94 極南の島オケアノス
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船の汽笛が港に響き渡る。紅汰達一行は荷物を持って船から下りる。
ドレイクに礼を言ったところでウィルが一行を瞬間移動させた。
着いたのは和風の旅館だった。一階建てだが敷地が広いせいか全体が凄く広く見える。
「まぁ三週間ぐらい、この旅館に泊まるよ。あ、僕の知り合いが経営してるから心配しないでくれ。」
ウィルは手ぶらで和風の旅館の戸を開けた。
「おーい、如真!いるかーい!」
「はーい、ただいまー。」
ウィルは透き通る大声で叫ぶと通路の奥から武士服を着て、腰に刀を差したちょんまげ髪男性が走ってきた。引き締まった顔立ちにオールバックの青髪、尖った鼻からは毒々しさを感じるが穏やかな表情がそれを和らげる。
だが一行びっくり。
「何やってんの、ジル。」
ウィルの冷ややかな視線を気にせずジルと呼ばれた男性はウィルを見て頭を下げ、延々と語り出した。
「おや、これはこれはウィル殿、よくぞいらっしゃいました。これは如真殿に洋菓子の御礼に頂いたモノでございまして。私以前から東方の国の文化に興味がありましてね、いやぁもう素晴らしいですねぇ!」
「いや、そうじゃなくて如真は?ここ彼の旅館だよね。」
「それがですね、如真殿はお夕食の買い出しに行っておられるますので旅行に来たこのジル・ド・レェがここの代理館長を任されております。」
「へぇ、わざわざご苦労様な事だね。一応、如真から話は聞いてる?」
「はい、貸し切りですね。こちらへ………。」
一行を誘導しようと笑顔で一行を見ると、ちょうどLで視線が止まった。
「おぉっ!!?わ、我が師よっ!!どうしてここに!?」
どうやらジルとLは知り合いらしい。Lは片手を挙げ挨拶する。
「おぉ、ジルじゃん。元気ー?」
「えぇもうおかげさまで!我が師もお元気そうで何よりです!」
「あぁ、じゃあ案内頼むわ。」
「はいっ!さぁさぁ皆様此方へどうぞ!」
一行はハイテンションなジルに付いて行った。旅行の通路を歩き回る。
「ジルとは昔、殺しあった仲だ。おそらく一流な魔術師だ。」
紅汰がジルとの関係を聞くとLは語り出した。
「ジルは昔、好きだった女が殺されてやけくそになってたんだ。俺はぶん殴って説教してやったら改心して今はあれだ。俺でも信じらんねぇな。」
「私のジャンヌを殺された悲しみを理解出来たのは我が師だけでした……我が師は私を殴って目覚めさせ、BUSIDOを教えてくれました…………弱き者には手を出さず庇い盾となり、悪き者には裁きを。常に優しく強く………なんと素晴らしいのでしょう!東方の国はBUSIDOを知る素晴らしい人々に溢れているのですね!」
ジルは大袈裟に叫ぶ。流石のLも苦笑い。
「まぁ、悪い奴じゃねぇから安心してくれ。」
Lがボソッと告げる。そこでジルが足を止める。
「皆様、この辺りがお部屋となります。何かあったとき、部屋が離れていると係が駆けつけるのに時間が掛かります故、どうかお互いお近い部屋をお選びください。」
ジルはそれだけ言うと一礼して、去っていった。
「じゃあ皆、大体一部屋結構入るけどなるべく近くね。」
ウィルはそれだけ言うと右側の『青竜』と書かれた部屋に入っていった。小柄な女性もあとを追う。
「よし、此処だ。」
紅汰、ルーシャ、魔界神、ルシュ、レーヴァ、藍、グラムは『朱雀』と書かれた部屋に入る。
風魔とグングニル、刹那、忌羅、修羅は『白虎』と書かれた部屋に入る。
L、シーゼ、助手の女性は『応龍』と書かれた部屋に入っていった。
青竜
「さてと、荷物が置き終わったら早速……海だね。」