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俺と神様の異世界冒険記  作者: サイトゥー
第一部 始まりに至る物語
85/113

91 千年の罪

いつの間にか90話も投稿してた…自分に賞状送りたい

昔、風魔月詠と言う一人の女性がいた。


彼女は孤独の武神に愛された。


彼女はこの世全ての罪と悪に愛された。


彼女は天の神に愛された。


彼女は魔神に愛された。


彼女は風の如き者に愛された。


彼女は夫に愛された。


彼女は母親に愛された。


彼女は最愛の女性に愛された。


彼女は幸せだった。だから、守りたかった。全てを。

だから自分を犠牲にした。

皆を救えると思った。

しかし、一人だけ救われなかった女性がいた。



















神己刹那は泣いていた。己が、千年と言う長い間、背負っていた罪を何度もいや、何千回と悔やんでいるからだ。


「何、してたんですか…。」


風魔(女体)は物静かに、しかし怒りが込められた声を刹那に放った。

刹那はうつむいているだけで答えない。風魔はもう一度、問う。


「…………何か、言いましょうよ?」


それでも刹那は無言だった。

その時、風魔の頭の中で風魔を制御していたモノが壊れた。






「なんか言えっていってんだろッ!神己刹那ッ!!!」



ビクッと刹那が肩を奮わせ、顔を上げる。その目は涙で濡れていた。風魔の口から無意識に言葉が飛び出す。


「なんだテメェはッ!?いきなり走ったと思ったら今度は自殺か!?自分勝手過ぎるだろうが!!テメェを心配してる修羅さんや俺の気持ち考えろや馬鹿狐がッ!!テメェが死んだら残された家族はどうなんだよっ!俺や修羅さん忌羅さん赦奈、希殺羅の気持ちがわかんのかッ!!なんで千年も背負ってきたモン今更になって投げ出すんだよ!」


風魔の勢いある説教に刹那は唖然としていたが、やがて口を開いた。


「私には……もう、無理だ……。」

「あァ?なんつった今。」

「私はッ!!もう無理だと言ってい「ざけんなッ!!!!」


風魔の怒号が刹那を瞬時に黙らせる。


「テメェが苦しんでるんのは皆分かってんだよ!それでも背負って生きてるテメェを応援してんだろ!!なんでそれを無駄にしちまうんだよ!?死んで罪から逃げて家族泣かせて終わりかよ!俺にも修羅さんにも誰にもテメェの苦悩なんざ理解は出来ても体験出来る事じゃねぇんだよ、だからよ…一言、『助けて』って言えば良かったんだよ。迷惑なんか掛けるより心配掛ける方がよっぽど悪い。家族なんだからさ、遠慮すんなよ。誰もテメェが悪いなんて言ってねぇし責めもしねぇ。」

「これは…私が背負うべき罪だッ!!私にしか背負えない…お前達には関係な「あんだろうがっ!!!」


風魔の拳が刹那の背後の壁を打ち抜く。轟音と共に壁の一部が崩れる。


「俺は、俺は風魔月詠の息子の風魔十六夜だッ!!関係あんだろうが!!俺はテメェの家族だ!テメェは俺の家族だ!確かに、その罪はテメェにしか背負えねぇ罪かもしんねぇよ。でもな、テメェを支える事ぐらい……出来んだろ?もう、良いんだよ。アンタは充分苦しんだ、泣いても良い、笑っても良い、悲しんでも良い、悔やんでも良い、怒っても良い。テメェにはそれだけの権利はあんだよ。だがな、逃げる事は仏様が赦そうが俺が赦さねぇ、絶対赦さねェッ!!………誰もテメェを恨んでなんかいねぇよ、母さんの事はもうしょうがねぇんだよ。」


その時の風魔の目からは刹那同様透明な液体が流れていた。そして、風魔は刹那を抱き寄せた。


「これからは、俺もいる。修羅さんも忌羅さんも赦奈も希殺羅もいる。一緒に貴女を支える。貴女が、貴女の苦しみも俺達も味わう。だから、死なないでくれ…………俺が悲しいよ…刹那さん……。」




風魔は精一杯の力で刹那を抱きしめた。刹那は最初は動揺していたが、段々とその手が風魔の背中に回される。しかし、この手で、この少女を抱きしめても良いのかと、戸惑う。


「私は、母親気取りだった。本当の月詠の母親の事も知りもせず……アイツに対して、何も出来なかった。それでも、お前は私を赦せるのか?」

「赦せます。母さんにとって、貴女は母親と同じ存在。家族ですから。」

「………………。」

「でも、逃げないでください。皆いるから、辛かったら『助けて』と言えば相談でもなんでもします。」


刹那の両腕がしっかりと風魔を抱きしめた。


「…………ごめんなさい……風魔…ごめんなさい……。」


刹那は弱々しい謝罪をすると号泣してしまった。声をあげて、刹那の叫びが夜の空に響いた。


















同時刻 船の甲板


「あぁ…うん、別の世界線ではあと数ヵ月後だね。物資や情報は大丈夫かい?………………うん、ただ…その作戦、僕やL、忌羅は君達とは別行動かな……………フフ、期待しているよ…アーサー………うん、あー…その………………………いや、君と出会えて良かったよ…………ありがとう…………良いんだ…うん、じゃあね………………………………………月詠、君の息子は元気だよ…安心して眠ってくれ…。」

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