10 神は言っていないけど……感想、メッセージください……
とある平原
紅汰と風魔は現在、このキーラム大陸最大都市『ペンドラゴン王国』へと向かっていた。
理由は紅汰の隣を歩いている黒髪の美少女。
彼女の名前は亞李奈、朝紅汰達がアイルの町で助けた(つもり)の女の子だ。
朝、紅汰たちが泊まっている宿の前の路地で奴隷売買が行われていたのだ。
紅汰は激怒し奴隷売買の商人をフルボッコにしてやろうと行ったが、風魔に見抜かれ結局、売られていた亞李奈を買ったのだ。
しかし問題があって、亞李奈の右手甲には魔法で意味不明な絵が刻まれてあった。奴隷印というらしくこれがある限り一生道具扱いされるのだ。物も売ってもらえなければ宿にも入れない。
というわけで、紅汰たちは奴隷印を消すことができる浄化魔法を使える魔術師を探しているのだ。
そして情報を集めるために王国へと向かっているのだ。
「風魔、あとどのぐらいで着くんだ?」
「んーと、あと四キロ程度かな。俺たちのスペースじゃ着くのは夜だな。走れば夕方には着くかもしれないが。」
「馬車とかないかしら。」
どっち道自分の足で歩かなくてはいけないということが分かった。
「どっかにバイクねぇかな。」
「いや、この際自転車でもいいと思う。」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
突然男性の悲鳴が遠くから聞こえた。
「何所だ?」
三人は辺りを見回す。
「あそこだ!」
紅汰が二人よりも早く悲鳴が聞こえた方向に人を見つけ走り出した。
「亞李奈は此処にいろよ!」
風魔も一歩遅れて紅汰の後を追う。
「くそ!姫を守れ!」
紅汰と風魔が駆けつけるとそこには騎士っぽい人たちが赤い真っ赤な巨人三体と戦っていた。
騎士達の後ろには豪華な馬車がある。
「紅汰あの化物はオーガ、西洋の人食い鬼だ。」
「とにかく戦うぞ!」
お互い頷き、風魔は背中に背負った三段式折りたたみスナイパーライフルを構え、スコープからオーガの頭を狙う。
紅汰は黒剣を鞘から抜き、走り出す。
「おおおおぉぉぉぉ!!」
騎士に注意が向いているオーガの足を斬りつける。
オーガが痛みで暴れる。が、オーガの頭から血飛沫が飛ぶと、前へと倒れた。前にいる騎士たちが慌てて横に飛ぶ。風魔が見事に狙っているらしい。
風魔はこの世界に来る前はサバイバルゲームの大会で紅汰、その他の人と優勝したことがあるのだ。
しかも風魔の扱える銃はハンドガン、スナイパーライフル、マシンガンと結構上手く扱えるのだ。
風魔に心の中で感謝し、二体目へと向かう。が、二体目も風魔の狙撃で頭から鮮血を流し倒れていた。
残る一体何所にいるのかと探す。
「紅汰、後ろだ!」
風魔の声で後ろを向いた紅汰。だが少し遅かった。
オーガが紅汰を睨み付け、岩石の如く拳を振り下ろそうとしたがオーガの頭に石が投げられ、オーガの攻撃が止まる。
「こっちよ!」
亞李奈がオーガに石を投げている。オーガの注意が亞李奈に向く。
「馬鹿が!」
無我夢中で亞李奈の元へと走る。亞李奈にオーガの拳が振り下ろされる。
間に合え、心で念じる。
そして亞李奈を突き飛ばした。
オーガの拳が紅汰へと振り下ろされる。
死ぬ。素直に思った。
が、紅汰の視界に一瞬、黄金の光が映り、オーガが倒れる。
「間に合いましたか。良かった。」
目の前に黄金の鎧をまとった騎士が現れる。陽光が反射し、顔がよく見えないし眩しい。
「私の友を助けていただきありがとうございます。」
口調からして礼儀正しいようだ。
「いや、俺も助けてもらったようだし。お互い様だ。」
「紅汰大丈夫か!?」
風魔が駆け寄ってくる。
「紅汰?」
黄金の騎士が反応し、紅汰の顔と風魔の顔を見る。黄金騎士を目が合う
黄金の騎士は金髪でスカイブルー瞳。顔立ちは見るもの全てが魅了されるほど綺麗だった。
「あれ?」
この顔見覚えがある。確か、
「紅汰と黒雨ではありませんか!!」
「「は???」」
俺と風魔が驚いた。
「あ、」
そして風魔が何か思い出したようだ。
「ルーシャだ。久しぶりだな。」
「ルーシャ?!」
亞李奈、この物語のヒロインの一人です。