え付けさせるようにパーティーやらなんやらして子供達合わせるそうですよ?
よくある貴族制度物にしては変わっているなぁって気がしますが最近調べたら建国王がそう制定したとか。
それ調べたら建国王の名前ノグチだそうで、ノグチってもしかして野口かな~?とか考えてます。
多分それで行くと建国王は転生ではなく転移系、お城には建国王の書って呼ばれる日記があるそうな。
誰も解読できないらしいですけどね?
まぁそんなものに関わる気はありません、だってそれ本当に日本語で書かれた物ならば確実に王族ルートですよ?
今、私も記憶にある限りの「優しさだけでは生きられない」についてのストーリーを本に纏めています。
それも日本語なのでね、これもバレたら王族ルートです。
いらねぇよ、んなもん!!私が欲しいルートは悪役令嬢ルート!
とまぁ考えが大きく逸れましたね。
とりあえずその攻略対象は無視!
あぁ、カレンお姉様・・・!今、会い(愛)に行(生)きます!!
しかーし!!
しかしですよ?お姉様に初めて出会うわけです!
無論服を悩む必要があります!
お姉様の誕生パーティーですよ?
全国で祝日になってもおかしくない日!
お姉様が主役であるのは当然!なのだから、お姉様に目をかけてもらえるように、服を選ばないとダメだ・・・!
つまり男装で行きます!
はいそこぉ!何言ってんだって思った人は黙って正座。
そして選んだ服をお母様に見せたらものすごい氷点下の笑顔で怒られました・・・。
別に良いじゃない・・・、私が男装しても・・・。
まぁそんな攻防をかなり繰り返し、なんとか男装の権利を勝ち取りました・・・!
お母様はどこで育て方を間違えたと嘆いておられましたがごめんなさい・・・。
生まれる前からこうです・・・。
「失礼します、アイリスお嬢様。」
「カレン様のパーティーへ赴く時間ですか?」
ここは平静を装います。えぇ当然です。
だって生カレンお姉様だぜぇ?おい!
興奮すんなってのが無理ってもんでしょ?うへへへ・・・・。
そうして私を呼びにきたメイドに連れられ馬車に乗り、愛しのお姉様の家へと向かいます。
さて一応ここらで「優しさだけでは生きられない」の主要人物についてお浚いしておきましょう。
まず私がメインヒロイン。
魔法は希少な白。
貴族として地位は最下級の男爵家。
入学時の能力は平凡。
現在は高い能力ですが。
まぁそんなものどうでもいいのです。
次にカレン・ウィレナーお姉様。
侯爵家のご令嬢。
容姿端麗文武両道。
欠点らしい欠点は・・・ありそうだけど多分貴族と関係ない方面だと思う。
家柄も建国から国に仕えてきた由緒ある尊いお方。
まぁそんな彼女が私のような貴族地位のド底辺な人間に攻略対象の四人と付き合わせようなど考えるわけがなく、それを善意で止めようと色々して没落・追放される形だ。
お姉様の忠告は、当然だと思うよ?貴族社会なんだから大人しく釣り合う家柄選べばいいだけだからね?
そして攻略対象の四人。
一人目は第一王子エドワード・ノエル。
この国の王子様です。
まぁ単純に俺様系熱血王子様。
今回のパーティーにも出席しますが彼は飽きてどっか行くらしいので今は放置。
こいつが私に興味を抱くのもお転婆系ルートだから対処は可能。
二人目は第二王子アイリッシュ・ノエル。
もう一人の王子様。
彼は理性的なクール系王子様。
回想編ではこいつがパーティーに疲れて寝ている私に一目ぼれしてずっとこじらせるらしい。
まぁ私に惚れようが私の心はお姉様だけにしか向かないので放置でも良いのだが・・・。
こいつがなかなか曲者で、こいつのせいで攻略対象と会うと言っていい。
なぜなら一人はこいつの友人だからだ・・・・。
三人目は宰相の息子エンリケ・ワール。
公爵家の一人息子。
こいつが一番嫌い。
なぜって?どのルートでもこいつがお姉様を追い詰めて没落・追放するからだ!
こいつだけは思いっきりぶん殴りたい。
出会うのは入学後だから今は無視だ。
けど対策はしっかりとしておかねば・・・。
オ姉様ニ仇名スモノニ天誅ヲ・・・。
そして四人目はアルバート・セバスチャン。
こいつも公爵家で由緒正しい家柄らしいのですよ。
なんでも建国王から頂いた家名だとか?
絶対こいつの先祖野口さんの秘書だよ、面白がってセバスチャンって与えてるよ。
家柄的には王の次に偉い。
まぁ王の世話をするのはセバスチャン家からと決まっているから当然である。
こいつ・・・実はエドワードのお付なのだよ。
こいつのルートに入る場合、主人公はメイド目指して勉強するって形なルートだし。
他に出てくるルートもエドワードルートと逆ハールート。
だから今回警戒するのはアイリッシュただ一人・・・。
けど今の私の体力と精神力はMAX!お姉様に会えるのだから常時MAX!!
会場で眠るなんて事は無い!!!
まぁ乙女ゲー転生物でよくある主人公の破天荒ぶりで変なとこでフラグ立ててしまう事・・・!
それを避けてゲーム通りに進みつつお姉様と仲良くなる。
友達としてならお姉様はとても良い人なのだ。
平民から雇った人にも優しい話は出ていた。
けどさすがに家柄が尊い四人の内、誰かと恋仲になるのをそれはしてはいけないと優しく諭すようになる。
それを見ていた他の貴族がお姉様を手助けしようと私に嫌がらせなどをする。
そして色々紆余曲折あり尊い人達の目に止まり、お姉様が誤解され没落・追放となるわけなのだよ。
いわゆる人身御供ってやつ。
優しさにつけ込み、家柄は良いとこだけど嫁に出されウィレナーとは関係ない場所に嫁がされる立場。
利用しやすく、切り捨てやすいのでしょうね。
ぶっちゃけ不憫すぎて涙が出る・・・。
しかし全ルートやって逆ハールートもクリアしてまでお姉様情報集めた私に不覚はない・・・。
うへへ・・・早くお姉様に会えないかな・・・。