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第1話 警察

ここは、とある片田舎・・・

何て平和なんでしょうか!見てください、この見渡す限りの平原!

そこを通る一本の道路、車の気配なんざこれっぽっちも感じさせないとは逆に感動する。


「ふぅー・・・今日も平和だぜ」


いつもの相棒?であるフォード・クラウンビクトリアの運転席を限界まで倒してエロ本を読みながら煙草を吸う俺は何に見えると思う?

正解は・・・


『本部から全車両へ・・・****番地、○○○○道路を猛スピードで暴走する車両あり、至急援護に向かって欲しいとのことです』

「やれやれ、元気だねぇ・・・3号車了解、援護に向かいます」


そう、市民の平和と安全を守る警察官なのだ。


『車種は青のスバル、ナンバーは××××、停止勧告を無視し、今尚暴走中です』

「はいはい、すぐ向かいますよー」


座席を起こし、サイレンを鳴らすと、脇道から道路に出る。

ここからだと・・・まあ、ざっと5分くらいか。

ギヤを入れ、アクセルを全開にして応援向かうべく俺は駆け抜けた・・・。






>>○○○○道路

『はいはーい、緊急車両通りますよー、道空けてー』


ウ~ウ~と言う喧しい音を立てて一般車の間を縫うように走る。

すると、目の前に俺と同じ車両が複数台で青い車を追っている・・・止まる気配は更々無いようだ。


『直ちに車両を停止しなさい!でないと実力を行使するわよ!!』

「今日も元気に声を張り上げてんな」


追跡していた先頭車両から女の声が聞こえるた・・・まあ、いつもの光景である。


「それにしても、インプレッサとはね」


しかもWRX STIだし、なかなか良い車乗ってんなー・・・まあこれ以上逃げ続ければスクラップ間違いなしだが


『本部から全車両へ・・・これ以上の逃走は危険と見なし、実力行使を許可します。

 力ずくで止めてください』


遂に地獄の審判が下されたようだ。

インプレッサはお釈迦決定だなこりゃ・・・南無南無

待ってましたと言わんばかりに先頭のバカ女がインプレッサ目掛けて突っ込んでいく。しかし、流石にスポーツカーだ、簡単には追いつかせてくれない。

まあ、俺はつかず離れずいつも通り傍観させて貰うことにしようか。適当に「止まれ~、とまれ~」と拡声器で呟いてればいいか。





・・・ほどなくして、ガツガツと追突やら両側からの挟み撃ちにあったインプレッサは遂に限界を迎えて停車した。

最初から逃げなければいいのに、さぞかし怖い思いをしたんだろうな。


「午後1時42分、スピード違反及び公務執行妨害で逮捕よ」


パトカーにスクラップにされたインプレッサのボンネットに容疑者を抑えつけて手錠をはめる女、まあ例の先頭車両の喧しい女である・・・こいつの場合、女と書いてメスゴリラと読むけどな。


「いやーお見事お見事、相変わらず容赦ねえな」


車から降りて、実に当たり障りのない挨拶をしたつもりだが、キッ!と睨まれた。そして、ツカツカと俺の目の前まで来ると、人差し指を眉間に突き当てた。


「遅い!!」


開口一番がこれである。


「ここに来るまでに何分かかっていると思ってるの!?」

「しょうがねぇだろ、ちょっと遠い所からはるばる来たんだよ」

「何がちょっと遠い所よ!!アンタ、また郊外でサボってたわね!!」

「そ、そんなことないですよ」

「ほらやっぱり!!アンタ嘘吐くとすぐに敬語になるんだから!!」

「いいじゃんこうして間に合ったんだから、容疑者も捕まったし」

「捕まったしって・・・後ろから拡声器で止まれ止まれって連呼してただけじゃない!!」

「何もしないよりはマシだろ?」

「そういうこと言ってんじゃないわよ!!!」

「いで!?」


ぶ、ぶたれた!?毎度毎度思うが、どう考えても女の腕力じゃねぇ


「もっと真面目にやりなさいって言ってんの!!」

「今が精一杯だ。因みに不真面目になった場合、車両にも乗りたくない」

「アンタ、私に喧嘩売ってんの!?」


もしそうなら一方的にしばかれた俺は何なんだ・・・?


「はあ・・・頭が痛くなってきた」

「生憎だが、頭痛薬は持ち合わせてない」

「・・・フン!」

「いで!?」


ま、またぶったよこのゴリラ


「そんなふざけてると、いつか痛い目見るわよ」

「十分目の当たりにしてますけど・・・」

「そうじゃないわよ、いつか取り返しの付かないことになっても知らないからね」


お、いつになく優しいじゃないか?明日は雨かな?雪か?それとも槍でも降るのか?


「おいおい、そんな奴にかまってないで行こうぜ」

「そうだぜ、まったく、そんな落ちこぼれほっとけよ」


いつの間にか外野が出来ているが、当然俺の味方は皆無だ。これってイジメじゃね?


「あいつらにあんな事言われて悔しくないの?」

「だって事実だし」

「そこは悔しいって言いなさい!!」

「いで!?3回目!!?」

「はあ・・・」

「いてて・・・何を心配してるか知らんが、痛い目見るときは誰だって見る。もしそうなった時は、お前に迷惑は掛けねぇよ。

 それよりも、俺なんかにかまってないで今は自分の心配しろ・・・インターセプター部隊の最有力候補に挙がってるんだろ?」

「それは・・・そうだけど」

「長年の夢だったんだろ?なら、尚更だ。」

「そんなの解ってるわよ・・・フンだ、何かあっても絶対に助けてやらないからねーだ」


プイッとそっぽを向く彼女・・・こういうさりげない仕草が可愛いらしいのがまた困りものだ


「ねぇ・・・」

「ん?」

「やっぱり良い、何でもない」

「何でもないなら話しかけんな」

「うるさい!!」

「いで!?よ、4回目!?」

「フーンだ!」


ち、チクショウ・・・いつかその無駄に発達した乳揉み扱いてやる。


「帰るわよ」

「・・・ハイハイ」


まあ、警察官というのも大変なお仕事だ。

おっと自己紹介がまだだった、俺の名前は神崎葵。下っ端の中の下っ端さ。



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