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03

 次にターゲットにしたのは、副会長だった。


 まあ、これはミッションでも何でもなく、


「副会長、私辞めることにしました」


 真っ正面から告げてやりました。


「ああ、やっとですか」

「ええ」


 副会長は、元々私を認めてはいなかった。基本的に美しいものが好きで、私は初めて会って早々に「美しくない」と断言された。

 それからずーっと、私が生徒会を辞めるようグチグチ言ってきていたのだ。

 そこでやめれなかったのは、他の会長たちがパシリを減らしたくない為だけに、辞めれなかったのだ。


 また、こいつも今現在愛野奴隷の一人で、子猫ちゃんと呼んでハーレムの一員と化している。山になった書類を私が整理してると思ってる節があるので、屑の一員だ。


「ただ、辞めることを黙ってて下さいね」

「当たり前です。こんなチャンス逃して堪りますか。でも、仕事はしていってくださいね。それしか取り柄がないんですから」


 ほらね。まあ、もう一切しませんがね。

 雑用奴隷が居なくなることを会長達に伝えないよう念を押しておけば、不愉快そうだが了承をしていただけた。

 やっぱり副会長のだけ、少し片付けてから行くことにしよう。

 そんな事を思いながら、書類に印鑑を押して貰った。


「このチャンス逃したら許しませんからね。あと、庶務の推薦書いといて下さいよ。私は、子猫ちゃんの所へ向かいますので」

「はいはーい」



「子猫ちゃんとか、まじウケルンデスケド」


 ルンルンとした足取りで奴隷と成り果ててる副会長は、本当に気持ち悪いです。


 さて、そこから土日挟んで月曜日まで副会長の仕事と一部の仕事を終わらせて、私は次のターゲットである会計のことを探った。


 会計は、一番面倒だ。髪の毛は黒髪だが全体的にチャラい。で、金持ちでイケメン。色気あるイケメンらしい。また、調子がいいため、生徒会の仕事をせず女の子とデートとかザラだ。ただ、愛野奴隷として一本釣りされてから、彼女一筋らしい。

 けど、今までの女の子との別れ方がいけなかったんだろうなあ。生徒会の目安箱に会計宛の書類に剃刀やら病んだ手紙とかよく送られてくるんだけど。


 一回カッターの刃で指を切ったときは、会計の新しい連絡先を彼女達に流した。週一で替えてるがその度に私が流してることを彼は気づいているのだろうか。


 とにかくだ、印鑑を手に入れなければならないのだ。


 ということで、拝借しまーす!


 会計の印鑑はロッカーに置いてある。しかも、このロッカーは鍵ではなく暗証番号で開くようになっている。

 実際に何度もこのロッカーの前で印鑑を教えを貰ったりしてるので、この中にあるのは間違いないのだ。


 暗証番号は15369(いちごみるく)


 会計が一番好きで、自称ラッキーアイテムの名前である。


 ロッカーをささっと開けて、印鑑を押す。


 この光景は、結構よくあることで、生徒会が確りと機能していた時代でも、おサボり魔の会計のはこうして押していた。


 まあ、会計に関しては、会計長という会計を管理する委員もあるので、そこまで重視されてないし。


 嫌がらせに唐辛子を仕込んでおいたいちごみるくを置いておく。犯人はこれまた私の嫌いな会計の親友の名前にしておく。


 ほっほっほー!


 順調順調。


 さて、次は書記か。



 実は、これが難関だった。



 書記は基本的に印鑑を身に付けてるのだ。昔虐められていた名残で、無くしたくないものを肌身離さず持ち歩く癖がある。

 そして、それは人にも当てはまる。四六時中愛野奴隷をやっている。しかも、話しかけると凄く嫌がられるし、書類なども一切やらないのだ。


 それ、本当に人としてどうなのよ。何だかんだ、無理矢理にでも書類をやらせればやってくれる他の奴等に比べて、とてとやりずらかった。


「って、わけなのですよ」

「おれ、日吉のロッカー番号なんか知りたくなかったんだけど」

「え?有名よ??」


「……いくらで売った」

「面白いものが見れるなら無料ってことにしたけど」


 このあと、めちゃめちゃ怒られた。


 仕方ないので、方法を探すためにそれとなく調査し、隙を探すことにした。


 愛野奴隷達はすごい。特に書記と幼馴染みの優男は双璧だった。周りを威嚇し、少しでも異変を感じたら、直ぐ様噛みつき、愛野さんを真綿で包むように甘やかす。そこに、会長が強引に入ってきたり、チャラ男会計がお触りして副会長に絞められたり、風紀委員長が愛野さんを拐ったり。


 しかも、三日間調査したら4回も壁ドンに遭遇した。あとは、キスする五秒前的なのにも。実に気持ち悪くて、鳥肌が凄くて、マジ慰謝料請求レベルだった。こっちだって、リア充してーよ、屑が。つーか、イケメンご壁ドンしてりゃあ女が落ちるとでも思ってのか屑。私だったら容赦なくボディーに一発入れてやる。特に急所!潰して使えないようにしたら、あっちこっちで発情期みたいに盛るのを見なくて済むかも!それはいい!!


 ……私、疲れてるみたいだな。


 どうすればいいのだろうか……。

 あ、そうだ。


 いいことを思い付いた私は、ルンルン気分で生徒会室に戻ることにした。


 翌日、朝の人気がいない時間。この時間帯に愛野さんと書記が『秘密の花壇』とかいってるトコロで、合挽き…じゃなくて逢い引きしてることを掴んでいる。


「日影先輩!お花が綺麗ですね!」

「……そ、うだね」


 愛野さんが微笑むと、見惚れた書記が顔を真っ赤にしている。うへぇ。きもっ。屑野郎が顔真っ赤にしてても気持ち悪い。

 愛野さんはやはり近くで見ると、その美しさが際立つ。まあ、釣り師としてはいいけど、友人にはしたくないな。


 さて、私はこんなイチャイチャ見ることの為に、ここに来たわけではない。私の明るい未来のために彼らには協力していただかなければならないのだ。


「おはようございます。お二方」


 草むらからひょっこりと顔を出すと、イチャイチャをやめて、驚いた顔でこちらを見る。そら、秘密しているはずの花壇に私が出てきたら、びっくりするだろうけども。


「馬立先輩…?」

「なに、しにきた…!!」


「いえ、漫画研究部のデッサン用花壇に用事があって。で、お二方ともここで何してるんですか?漫画研究部じゃないですよね?」


「えっ……うそっ、ここは学園長のっ……」

「あー、学園長、盆栽にハマってしまって、この花壇を誰かということで漫画研究部預かりになってるんですよ。あれ、書記なのに知らなかったのですか?去年私、書類渡しましたよ?寧ろ愛野さん、変に物知りですねーびっくりです」


 書記の表情が険しくなる。今の少しの間で結構嫌味をたっぷり彼らにかけてあげた。秘密の花壇(笑)が漫画研究部の花壇で、しかも生徒会なら把握しておくべき内容なのに。

 伊織が花壇欲しいって言ったから、ちと学園長に掛け合って、ここ貰ったんだよなあ。


「って、そうじゃなくて、書類に書記の印鑑が必要なの」


「……なに?」

「議事録の貸出。書記の許可が必要でしょ?しかも、何ヵ所から来てるから一気に押しちゃいたいんですよねー」


 生徒会などの議事録管理は、一応書記の仕事で、議事録を貸し出すのは去年の予算案の内容などを先生たちが把握するためだ。昔は先生なら自由貸出だったのだが、一度マヌケな先生が議事録を無くしたことがあり、それ以来書記の貸出書類が必要なのだ。


「貸してくれれば、押すからさ」


「……自分で押す」

「ん?いいですよ。朱肉の乾きが悪いので、一度手を洗いにいくことになりますよ?」


「……わかった」


 書記は、綺麗好きだ。手の汚れなどに敏感で、そこをつつけば印鑑を貸してくれると思った。また、愛野さんの前で仕事を断るというのは、流石に恥ずかしいらしく、すんなりと印鑑を貸していただけた。


 バインダーを使い、私は五枚の書類に一気に押していく。そして、三枚目に挟んでおいた退任届けにも確りと押させてもらった。


 印鑑を返し、その花壇から私はそそくさと出ていった。ちょっとだけ、ここが秘密の花壇ではないということを知って、どういう行動をとるか気になるが、ぶっちゃけこれ以上イチャイチャ見せつけられたら、臓物引きずり出したくなるくらいの衝動に駆られそうでやめておこう。



「てな、わけよ」

「え?あの花壇最近勝手に花植えられてるなあって思ったら、そういうことかよ。この前、ミントって書かれたレシートが落ちていて、漫研全員で戦慄してさ」

「あー、ミントテロか……」

「まあ、撒かれてはなかったけどさ、まじ、本当に漫研以外立ち入り禁止にしようかな」


 

  




ここまでが一気に書いたお話。

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