92 翌日の出来事
今回は短すぎますよ、ごめんなさい。
「…………ん…ぁ……ん?」
風魔は目覚めた。とてつもない違和感と共に。
その違和感の正体を探るべく、半分寝ぼけで周囲に手を伸ばす。
「にゃ……ますたー……。」
グングニルが抱きついて眠っていた。
そして目を開けると目の前に刹那が眠っていた。
グングニルは風魔の胸を枕にすやすやと眠っている。刹那はグングニルを風魔と挟むように眠っている。
何故こうなったか、昨夜の事を思い出す。確か刹那を説得して…………そこから先の記憶が消えていた。
とにかく、見られたらまずい状況である。
その時だった。
「ん……むにゃ…あ、おはようございますますたー。」
グングニルが起きた。グングニルは小さな手で風魔の腹に手を回している。
「グングニル、刹那さんが寝てる。起こすな。」
なるべく刹那が起きない程度の音量でグングニルの耳に囁く。
「ますたー…わたしたちはこいびとですよね?」
「え、あ、まぁ…そうだな。事実俺が言ったんだし…。」
突然の言葉に風魔は何か嫌な予感がした。
「ですよね…ますたー、おかおがみたいのでもうすこしおかおをちかづけてください。」
「ん?こうか…。」
嫌な予感はしながらも答えてやらない訳にもいかず、風魔はグングニルに顔を近付けた瞬間、
「んっ……。」
「!!?」
グングニルが唇を近付けて、風魔の唇と重ねた。反射的に離れようとするが、グングニルの腕力で頭が固定されてしまい見事に動けない。
「んっ……。」
「んー!?んんー!!!」
ご丁寧に舌を入れてきた。グングニルの肩を叩いて講義する。しかしグングニルは引くどころか逆にもっと舌を突っ込んできた。グングニルの息切れを待とうとしたが、一向に息切れしない。最近の少女の体力は恐ろしい。
「んー!んぅっ!!んっ~!!」
風魔もなんとか言葉を発音しようとするが舌が絡まって上手く発音できない。
そこで恐れていた事態が。
「んんぅ……ふぁぁ……。」
あくびと共に刹那が目覚めた。目が合う。苦笑いするしかなかった。
刹那の目線が風魔の顔下に向けられ、停止した。そしてタイミング悪くグングニルが唇を離す。
「……おはようございます。」
「…おはよう…。」
刹那は特に動じる事なく話し掛けてくる。
「今、初めてのキスか?」
「えっ、あ、はい…。」
答えると同時に顔が熱くなったのを感じた。刹那はそれを聞くとグングニルを退け、風魔の顔に接近した。
「私は言った。二度目からはすると。」
「あ…確かに言いましッ!?」
今度は刹那がキスをしてきた。ついでに抱きしめてくる。
十秒程重ねると刹那は唇を離す。
「ふふっ…確かに、二度目からはしたぞ。これから隙あらばお前の唇を奪うからな。」
「………寝ます。」
精神的に耐えられなかなった風魔は目を閉じ、再び眠りについた。
ぴりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりぴっ。
「やぁ、君か。随分と久しぶりだね、何年ぶりかなぁ……………………うん、まぁね…………ないよ、君は自由に動いてくれて構わない。むしろ動いてくれる方が嬉しい誤算だよ……………………………保障はできないけどね、努力はするよ…うん、じゃあね、コタロー。」
ぴっ
「不思議だね。真実が分かるっていうのに怖いな……でも、逃げる訳にはいかないんだ…凛の為に………そうだ、皆の為に…僕は!……………。」